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天体とは

イメージ:太陽系の天体

西洋占星術における「天体」とは、地球を除く太陽系の主だった惑星に、太陽と月、それから現在は準惑星とされる冥王星を加えたものを指します。
通常「天体」として扱われるものは下記に示した10個の星で、これを「10天体」と呼びます。

10天体の一覧

  • ☉太陽
  • ☽月
  • ☿水星
  • ♀金星
  • ♂火星
  • ♃木星
  • ♄土星
  • ♅天王星
  • ♆海王星
  • ♇冥王星

10天体の役割

天体は、ホロスコープの主体となる要素です。

たとえば個人の出生図においては、人格を構成する各要素であり、才能を示し、それを発揮する場面を知らせます。
また、各個人の人生の出来事とその意味を知らせるメッセンジャーでもあり、社会に目を向ければ世相を読み解くヒントを与えてくれる存在でもあります。

進行速度

上記の10天体は、実際の宇宙空間に存在する星です。天体にはそれぞれの生き様があり、自転や公転の速度や距離も異なります。
このうち、公転周期の差は、ホロスコープ上の進行速度の差異となって表れます。

方向

西洋占星術でホロスコープを作成する際は、上記の10天体を地球から観測したときの位置(方角)と進行方向を示します。
いわゆる「天動説」的な視点で観測した結果が反映されることになるため、天体の進行方向には、通常の進行方向である「順行」と、逆向きに進むように見える「逆行」が存在します。

逆行している天体に対する考え方

「逆行」中の天体は、次のような特徴があると言われます。

  • 象意(能力や事象)がストレートに表れにくい
  • 象意(能力や事象)が現れるまでに時間がかかる
  • 象意(能力や事象)が内向する

10天体のうち、太陽と月は逆行が起こりませんが、それ以外の天体は逆行することがあります。

天動説的な観測のイメージについて、次のページを紹介します。
左側の図が地動説のイメージ、右側の図が天動説のイメージです。リンク先ページ内のアニメーションをぜひご覧ください。

天動説と地動説の違いを説明するアニメーションの数学的美しさ
リンク付イメージ:天動説・地動説の違い

また、天体の進行方向が、順行から逆行あるいは逆行から順行に転換するときは、一時的に動きが止まったような状態になります。この状態を「留」と呼びます。
「留」は、象意が強まると言われますが、たとえば動き回ることが信条である水星のような天体にとっては、留の状態がストレスになることもあるかもしれません。

影響力とその範囲・年齢域

各天体は、地球からの距離、公転位置、可視・不可視の違いなどによって、影響力と影響範囲が異なります。
また、「年齢域」という考え方があり、各天体が個人の特定の年齢域を象徴します。下記にカテゴリおよび対応する年齢域を示します。

個人天体

太陽系の中で、小惑星帯(アステロイドベルト)より内側に存在する天体は「個人天体」と呼ばれます。これらの天体は個人のよりパーソナルな部分を表します。
また、公転周期が早いことから、時間軸上で影響を与える期間は短く、影響力も比較的小さいです。

  • ☽月(0~6歳) 約29.53日
  • ☿水星(7~14歳) 約88日
  • ♀金星(15~25歳) 約224日
  • ☉太陽(26~35歳) 約365日 ※本来の宇宙空間ではここは地球の位置
  • ♂火星(36~45歳) 約687日

※火星は、次に示す「社会天体」とする考え方もありますが、本サイトでは「個人天体」に含めます。

社会天体

小惑星帯(アステロイドベルト)の外側を公転する大惑星を指します。
この社会天体までが地球からの可視天体であり、近代に入るまではここまでしか使用されていませんでした。時間軸上で影響を与える期間はそこそこ長く、影響力も個人天体より大きくなります。

  • ♃木星(46~55歳) 約11.86年
  • ♄土星(56~70歳) 約29.5年

世代天体

地球からは肉眼で観測できない不可視天体を指します。天体望遠鏡が誕生したことによって発見された天体で、土星より遠い公転軌道を持つことから、別名「トランスサタニアン」と呼ばれます。
長大な公転周期をもち、時間軸上で影響を与える期間が非常に長く、影響力も絶大です。

  • ♅天王星(70~85歳) 約84年
  • ♆海王星(85歳~) 約164年
  • ♇冥王星(死後) 約248年

品位

「品位」とは、各天体が入っているサインによって、その威力が強まったり弱まったりするという考え方です。それぞれの天体は、自らの支配するサインがあり、そこに位置しているときに最も強く力を発揮すると考えられてきました。
しかし、品位=威力の強弱であるという考えに捉われすぎると、ホロスコープの個性を誤って捉えてしまうと考えます。

太陽での例

たとえば太陽を例にとると、太陽の支配するサインは獅子座ですので、獅子座生まれの人は太陽の力がもっとも強い配置となりますが、獅子座の対極である水瓶座生まれの人は、太陽の力が最も弱い配置ということになります。

太陽は自己の魂を表す天体ですが、座するサインが異なることで魂の力に強弱が出るというのは不自然な考え方です。
本来のサインと対極にある天体は、個性の現れ方が本来のサインとは全く異なったものになると考えるほうがよいでしょう。

品位の種類

品位には、次の4種類が存在します。

  • 居所(Domicile):天体にとって本来の居場所であるサインです。
  • 高揚(Exultation):天体にとって思うように力を発揮しやすいサインです。もともとは、特定の度数のみを指していたようですが、現在では特定の度数を含むサイン自体を指すようです。
  • 衰退(Fall):「高揚」の正反対の位置にあるサインです。天体の力が思うように発揮されにくいサインです。
  • 障害(Detriment):「居所」の正反対の位置にあるサインです。天体の力が異質あるいは屈折した形で発揮されるサインです。

各天体の品位の一覧は次のとおりです。

天体の名前居所高揚衰退障害
☉太陽♌獅子座♈牡羊座♎天秤座♒水瓶座
☽月♋蟹座♉牡牛座♏蠍座♑山羊座
☿水星♊双子座♍乙女座♓魚座♐射手座
♀金星♉牡牛座
♎天秤座
♓魚座♍乙女座♈牡羊座
♏蠍座
♂火星♈牡羊座
♏蠍座
♑山羊座♋蟹座♉牡牛座
♎天秤座
♃木星♐射手座
♓魚座
♋蟹座♑山羊座♊双子座
♍乙女座
♄土星♑山羊座
♒水瓶座
♎天秤座♈牡羊座♋蟹座
♌獅子座
♅天王星♒水瓶座♏蠍座♉牡牛座♌獅子座
♆海王星♓魚座♒水瓶座♌獅子座♍乙女座
♇冥王星♏蠍座♌獅子座♒水瓶座♉牡牛座

※本サイトでは、ルル・ラブア著『占星学』の説を採用しています。

ベネフィックとマレフィック

こちらも古典的な考え方ですが、10天体には「吉星(ベネフィック)」と「凶星(マレフィック)」があると考えられてきました。

しかし、本サイトではこの考え方は採用しません。どの天体にも長所と短所があり、なおかつそれらは表裏一体であるからです。

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