「満たされる歓びに満ちよ」と投げかけられた日
私の心は霧の中を彷徨っていた
私の言葉を形にするための小さな柱が
白い霧の中に溶けてしまったような気がしたから
輝く日々のなかにいた気がしていたのに
それはただ
遠い日の光が
霧の粒に映りこんでいたに過ぎなかったのか
いくら手を伸ばしてみても何者にも触れられないような
白い霧の世界を心に満たしたまま
眠るために身体を投げ出した
明かりを消した部屋のなかで
まどろみに沈みながら思ったのだ
心の中を覆いつくす白い霧こそ
今確かにあるのだ
何者にも触れられない感触こそ
今確かにあるのだ
私は空ではない
生きているからこそ
遠い日を目指して彷徨う日々があるのだ
霧の中を自由に彷徨え
私よ
生きている者にしか味わえない
苦悩という名の歓びを謳歌せよ
感じるすべてを味わい尽くせば
それこそが
最高の創造の糧になるのだ