雑誌やTVなどで目にする簡易な「星占い」では「太陽が入っているサイン(星座宮)」を見ていますが、「月が入っているサイン(星座宮)」がわかれば、自分の気質やプライベートであらわれる性格の傾向をだいたい説明できます。
占星術における「月」とは?
「月」は、「太陽」と共に個性の基礎を示す重要な天体です。
「太陽」と「月」はそれぞれ、ある時には同時にはたらいたり、ある時には別々にはたらいたりと、そのはたらきかたは常に流動的に変化しています。またそれぞれのタイミングによって強弱にもいろいろな変化があります。どちらの天体も個人の人格の基礎を表すとても重要な天体です。
月が示すもの(象意)
「月」の代表的な象意を次に記載します。「月」の性質は無意識に表れますので、本人には自覚がないということも少なくありません。
- 個人の気質
- 感情の傾向や感受性
- プライベートな環境や無意識の状態でのあり方
- (家族や親族など)自分にとって身近な人間関係の中での接し方
月が使われやすい場面や人間関係を知ろう
場面
- リラックスしているとき
- プライベートな空間や場面
- 無意識・無防備なとき
- 身構える必要がないとき
- 感情が優位になるとき など
「月」は本人の気質とともに、インナーチャイルドを示す天体でもあります。「子どもの頃の自分」とか「純粋な自分」などと考えるとイメージがつかみやすいかもしれません。
人間関係
- 家族間(とくに親子・夫婦など密接な関係)
- 親しい親族間
- 恋人間 など
固定観念的な人間関係の形に関わらず、互いの心理的な距離や現実的な生活の距離が近ければ近いほど、無意識に「月」が使われます。自分が肩肘を張らなくても付き合える人との関係のなかで、月の性質はよく表れるのです。
夫婦や恋人間でも重要
「夫婦」の関係や恋人間の関係にも、月の影響が強く出てきます。とくに、恋人同士の関係については金星や火星ばかりがクローズアップされますが、実際に関係を築いたり付き合っていく際にはお互いの気質をさらけ出すことになりますので、必ず「月」が使われています。ですから、まずはお互いの「月」の性質をよく知ることが肝心でしょう。
月のサインを調べよう
ほとんどの場合、「太陽」と「月」が全然違う場所にあります。「太陽」と「月」が同じサインになるのは、新月に近い月齢の時に生まれた人だけです。
ホロスコープ内の「太陽」と「月」を見てみる
例えば私の場合、誕生日は2月17日で「太陽」は♒水瓶座にありますが、「月」は♌獅子座にあります。また、同じ日付でも、位置は毎年異なります。
ここでは、「Astrodienst」というサイトで出したチャートを例として貼りつけてみます。チャートの中から「太陽」と「月」をそれぞれ探してみましょう。
このように、「太陽」と「月」は全然ちがうサインにあることがわかります。人によっては同じサインにあったりもします。
「太陽」と「月」が同じサインか、サインは違っても至近距離にある場合は、新月前後の付近の生まれです。一方、正反対のサインか、サインは違ってもそれに近い位置にある場合は、満月前後の付近の生まれということになります。
月のサインの調べ方
ホロスコープ作成ソフトをご自分でお持ちの場合は、それを使用してください。
お持ちでない方は、無料でホロスコープを作成するサイトを使用して調べることができます。
1. 生まれた時刻がわかる方
「Astrodienst」を使って調べるのがおすすめです。
Astrodienst(Astro.com)
アメリカのサイトですが、日本語表示もできます。プログラムが多いので若干重いですが、とても高機能で、ホロスコープの描画もスタイリッシュです。
※注意
国名・出生地を指定する際は、アルファベットで入力してください。
例:名古屋市の場合
- 国名=Japan
- 都市名=Nagoya
2. 生まれた時刻がわからない方
月は動きの早い天体で、平均すると約2時間で1度移動します。そのため、人によっては時刻で月のサインが変わってしまうのです。ちなみに、1日トータルでは12~15度程度移動してしまいます。
だいたいのホロスコープ作成ソフトでは、その日の正午時点の天体等の位置が出てきます。そのため、ホロスコープ作成ソフトで出てきた月がサインの境目に近い位置にある場合は、月のサインが違っている可能性があります。サインの最初に近い度数だった場合は、ひとつ前のサインの説明を、サインの最後に近い度数だった場合は、ひとつ後のサインの説明を参照してみてください。自分にしっくりくる説明やキーワードがあるかと思います。
参考:時刻による月の移動の様子が知りたいときは
出生時刻が不明の方は、次のリンク先ページを使用してみてください。時刻による天体のサインの移動がわかりやすいと思います。
nut’s wheel:さくっとホロスコープ作成 [サビアン]
天体移動の例
出生時刻を不明に設定して度数を調べると、下図のようになります。このように、24時間の間に度数が変化する天体がいくつもあります。その中でも「月」はもっとも移動が速いです。
注意点
「nut’s wheel」は「サビアンシンボル」というものを調べるページであるため、度数表示が0~29度ではなく、1~30度となっています。また、ホロスコープのかわりにサビアンシンボルのキーワードが一覧で表示されます。
サインのエレメント(四大元素)とクオリティ(三区分)
サインがわかったら、エレメント(四大元素)とクオリティ(三区分)を、次の表から確認してみましょう。
サイン | マーク | エレメント | クオリティ |
---|---|---|---|
牡羊座 | ♈ | 火 | 活動 |
牡牛座 | ♉ | 地 | 不動 |
双子座 | ♊ | 風 | 柔軟 |
蟹座 | ♋ | 水 | 活動 |
獅子座 | ♌ | 火 | 不動 |
乙女座 | ♍ | 地 | 柔軟 |
天秤座 | ♎ | 風 | 活動 |
蠍座 | ♏ | 水 | 不動 |
射手座 | ♐ | 火 | 柔軟 |
山羊座 | ♑ | 地 | 活動 |
水瓶座 | ♒ | 風 | 不動 |
魚座 | ♓ | 水 | 柔軟 |
エレメント(四大元素・四区分)
火(Fire)・地(Earth)・風(Air)・水(Water)に分かれます。それぞれの元素の特徴を簡単に表すと、次のとおりです。
火(Fire)
- 情熱的・直感優位
- 意欲や意志を重視
地(Earth)
- 現実的・身体感覚優位
- 物理的価値を重視
風(Air)
- 論理的・思考優位
- 他者との知的交流を重視
水(Water)
- 情感的・感情優位
- 他者との共感を重視
クオリティ(三区分)
活動(Cardinal)・不動(Fixed)・柔軟(Mutable)に分かれます。それぞれの要素の特徴を簡単に表すと、次のとおりです。
活動(Cardinal)
- 自ら活発に動き回る
- 何かを始めることが得意
- 完成させることが苦手
不動(Fixed)
- 自らの中に軸をつくる
- 作り上げたものを維持することが得意
- 流動的に変化することが苦手
柔軟(Mutable)
- 自らを形作らない
- 絶え間なく変化し続けることが得意
- 自ら決断することが苦手
子どもと大人の「月」のあらわれかた
どのような天体でもそうですが、天体の持つ傾向は、人によってわかりやすく現れていたり、あまり現れていなかったりします。ここでは、子どもと大人のあらわれかたの例について解説します。
子どもの場合
「月」は、0~6・7歳ごろまでの心の成長に密接に関わっています。小さな子どもたちは、自分の持って生まれた「月」の性質を思う存分発揮することで、豊かな心を育てていきます。
「月」の成長は、その後の人格形成や才能を発達させるためのベースになります。
大人の場合
大人の場合、心理状況によっては「月」の性質が十分に自覚または発揮できていない場合があります。色々な精神的なしがらみがあったり、とくに子どもの頃に強い抑圧や虐待などを受けたりしているなどの状況があると、素直に「月」の性質を受け入れたり、発揮するのが難しくなりがちです。
「月」のちがいでわかること
月の違いがわかると、「感じ方」や「心が満たされる方法や条件」の違いを理解することに役立ちます。親子間でも違いますし、夫婦や恋人間でも違いがあります。
違いがわかると、お互いに心地よい関係を築きやすくなると思いますし、とくに子どもに対しては、「成長のしかた」がわかるようになるので、安心して見守ることができるようになるでしょう。
参考1:♌獅子座の月の基本的な傾向
まずは管理人の月のサインである♌獅子座の月をとりあげてみます。♌獅子座の要素は「火・不動」です。
- 火(Fire)=情熱的・直感優位・意欲や意志を重視
- 不動(Fixed)=自らの中に軸をつくる・作り上げたものを維持することが得意・流動的に変化することが苦手
「火」と「不動」が組み合わさると、次のような感じになります。
- 意志力が強く、堂々としている(ように見える)
- ダイナミックに感情を表現する
- 自分が「楽しい」と思うことを大切にすることで心が満たされる
逆に、楽しさがないとエネルギーが枯れる - 何らかのクリエイティビティ(創造や表現)な活動を好む など
参考2:♓魚座の月の基本的な傾向
今度は、♌獅子座とまったく要素が被らない♓魚座の月をとりあげてみます。♓魚座の要素は「水・柔軟」です。
- 水(Water)=情感的・感情優位・他者との共感を重視
- 柔軟(Mutable)=自らを形作らない・絶え間なく変化し続けることを望む・自ら決断することが苦手
「水」と「柔軟」が組み合わさると、次のような感じになります。
- 並はずれた共感力と感受性を持ち、周りのすべての人の想いを感じ取ることができる
- 自分の意思を通すことよりも、目の前にいる相手にどこまでも心を(無意識に)合わせようとする
- 自分が存在を認識したすべての他者が幸せであると感じられるとき、または不特定多数との感情の共感ができたとき、最も心が満たされる
逆に、感情の共感ができないときはエネルギーが枯れる - 感情が常に揺れ動いていて安定することがない など
もっと詳しく知るには
ここでは、「月」のサインによって基本的な性質をざっくりと知る方法を取り上げてみました。サインと共に、様々な天体とのアスペクトや在住ハウスなどを組み合わせて読むことで、持って生まれた「月」の性質をより詳しく知ることができます。
あとがき
自分と相手の「月」の性質がどのように違うかがわかってくると、ものごとの感じ方や、感情表現の仕方などもずいぶん違うことがよくわかります。お互いが「違うんだ」ということがわかると、自分や相手を受け入れるためのキャパシティが広がり、人間関係もうまくいきやすくなるでしょう。