君はその手に弓を携え
初夏の風に乗っていつも世界を駆け巡っている
大海原も 大陸も
軽々と飛び越えて
こぼれ落ちている種を拾っては
風と共に行く先々に蒔いてゆく
蒔かれた種が風に乗って
未知なる地に根を下ろし
顔を出した小さな芽が
いつか青々と
この世界を埋め尽くすことを夢見て
無数の命が色鮮やかに
咲き乱れひしめきあう
宇宙にただひとつのこの星は
無数のただひとつの命の集合体
みんな小さな青い種の芽
この美しい命の結晶を
慈しみ護りたいと願う
それがただのエゴであってもかまわないと
君は言うのかもしれない
もし今この世界が壊れそうなら
真の調和を実現する新たな世界を打ち立てよう
浮ついた理想が嫌いなら
真剣な理想にすればいい
張りぼての理想の時代はもう終わっているのだから
美しい夢はどれだけたくさん見てもいい
どれだけ真剣に美しい夢を見られるかということが
どれだけこの星を
無数のただひとつの命を護れるかに繋がっていくのだから
もし君の目の前が
闇の雲に覆い尽くされた時は
手に携えたその弓で
光の一閃を放つのだ
