雨に濡れてる人がいるなら
そっと傘を差し出して
想いを伝えたい誰かには
小さな花束とはにかんで
ハンカチ1枚でさえ大切な
あなたの言葉になりかわる
誰かの涙を拭くための
流れ出る血を止めるための
目の前の傷ついた人たちは
あなたに刻まれた傷の数
あなたの傷を知らせに来た
手当のしかたを伝えに来た
他人の手当てと同じだけ
あなたの手当てもしてあげて
互いに手をあてがう世界
果てしなく拡がって行け
今回の表現のテーマ
満月=「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えます。
- 苦しい状況を健気に耐える中、誰かの不安に少しだけ寄り添うことで、自らの心もほんの少し緩めてみる
- 心を許せる人々との小さな創造を歓び大切に育むことで、いつしか理想社会を創り出そうとする強いエネルギーに昇華させる
解釈について
表現するテーマを決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
チャートの主体
「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えることとしています。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えています。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
- 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。
背景に漂う空気感
得体の知れない事件の数々や災害など大きなショックを伴うニュースにあふれていることと、それとは対照的な賑やかなニュースのボリュームの大きさ、先行き不透明で明確な説明のない政治の進行状況などが乱雑に混ざり合い、社会に対する心境をかなり激しく揺さぶられる状態が続いていて、恐らく人々は無意識の領域において、かなりエネルギーを消耗した状態にあると言えます。そのため、人々は本人も知らないうちに徐々に心を閉ざしていっており、そんな自らの心持ちをひっそりと打ち明けられる相手を無意識下で探しながら、日々を過ごしているでしょう。
このような中で何らかのきっかけをつかめた人は、ほんの少しの打ち明け話を共有できる相手を見つけると、その相手とともに小さな未来への礎を築こうと努力します。この時のごく小さな創造は本人たちの想像以上の歓びをもたらす可能性があり、それがいつしか革新的な理想を創り出そうとするうねりに発展していくものと考えられます。国内の空気が爆発的な勢いでその色に染まるというわけではありませんが、その種が完全に消えることももはやないでしょう。
根拠とした要素
アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。
ASC(集合的エネルギーの出発点)
♏蠍座2°「隣人の協力を得ての、小さな村での棟上げ式」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
蠍座の象意は、なんとなくイメージしやすいという人も多いと思います。奥深く、情感的で、一途である…そんなイメージがすぐに浮かんでくるような。そんな蠍座の象徴的なワードをあげてみると、「共有・共感」「(根底からの)変容」「遺伝」「融合」「秘匿」「転生」などがあります。
このシンボルは、蠍座の象意のうち「共有・共感」が示されています。そして、その中で生まれる小さな創造と歓びのエネルギーを同時に示しています。シリアスで重い象意が思い浮かびやすい蠍座の中で、ふと心が緩むような、ひっそりとしていながらもささやかな暖かさを感じられるシンボルです。
成立しているアスペクト
- ASC・満月+土星・天王星-ミスティックレクタングル
- 水星-スクエア
- 火星-スクエア
- 海王星-セスキコードレート
今回は、かなり多くの天体がASCに関わっています。まず、ほぼ正確にDES上に位置している天王星、満月の軸そしてそれに寄り添う土星とともに、ミスティックレクタングルを形成しています。
シンボルが持つ本来の「ひっそりとした環境の中での小さな創造から生まれた歓びをかみしめる姿勢」に対して、いやでも目が醒めるような刺激をもたらす天王星が強烈に関わっています。しかしながら、その目覚めを控えめに優しく見守る満月と土星の軸も同時に形成されているのです。この配置は、ほんの小さな創造が未来の発展的な変化へつながることを望む人々の存在を思い出させてくれるようで、大変心強い配置であると感じます。
このようなASCに対して、水星・火星はスクエア、海王星はセスキコードレートをそれぞれ形成しています。感情的な揺れや、問題解決に至らないことへのフラストレーション、集団世界の中に漂う幻影などによって、神経面へのストレスを与えられることが想像できます。それでもおそらく、人々が小さな創造を大切にしながらいつかそれを達成しようとする姿勢は、今後おそらく変わらないでしょう。
ASCルーラー(支配星)の状況
今回のASCの支配星は冥王星です。冥王星は♑山羊座・第3ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 海王星-セクスタイル
海王星と冥王星のアスペクトは、天上の神秘と地下の神秘の組み合わせでもあります。肉体を超えたところにある高次の精神性や魂の領域に対する感受性の高まりと、それらの影響力の大きさを示します。セクスタイルを形成するということは、自分たちが無意識に感じ取っている神霊世界のエネルギーが、現実へ様々な影響を及ぼしているものと信じ、真摯に向き合うことで、世の中の進歩へとつなげていく必要性を説いているのではないかと思います。
現在生きている人々の大半はこのアスペクトを持っていると言われていますが、調べてみたところ、1943年11月~1989年11月までに生まれた人は、形成が断続的であった一部の期間(1963年3月~1970年05月)を除いてこのアスペクトを持っています。1989年と言えば、平成元年となった年ですね。
さらに調べてみると、平成という期間は、ちょうどこのアスペクトが連続して形成されなくなった時代とほぼ一致するという、ちょっと興味深いことがわかりました。平成の期間中は、何のアスペクトも形成されない期間を挟みながら、セクスタイルとセプタイル(51.43°)を短いサイクルで交互に形成していたようです。
もしかするとこれは、人類全体の神秘的・霊的感受性がだんだんと薄れ、不安定な時代だということを意味しているのでしょうか。だとすれば、現在のいわゆるスピリチュアルブームというのは、もともとセクスタイルを持っている世代を中心とした、一種の「揺り戻し」でもあるのかもしれません。
現在のようにセクスタイルとセプタイルを交互に形成する期間は、2019年5月まで継続するようです。この直後、つまり改元の後くらいから2038年4月まで再びセクスタイルが続く期間があり、さらに断続的なクィンタイル(72°)の形成期間を数年経た後、2056年9月ごろからスクエアを形成する時代に入っていきます。
MC(集合的エネルギーが向かう先)
♌獅子座7°「共産主義の活動家が、自分の革命的な理想を広める」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
獅子座は「意志」と「創造」のサインです。また象意の中には「理想への衝動」というものも含まれますが、これは創造に欠かせない強いエネルギーのことです。他には「演出」「表現」「自己顕示」「悦楽」「カリスマ」といったものもあります。
このシンボルでは、憧れから来る革命の実現へ突き進もうとする姿が示され、獅子座の象意のうち「創造」と「理想への衝動」が強調されているように感じます。一方、シンボルを別のフレーズで表現したものには「プロパガンダ」という単語が含まれており、盲目的な人々を先導誘導する意図が少し見え隠れしている感じもします。また、このシンボル内で登場している共産主義という単語の中には「極端な偏りのある理想」という意味も含んでいるように思われます。現状に対する破壊衝動でもあるでしょう。
ASCの象意を絡めて好意的に解釈すれば「ごく小さな集団の創造が、いつしか理想の社会を再構成する強力な衝動に成長する」と考えられます。ただ、MCに対するアスペクトは厳しいものばかりで、恐らくこのMCのエネルギーは過剰になるか、あるいは真に理想的な革命へと発展するまでにはかなりの苦難が伴う ということを意味しているのだと思います。
成立しているアスペクト
- MC・火星・木星-Tスクエア
- MC・火星・天王星-Tスクエア
- 太陽-セミセクスタイル
- 月+土星-クィンカンクス
- ノード軸-コンジャンクション
MCと火星がオポジションを形成しており、両サイドに木星および天王星が位置しているため、Tスクエアが2つ形成されている状態です。グランドクロスとみなすには、木星と天王星はオーブが緩すぎて無理があると思いますので、それぞれTスクエアとみなして考えます。
この時期、世の中がMCの象意に向かうために急進的なエネルギーが集中するような配置です。しかし満月の軸とはスタンスがあっていないためチグハグな空気になるかもしれません。
MCルーラー(支配星)の状況
今回のMCの支配星は太陽です。太陽は♋蟹座・第9ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 満月+土星・天王星・ASC-ミスティックレクタングル
- 木星-トライン
- MC-セミセクスタイル
MCが獅子座であるため、支配星は太陽となります。従って、満月と直接関わることになります。加えてMC自体ともセミセクスタイルを形成しています。
社会の基本的な動向
今回の満月の要素と、成立しているアスペクトから基本的な動向を考えます。
考えられるこの時期の状況
1ヶ月の折り返し地点とも言える満月は、第3-9ハウスで成立しており、太陽は第9ハウス側にあります。第9ハウスは法律にも関わるハウスです。その中に元首 ということですので、今回の場合はTPP関連法案の成立を指しているように見えます。このことは世論にそのまま反映されそうですが、これが「革命的な理想の実現」につながるとはあまり思えないと感じます。
根拠とした要素
満月のサインおよび満月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。
満月のサインとハウス
今回の満月は「♑山羊座・第3ハウス」に位置しています。対となる太陽は「♋蟹座・第9ハウス」に位置しています。
サインの基本的な概念
♑山羊座-♋蟹座のラインは「礎」「環境・フィールド」などを示します。この対は、蟹座がローカル、山羊座がパブリックを象徴し、どちらも人が生きる世界の礎であることを意味しています。
♑山羊座の月(第3ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 保守的な気質を持ち、慎重に言語表現する
- 堅実に学び、知識を着実に自らの血肉にする
- 控え目ながらも健気に人との親しい交流を求めている
♋蟹座の太陽(第9ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 自らの居場所を、(元いた世界からは)遠い場所に作り出そうとする
- 強い保護欲求を広い世界に拡大しながら発揮しようとする
- 土着の宗教を信仰する
- 親愛について哲学する
成立しているアスペクト
今回の満月に対するアスペクトは次のとおりです。
- 満月+土星・天王星・ASC-ミスティックレクタングル
- MC-クィンカンクス
補助要素
満月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。
水星
水星は♋蟹座・第9ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 水星・天王星・ASC-Tスクエア
獅子座に移る前の水星は、天王星とASCとの間でTスクエアの状態です。法案の成立はそのまま大きなニュースになり、国内の空気感や外交姿勢をピリピリと刺激しそうです。
金星
金星は♌獅子座・第10ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 金星・火星・木星-Tスクエア
- 海王星-クィンカンクス
金星もTスクエアを持っているということで、今回のチャートはTスクエアがとても多いですね。この時期、与党には何か利するものがありそうですが、野党は憤慨し、世論も沸き立ちそうな雰囲気があります。
第5ハウスの海王星は、利する与党にとっての煙幕のような機能を果たしそうです。まだサッカーワールドカップも続いていますので、これが中心でしょう。あるいは、働き方改革のうち「女性の社会進出」をテーマに動きがあるとも考えられます。
火星
火星は♒水瓶座・第4ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 火星・金星・木星-Tスクエア
- 火星・天王星・MC-Tスクエア
- ASC-スクエア
ICに接触している火星は、今回見事にすべてハードアスペクトしかありません。何の火種なのか?と思うくらいです。アスペクト一覧には書きませんでしたが、アングルすべてに対してハードアスペクトを取っている状態ですから、何か派手で攻撃的な事件の暗示かも知れません。
木星
木星は♏蠍座・第1ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 木星・太陽・海王星-グランドトライン
- 木星・金星・火星-Tスクエア
- MC-スクエア
今年の空気感のテーマを示す木星が第1ハウスに入っているこの時期には、このところ続いている不可解な事件へ切り込み、明らかにしようとする欲求を示しているように見えます。この動きは、元首や政権与党にとって煙幕たるニュースとも関連して、彼らにとって何かしら有利に運びそうな雰囲気です。
土星
土星は♑山羊座・第3ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 土星+満月・天王星・ASC-ミスティックレクタングル
- MC-クィンカンクス
この土星は確かに、ただでさえ委縮傾向になる山羊座の月をさらに緊張させるようにも見えます。しかし、ASCを含むミスティックレクタングルを形成する一部であるということは、慎重に慎重を期したくなる現在の心境は、これから先の社会を形作る上では有意義なことであるのかもしれません。
天王星
天王星は♉牡牛座・第6ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 天王星・満月+土星・ASC-ミスティックレクタングル
- 天王星・火星・MC-Tスクエア
- 水星-スクエア
- 海王星-セミスクエア
相変わらず天王星はアスペクトが多いです。
天王星は、外交姿勢を示すDES上に位置しています。穏やかに落ち着いている雰囲気を醸し出しつつも、相手にとって驚きを与えるような振る舞いをする可能性が考えられます。
海王星
海王星は♓魚座・第5ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 金星-クィンカンクス
- 木星-トライン
- 天王星-セミスクエア
- 冥王星-セクスタイル
- ASC-セスキコードレート
第5ハウスはエンターテイメントなどを示すハウスであり、そのなかに共同幻想を示す海王星が入っています。現在サッカーワールドカップを中心にこの上なく盛り上がっている状態をそのまま示しているかのようです。
今回のアスペクトを見ると、
- 政府与党にとっての煙幕
- スポーツ分野の世論の盛り上がりと、そこはかとない違和感との衝突
- おとなしくしていそうに見えて突発的に自己主張をするようなスタンス
などの意味を見出せます。
今このときを生きる人へ
大地震や不気味で得体の知れない事件が続いていて、全体的に人々の心は委縮しているでしょう。中には、普段の平静を保つのが難しいという人もいるかもしれません。
抱えた不安を誰かに打ち明けたいけれど、上手く言葉にならなさそうだと感じたり、そもそも不安を感じていること自体に自覚がない ということもあるでしょう。また、大切な人をむやみに悩ませるようなことをしたくなくて黙ってしまう という人もいるかもしれません。
しかし、恐らく不安なのはあなただけではなく、周りにいる何食わぬ顔をしている人も色々と抱えているものがあるはずです。もし、近くのそんな誰かの不安をなんとなく感じ取ることがあったら、そっと話しかけてみると、お互いの心の内を少しだけ打ち明けられて、新しい交流が生まれたり、ほっとできるかもしれません。
その心の休息がたとえ束の間のものであったとしても、今はそれでいいのです。今抱えている問題や不安の原因がすぐに解消するのを望みたくなってしまっても、捻じれた問題はすぐには解決できません。あまりに遠くに輝いている問題解決の到達点にこだわると、また心が消耗してしまいますから、まずはほんの少し心を緩める時間を持ち、その少しだけ緩んだときの感覚を、今はとにかくじっくり確かめるのです。