2018年3月17日:魚座の新月

アイキャッチ:新月

今湧き上がる怒りを何かにぶつけてしまうこと
今目の前にある小さな世界が全てだと思うこと

それは小さき者であるから仕方がないことだと
自らを小さき者にしてしまうこと

望んでいるかのように見えて
望んでいないことを選んでしまうこと

自らを救うことを諦めているがゆえに
救いの手を誘おうと澱みの中でもがき続けてしまうこと

それも小さき者であるがゆえの
見苦しくも愛らしい誰しもの姿

どうか枯れるまで涙して
その澱みを流しきれますように

どうかその底で忘れ去られていた
想いの種が見つかりますように

 

トランジット図:2018年3月17日 22時12分

 


今回の表現のテーマ

新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。

  • 湧き上がる怒りも、ただ一つのものに気を取られて固執することも、全ての想いの揺らぎや澱みは一つの源から生まれているということを知る。
  • 溜まった澱みを涙として流しきることで、これまで執心し続けてきたものから心を離し、自らの中心に根差す。

解釈について

表現するテーマを決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

留意事項

  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えていきます。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用します。
  • 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。

背景に漂う空気感

世間の空気感は、これまで長く深く沈殿した怒りのエネルギーを表に噴出させる時だという雰囲気を醸し出すでしょう。それは傾向としては望ましく、多くの人にも伝わりやすいため一気に拡大する可能性があります。
しかし、獲物を狙い撃ち落とそうとするような現在の流れも結局は「政治劇」であり、ひとつの社会的なゲームとして展開されると思います。劇の決着点をどのように設定するのか?を世間はよく考えなければなりません。

結果的には、(あらかじめ用意された)攻撃の的に向かって世間の関心が集中し、その1点においての問題解決を促されると思います。この問題解決自体は成就すると思われますが、根本的な問題解決にはつながらないでしょう。

しかし、ねじれにねじれた巨大な問題を一気に解決することは現実的ではありません。そのこと自体は悪いことではないと思います。大切なことは、視野狭窄に陥らないようにすること。一つの問題が解決することであたかもすべてが解決したかのように錯覚せず、現在この国を取り巻いている問題を全体的に把握し続け、巧妙に仕組まれた「タゲ逸らし」の手法に決して乗らないことです。

根拠とした要素

アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの出発点)

♏蠍座21°「鴨を撃つハンター」

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

蠍座には、自らの最深部にエネルギーを凝縮するはたらきがあり、その力を強力な武器として使用する能力があります。また、秘密そのものやそれを限られた者にのみ明かすこと、幾多の疑いの中から揺るぎない真実を求めること、確固たる信頼を置ける相手との生命・リソースの共有などを象徴します。

このシンボルは、凝縮され昂ぶっているエネルギーが狩猟という手段によって「ゲーム的に」使用されることを示します。

成立しているアスペクト

  • ASC・木星・冥王星・新月-小三角
  • 海王星-トライン

アスペクト解説用:ASCとのアスペクト

MC(集合的エネルギーが向かう先)

乙女座0°「芸術的に強調された男の頭が、重要な意義を帯びる肖像画」

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

乙女座は、創りあげられたものをつぶさに観察し、その完成度をさらに高めるための働きをします。そのため「不完全な部分にフォーカスする」視点を持ちます。また、あらゆる物事を修繕してその恒常性を保ちます。

このシンボルは、詳細な観察のために「フォーカスする」ことを顕著に表していると考えられます。クローズアップした1つの焦点に重要な意味を見出そうとする傾向です。良い意味では鋭い現状認識能力・分析能力を示します。悪い意味では視野狭窄を示します。

成立しているアスペクト

  • MC・火星・天王星-グランドトライン(アウトオブサイン)
  • 水星-セスキコードレート
  • 木星-スクエア
  • 土星-トライン

アスペクト解説用:MCとのアスペクト


社会の基本的な動向

今回の新月の要素と、成立しているアスペクトから基本的な動向を考えます。

アスペクト解説用:魚座新月へのアスペクト

考えられる状況

今回の新月は第4ハウスで起こります。マンデーンにおいて第4ハウスは「野党」を示す領域でもあり、現在の世論の傾向と照らし合わせると、現首相および内閣の退陣が具現化するように思われます。ただ、それはもしかすると「あまりにもスムーズに」終わってしまうのかもしれません。そして、その退陣によって今回の騒動は収束に向かい、結果的に肝心なことは闇のままで終わってしまう可能性も考えられます。

この時期に限らないことですが、出来る限り世の中を冷静に見ていたいと思います。物事はいつも、次のフェーズに向けてのきっかけに過ぎないことを忘れないようにしたいものです。

社会の中に生きる個人のスタンス

ここ最近、魚座の持つ力は「浄化」であると解釈されることが増えています。これは魚座の力を最も理想的に使うことができた結果として起こることです。もし各個人がこの力を理想的に使えたなら、自らの中に持つ利己的な欲や過去へのしがらみを洗い流し、自らを清める力となるでしょう。これまでの生き方や価値観を清算し、根底にある自らの本音を静かに見つめたい方には、有意義な時期となると思います。

一方で、魚座には「混沌」「逃避」「憐憫」などの意味もあります。これまでに激しく傷ついた心を癒すには、ときに苦しみの海の中に溺れ、涙を流す時間も必要です。しかし、そもそもその涙が必要な意味をよく理解することがもっと大切ではないかと思います。

今までに溜めてしまった涙を流したい時は、流しきることを心がけてみてください。流しきった後にしか拾い上げられない、「想いの種」が見つかるでしょう。

 

根拠とした要素

新月のサインおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。

新月のサインとハウス

今回の新月は「♓魚座・第4ハウス」に位置しています。

サインの基本的な概念

魚座はとても複雑なサインですが、多くの場合「海」に例えられます。

常に揺れ動き、懐深く、その底は直接見ることはできず、たどり着くこともできません。また、膨大な数の生命を育む力を持っていますが、荒ぶればすべてを飲み込み死をもたらす存在でもあります。生命もそうでないものもすべてが漂い、混沌を象徴します。それでいて「神秘の塊」でもあり、人は海の全貌を知ることはできません。

また、私は「宇宙のカオスとしての側面」を示すとも捉えています。宇宙は無限に拡がり続け、決して同じ姿を留めることなどありません。「永遠に生き続けるものはない」という永遠に変わらない宇宙の在りようとも捉えています。

♓魚座の月(第4ハウス)

  • 揺れ動き続ける感傷の想いは自らの中に溜まってゆく
  • 疲れや傷を負いすぎた心を匿うために引きこもる
  • 現在地や自らの周辺、世間等に漂うエネルギーに染まる

♓魚座の太陽(第4ハウス)

  • 傷や穢れに満ちた自らの生き方に区切りをつけ、それらを洗い流すことを望む
  • 数々の波乱に翻弄される中で自らの根を張る場所を見つける
  • 実社会での役割は終わったと感じ「終の棲家」を見出そうとする

成立しているアスペクト

今回の♓魚座新月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • 新月・ASC・木星・冥王星-小三角
  • 火星-スクエア
  • 天王星-セミセクスタイル

新月の持つ願いは受け入れられ、成就するでしょう。一方でそれは激しい攻撃を受けることがその引き換えとなりそうです。


補助要素

新月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。

水星

アスペクト解説用:水星・金星のアスペクト

水星は♈牡羊座・第5ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
なお、水星は今回のMCルーラーとなっています。

  • 金星-コンジャンクション
  • 土星-スクエア
  • 海王星-セミセクスタイル
  • 冥王星-スクエア
  • MC-セスキコードレート

この時期の騒動のあおりを受ける中で、(とりわけ若い世代の)人々は世間の動向に対し、どこかその成り行きを疑問視するような視線を投げかけています。一連の事柄が白日の下に曝されるのはよいが、その結果ただひとつの結論のみで終息することは果たして適切なのか?といったところでしょうか。

今回水星は第5ハウスの中で金星とコンジャンクションしており、第5ハウスの華やかさを強調しているかのように見えます。第5ハウスの象意の中に「エンターテイメント」があります。恐らくですが、大衆心理的に気になってしまうような話題(たとえば有名人の結婚など)が頻繁にメディアに登場する傾向が出てくるかもしれません。これは、政治的に考えた場合、「エンターテイメント」の話題とは、往々にして重大な問題からの「タゲ逸らし」に利用されやすい側面があるためです。

 

火星

アスペクト解説用:火星のアスペクト

火星は♐射手座・第2ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。

  • 新月-スクエア
  • 火星・天王星・MC-グランドトライン(アウトオブサイン)

いま注目を浴びている「森友問題」について、第9ハウスに分類して解釈していらっしゃる方をふとどこかで見かけました。学校法人の関わる不祥事ですし、学園内を貫いていた極右的な精神性と将来的なその波及を狙っていたことなどを考えると第9ハウスの象意を強く持っていることは確かです。ただ、今回の問題そのものは国家の財務機能の在り方や税金の用途など、資金面での問題も絡んでいるため、第2ハウス的な側面も大きいように思います。なお、この問題については「国家の私物化」の問題ももちろんあります…。

このように仮定すると、森友問題を発端とする激しい追求により、首相辞任に結びつくと読み取ることは可能かと考えます。

 

木星

アスペクト解説用:木星のアスペクト

木星は♏蠍座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 木星・ASC・冥王星・新月-小三角
  • 土星-セミスクエア
  • 冥王星-セクスタイル
  • MC-スクエア

ASCとほぼ同じ度数であるためにアスペクトもさして変わりはありませんが、唯一異なる点は、土星がセミスクエアで絡むことです。

官僚の(とりわけ財務省に関係する)方々は、世論の動きにしばらくは抵抗することになる感じがします。長く続くとはあまり思えません。また、そこまでの義理もないと思うのですが…。

 

土星

アスペクト解説用:土星のアスペクト

土星は♑山羊座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 水星・金星-スクエア
  • 木星-セミスクエア
  • MC-トライン

官僚の方々への事実追求も恐らく何らかの形で行われ、一つの帰結点に至るためのカギとなるでしょう。

 

天王星

アスペクト解説用:天王星のアスペクト

天王星は♈牡羊座・第5ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 新月-セミセクスタイル
  • 天王星・火星MC-グランドトライン(アウトオブサイン)
  • 冥王星-スクエア

マンデーンでの第5ハウスには「スキャンダル」という象意があり、天王星がここに入っていることは、まさに現在スキャンダル化した森友問題のことを指しているように思います。今回は同じ第5ハウスに水星・金星のコンジャンクションがありますが、こちらは恐らく第5ハウスの象意のうち「エンターテイメント」としての側面も持たされていそうです。
水星の考察のところでも書きましたが、政治的に考えた場合、エンターテイメントは「タゲ逸らし」の仕掛けとして利用されることが多いもののひとつでもあります。

 

海王星

アスペクト解説用:海王星のアスペクト

海王星は♓魚座・第4ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 水星・金星-セミセクスタイル
  • ASC-トライン

何度かキーワードとして出している「タゲ逸らし」に寄与する可能性があるもう一つの要素がこの海王星です。ASCとのあいだにトラインのアスペクトが成立しており、基本的にこれは受容の姿勢であろうと思います。今回魚座で始まっている第4ハウスは、魚座の支配星である海王星が入っていることで完全に魚座の支配下にあります。海の中にすべてを融かしこんで終わってしまいそうなイメージを強く持ちます。

今回の新月図には、論理主体である「風のサイン(♊双子座・♎天秤座・♒水瓶座)」に入っている天体が一つもなく、また新月(♓魚座)・ASC(♏蠍座)はともに感情主体である「水のサイン」です。そして、新月が位置する第4ハウスにあるこの海王星によって、さらに「水」の性質が強調されていると考えられます。

政治問題はその性質上、正常な思考と事実に基づいた議論によって問題解決を果たすべきですが、私にはそれが実現する気配を見出すことができません。

 

冥王星

アスペクト解説用:冥王星のアスペクト

冥王星は♑山羊座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
なお、冥王星は今回のASCルーラーです。

  • 冥王星・新月・ASC・木星-小三角
  • 水星・金星-スクエア
  • 天王星-スクエア

今回冥王星は、世論を表すASCにも、新月にも、起爆剤となる天王星にも関わりを持っています。そして位置は第2ハウスです。この時期のすべての出発点がここ(国家の財務に関連する問題)であることを如実に示しているように見えます。

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