ある日つけはじめた仮面は
いつしかまるで素顔のようになってしまうけど
ある日しまいこんだ灯火は
いつしか消えてなくなりそうに感じてしまうけど
仮面はやっぱり素顔になれないし
灯火がその心から消え失せることもないよ
満月だっていつも輝いてるわけじゃない
貪欲な龍に飲みこまれて闇に染まることもあるんだ
それでもずっと染まりっぱなしなわけじゃない
自分の意志で龍の闇から抜け出していくんだ
誰かの言う「近道」なんか行かなくていい
それはあなたにとっての道とは限らないから
あなたが生きている限り
人生は0から創造できる
希望という灯火はそのために
あなたが死する時まで心に残り続けるんだ
今回の表現のテーマ
満月=「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えます。
- 本心の解放
- 死するまで消えない「未来への希望」の姿
- 理想とする未来の展望へ向かう姿勢
解釈について
表現するテーマを決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えていきます。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用します。
- 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。
基本要素
満月のサインおよび満月とアスペクトをとる天体とサインをクローズアップし、テーマを考えていきます。
獅子座-水瓶座ライン
- 創造と改革
- 壮大な展望
- 現状打破
- 理想の未来と進化
獅子座の月(第10ハウス)
- 社会に対するエンターテイメント性の要求
- 国民の意志を政局側に対して表現する欲求・動向
- 政局の決定がもたらす国民への直接の影響
水瓶座の太陽(第4ハウス)
- 国土・国体に対する改革意識
- 領土問題への取組
- インフラ事業の変革の履行
アングル(ASC・MC)
ASCは天秤座18度、MCは蟹座20度です。MC/ICの軸は、先回の新月と比較するとちょうど反転した形です。
サビアンシンボルからの考察
アングルの性質を考えるために、サビアンシンボルに手掛かりを求めます。
ASC
天秤座18度「泥棒の一味が隠れている」
この度数は、調和を重んじると言われる天秤座の中に潜むレジスタンス意識を示します。
これまで隠してきた抗議の意識を具体的な行動に移しかけてはいるものの、正面きった行動にすることはできず、もがいている様子。はっきりとした自我の自覚を経験し、自己閉塞による形式的なものでない真の調和に向かうためのプロセス。
MC
蟹座20度「オペラを歌うことによって、有名な歌手が自分の名人芸を証明する」
観客はたとえオペラ(歌劇)の意味がよくわからなくても、歌という形で最大限に表現された感情の揺れに共鳴します。また、それだけの力を持つ歌声は「理解」を飛び越え、それぞれの人の心の中に共感を抱かせることで、多くの人々を繋ぐことができます。
アングルから見いだせる背景(世相)の意味
人々は一見表面的な調和の中で満足しているように見えてしまうけれど、心の内側では大きな不満を持ち、現在の社会への抗議欲求を持っています。しかし、表立った行動を避けながら極めて慎重に様子をうかがっているのでしょう。まるでカウンターチャンスを狙うかのように。
日々無力感と抗議衝動の葛藤に耐えながら、人々はその内在する感情をセンシティブに表現する機会・場所あるいは声をあげる人物を渇望しているのかもしれません。また、社会の基盤そのものに愛情と共感を求めているのかもしれません。
「決まりきったものに無言で従い実利を得ることが常識である」という、これまで一般的と言われてきた社会通念を変容したいと望んでいると思われます。あるいは強制的に根底から覆されるフェーズに、すでにこの国は入っているでしょう。
アスペクトの影響
満月に対するアスペクトから、諸々の影響を考えます。
満月に対するアスペクト
今回の獅子座の満月(月蝕)に対するアスペクトは次のとおりです。
- 金星-オポジション
- 海王星-クィンカンクス
- ドラゴンヘッド-コンジャンクション
今回の満月は、黄道と白道の交点である「ノード軸」に対してコンジャンクションとなります。
- 黄道=太陽の見かけ上の公転軌道
- 白道=月の見かけ上の公転軌道
西洋占星術においては、今回のように満月がノード軸に接近した状態で起こることを「月蝕」といいます。また、今回の月蝕ではノード軸とのオーブは3度とかなり近く、皆既月蝕であるとわかります。皆既月蝕は赤銅色に見えることから、「ブラッドムーン」という別名があります。
満月自体には他に目立ったアスペクトは少なく、太陽のすぐ隣にいる金星とはオポジション、魚座にある海王星とはクィンカンクスとなっています。
この時期クローズアップされるのは、領土問題か生活インフラに関すること、あるいは領土という意味を発展させた先に位置する国防に関することではないかと思います。
歓喜を示す金星は太陽のそばにあり、また太陽と同じハウスに位置しています。もう少しの間、太陽と金星はコンジャンクション状態が続きますので、政局の中心にいる人物やその周辺は、順調そうに見えるかもしれません。
配置的には太陽(元首)のほうが金星の力を楽に使えるでしょうが、一方で月(大衆)もその力を自らの中に引き込み、思う存分使おうとしているようです。
海王星とのクィンカンクスは、強い創造意欲や革新性を前面に出そうとする今回の満月に対して、少々センチメンタルな意識を持たせることになるかもしれません。今回海王星は第5ハウスに位置しており、この意味が現実にどう現れるか気になります。第5ハウスの象意に「競技・スポーツ分野」がありますので、目前に迫ったピョンチャンオリンピックが真っ先に浮かびます。海王星の霧の中に融けてゆくような事態にならなければよいのですが…。
少なくとも、日本国民にとって何かしら傷心につながるエピソードがいくつか生じる可能性を考えておいたほうがよいような気がします。
なお、今年1月の新月・満月は、すべて第4ハウス/第10ハウスで繰り返されてきました。このことは、今後国内政局と国民の地盤がよりいっそう変動していくことを知らせるサインのように感じます。
「ブルームーン」についての余談
さて、今回の満月は「ブルームーン」だといろいろなところで言われていますが、これは本来の定義に沿っておらず、誤解だといえます。
誤解された定義
満月は1年のうち12回~13回起こります。だいたいは12回ですが、月の満ち欠けの周期は約29.5日で、1ヶ月の日数の平均(約30.4日)より少し短いため、時折13回起こることがあります。
単純に考えると、「1ヶ月のうちに2回満月が起こる月」が発生します。今回の満月もこれにあたります(2018年1月は2日と31日に満月となる)。和暦でいうところの「閏月」のような感じです。
「閏月」とは、1年のうちに新月が13回起こった場合、その新月から次の新月の間に、二十四節気の「中気」という節目を含まないものを指します。
この定義は、情報発信元によって誤解であったことが公表されたにもかかわらず、現在もいろいろなところに浸透してしまっているようです。
本来の定義
アメリカ・メイン州の暦では、春分頃の特定の日(3月21日)を基準として1年間の季節を4等分した際、同じ季節の中で4回発生した満月のうちの3回目を「ブルームーン」と呼んだそうです。
通常、各季節で起こる満月は3回となり、3回目が最後となるはずですが、最後にならない満月が時折発生します。各季節(各月)の満月にはそれぞれ固有の名前があったので、決まった名前がない満月のことをこのように呼んだのではないかと思います。
なお、厳密には異なるものの、この暦で採用されていた各月の期間は、おおむね西洋占星術上のサインの変わり目と似ています。そのため、「ひとつのサイン内で2回起こる満月」をブルームーンとみなしてもだいたい一致すると思います。もちろん異なる時もあります。
なお、「ブルームーン」という呼び名は、いつごろどこで発生したのかはっきりとはわかりません。
補助要素
満月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。
水星
水星は山羊座・第4ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 火星-セクスタイル
- 天王星-スクエア
今回は第9ハウスに位置する天体がないので、つい先日も国会等で触れられた憲法改正についての話題はいったん目立たなくなるのかと思いきや、この水星が第9ハウスのルーラーになっていました。憲法改正に関する政府の発言、またそれを受けたメディアの情報発信は、領土問題に関連することやその発展としての国防にからめて行われることになるかもしれません。
第7ハウスにある天王星とはスクエアですので、外交問題での突発的なトラブルがトリガーになると考えます。
第2ハウスにある火星とはセクスタイルです。引き続き高値が継続している株価を理由に、景気政策の好調な雰囲気を政権支持率の要因とすることで、憲法改正への推進力として利用していくものと思われます。
金星
金星は水瓶座・第4ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 太陽-コンジャンクション
- 月-オポジション
- 木星-スクエア
- ASC-トライン
ASCのサインは前回とは同じではないものの、金星は前回に引き続きASCルーラーです。この金星が果たして現在の日本にとって何を祝福する存在なのか、ずっと見出せずにいます。
マンデーン(というか占星術自体)はもともと国家元首のためのものなので、その視点に立つと割り切ればそう難しくもないのかもしれませんが、この国ではそもそも国家元首が法律上と実質上では(太陽が象徴する存在という意味で)異なっている状態です。また現在は実質の国家元首と国民の理想の乖離をことさらに感じずにはいられません。中立的に見ようにもなかなか難しく、答えは出ません。
しかし、満月にも直接絡んでいるわけですし、ASCとも絡んでいますから、答えが出ないままにしておくわけにもいきません。
根本的なところに立ち返ってもう一度考えてみることにします。
国家は誰のものか
たしかにマンデーンは国家元首のものでした。それは、占星術を含む占術はかつては暦と同じく国家元首のものであり、国とは元首の持ち物、元首が支配することで成り立つもの という観念があったからでしょう。
しかし基をたどると、それはいつの頃からか、支配する側であった元首によって生み出された考えであり、もっと遡ればまったく逆の観念があったそうです。遥か古代、私欲に走った元首(王)は民によって処罰される存在だったと言われます。つまり、その時代においては、国は元首のものではなく、その国を構成する民のものであったということです。
時代が進んで現代となり、少なくとも現在日本に生きる私たちにとっては、国=元首のものという意識はないと思います。そう思えば、現代はいろいろと紆余曲折しながらも、もともとの意味に近づいていっているのかもしれません。
金星は何に歓喜するのか
今回の場合は水瓶座・第4ハウスにありますので、一般的なチャートでの解釈だと「未来の展望に満ちた(あるいは進歩的で開かれた)環境の構築に歓喜する」となると思います。
マンデーンに置き換えると「先進的でユニバーサルな国内環境の構築に価値を見出す」となるでしょうか。
政府も国民も、これから先の日本が、進歩的で開かれた社会へ生まれ変わることに対して理想を抱いていることはおそらく変わりないでしょう。その中身がどうであれ。
今回の月蝕で見出されたこの理想は、今年の中心的なテーマのひとつといってもいいかもしれません。
第2ハウスにいる木星は、この理想の実現がいかにもたやすそうだと感じさせるような楽観性を世間にもたらしそうですが、現実には決してそんなことはないと思います。それでも、この理想は、今後国民それぞれが進歩的で開かれた社会の実現を目指すための大切なビジョンになると思います。
背景の空気感(木星以遠)
木星より遠い各天体から、背景について考察します。
木星
木星は蠍座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 金星-スクエア
- 冥王星-セクスタイル
- MC-トライン
木星は景気の活性化を演出しそうです。株価の上昇による大企業の業績回復により…という形ではあると思います。
土星
土星は山羊座・第3ハウスにあります。アスペクトはありません。
今回、土星はIC(第4ハウス)のルーラーとなりますので、国内の環境および領土・気象等に関するニュースをきっかけに、情報機関において何らかの問題が発生するのかもしれません。しかし、あまり影響力を持っているように見えませんでした。ただ単に私にそこまでの読解力がないためだと思います。
天王星・冥王星
天王星は牡羊座・第7ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 冥王星-スクエア
- ASC-オポジション
- MC-スクエア
また、冥王星は山羊座・第3ハウスと第4ハウスの境界上にあります。アスペクトは次のとおりです。
- 木星-セクスタイル
- 天王星-スクエア
- ASC-スクエア
- MC-オポジション
天王星・冥王星・ASC・MCによってグランドクロスが形成されます。ただ、冥王星-MCのオポジションは木星によって調停され、激震は避けられるのではないかと思います。その激しい作用によってここしばらくの社会変動をずっと牽引している天王星と冥王星ですが、今回は外交方面と社会の根底意識に対して変化を要求してきています。
今回の月蝕図では全体的に、それぞれの理想に向かって皆が突き動かされ、それぞれの理想の表現に対して多大なエネルギーが注がれることを暗示していると思います。
メッセージ:激動の時代を生きる人たちへ
表面的には平穏を装っていても、内面では自らの生活や取り巻く社会に対して人知れず問題意識を持ち続けながら日々をすごしている。そんな人はもしかしたら、とても多いのではないでしょうか。
どこに対して、どんなふうに声をあげていいかわからず、自らの想いを代弁してくれるかのような歌い手をひそかに待ち望んでいるのかもしれません。しかし、来るともわからない日をただ待ち続けながら、それでも平静を保って生きることは、あなたが思っているよりも辛いことです。
自らの中にある開かれた未来への展望は、一見小さな光の粒のように見えるかもしれませんが、それは長い時間をかけて凝縮された光であり、本来は強い輝きを持っています。自らの中に閉じ込め続けたことで小さくなってはいますが、それは決して消えないように自らを凝縮した結果です。
自らの望む展望を表現したところで、すべてがスムーズに叶うものではありません。必ず試練があり、ときには心が折れそうになることもあるはずです。地球の影に隠れる月は、その象徴でしょう。桁違いに強い創造欲求に満ちた獅子座の月でさえ、影の中に差し掛かれば陰り、その間、本来の輝きは失われます。しかしそれは永遠ではありません。「そういう時期もある」ということです。
世間の声に振り回されて自分の想いを見失うときもあるでしょうし、嘘をつきたくなるときもあるでしょう。それでも人は、自らの未来への展望を完全に消し去ることはできません。希望はある意味諦めが悪いのです。見かけ上小さくなればなるほど凝縮されて、しぶとく残り続けます。唯一完全に消え去るのは、死したときのみです。
たとえ人生のすべてが思い通りにいかなくても、その主導権を他人に明け渡すことなく、自らの意志を尊重して生きてもいいのではないでしょうか。また、それが当然である社会を形作っていけたらいいのではないでしょうか。
自らの日々の行動はとても小さくて、いったいどんな風に社会の改善につながっていくのかなどすぐにはわからないと思いますが、気づいた時に意識を向け、日々その想像を繰り返してみてください。繰り返しているうちに気づけば何かを学び、自分なりにその答えにたどり着くことができるでしょう。