果てない未来を追いかけることと
遥かなる故郷を追い求めることは
違うことに見えて
同じようなことかもしれない
宇宙の真理を追いかけていけば
辿りつく答えの先にはいつも
太古の叡智が両手を広げて
私を受け止めてくれる
子どものままの心で生きることと
大人としての成長を遂げることは
違うことに見えて
同じようなことかもしれない
大人になるということは
すべての幼子を育み護り抜く意志と力を持つこと
世界中の子どもたちも
あなたと私の中の幼子たちも
今回の表現のテーマ
満月＝「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えます。
- 未知への旅路に幸福の原型を見出そうとする
- 一人の自律した人間として、自らの中にある強いメッセージを臆することなく表現する
考えられるこの時期の状況
月相図のチャートから読み取った内容から、この満月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。
背景に漂う空気感
発達した文明社会の中にいると自然に沸き起こる、自然への回帰欲求という人の性。圧力や締め付けがより一層強くなるこれからの日本では、その自然な反作用として、そこから解放され、自由闊達に生きようとする存在が生まれようともがきます。圧力をかけている側からしたら不穏分子に見えるため、自由や人間としての尊厳を求める存在を「異なもの」として印象付けるための宣伝行為などもありそうです。ヒューマニズムを尊重する未知の時代の到来を望むうねりと、それを阻むレイシストとの衝突や、社会的無関心を装い続ける層との混沌とした勢力図が、大きく動き出す何らかのきっかけを内在している期間かもしれないと思います。この満月は秋分直後に起こるもので、秋分の瞬間と共に、ちょうど1年の折り返しであることを物語っていると思います。時代の激動が徐々に本格化してくるでしょう。
この時期に大切なことは、心の中の小さな炎を絶やさないようにすることだと星々は伝えています。疲れたり傷ついたりしたときは、その回復を待ち、自らを再び完全な状態に調律して、再度目的に向かって臨むのです。自らを突き動かす激しい衝動が掴もうとする未来を真に掴むには、その衝動を最大限活かしながら、実社会での苦難を適切に乗り越えるために、自らを調律することが必要です。
社会の基本的な動向
この満月の期間中に予定されている大きな社会イベントに、沖縄県知事選挙があります。私は沖縄県民ではないので、県民の皆さんのリアルな感覚はとても理解できないと思いますが、現在の政権に対して真っ向から対峙しているのがまさに沖縄であると思っています。その在り方にいつも敬意を感じています。
経済方面はいよいよわかりやすく厳しさが出てくるのではないかと思っています。これから2020年までに、徐々に財政も回復不能になっていくのではないかと。恐ろしいことですが…。
呼吸を圧迫するかのような強い緊張を強いられる情勢の中にあっても、この社会に生きるひとりの人間として、自分らしく生きるために声をあげること、広い世界を見て公正な視点を養うために、未知の領域へと旅立つ意識を持つことが、現状打破のカギになるものと思われます。天空の星々は、重苦しい現状を乗り越えようとする意志を持った者に対して、前に進むエネルギーを与えてくれるでしょう。
これからの社会が再構成されるにあたり、カギを握っているのは個人であったり地方であったりするのだろうと思います。今回の満月図では、そのような個人や地方からのメッセージが特に重要であることが示されていると思います。押し黙らせようとする存在に負けずにメッセージを発すること。私も、このような場所からではありますが、たとえ今は拙いものでも、少しずつ書き表そうと決意を新たにする所存です。
解釈について
以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
根拠とした各要素と詳細
表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
前提
解釈の前提条件は次のとおりです。
チャートの主体
「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えています。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えています。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
- 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。
「背景に漂う空気感」を導き出した要素
背景に漂う空気感は、アングル（ASC・MC）が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。
ASC（集合的エネルギーの出発点）
♐射手座19°「古風な東北の村人たちが、夏のあいだ、凍結した池から氷を切り出して使う」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
このシンボルでは、射手座の象意のうち「生存能力」「知性と本能」「自然と共に生きる智慧」「高尚な精神」などを示しています。
厳しい冬のもたらした氷という恵みは、夏の暑さを乗り切るための、神からの贈り物です。自然の中を生き抜く尊い智慧として、古い時代から続く生き方を護ってきた人々は、この冬からの贈り物に感謝し、大切に切り出して使用してきました。過去から続く智慧を持って未来を生きる計画を立てる様。先見性とは未来を見通す力ですが、その力の源は常に過去にあります。
人は、未知の世界を求めて彷徨う性質とともに、無意識の中には自然のともに在る生き方に立ち返りたい願望を抱えていて、一見矛盾するこれらの欲求をどのように結びつけていくか知らず知らずのうちに腐心しています。発展と回帰のせめぎ合いは振り子のようなものでもあって、どちらかが大きくなれば、もう一方も同じだけ大きくなります。さて、人は一体いつになったら、このせめぎ合いのバランスをうまく取れるようになるのでしょうか？
秋分直後のこの満月の時期は、すでに始まっている激動の時代を生き抜くために、人にとっての本来の幸せとは何なのか？未知の希求と自然回帰との間に存在する中点とはどんな姿なのか？を探る必要があることを示されているように思います。
成立しているアスペクト
- 火星-セミスクエア
- 木星-セミセクスタイル
- 海王星-スクエア
- 冥王星-セミセクスタイル
なかなかに「じれったい」幕開けなのかなと思えるようなアスペクトばかりで、ASCだけ見ているとやきもきしてしまいそうです。しかしながら、ASCルーラーやMC、MCルーラー、満月本体の象意を組み合わせてみると、これがただの出発点に過ぎないことがわかってきます。
ASCルーラー（支配星）の状況
今回のASCの支配星は木星です。木星は♏蠍座・第11ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 木星・海王星・冥王星-小三角
- 水星-セミスクエア
- 火星-クィンタイル
- ASC-セミセクスタイル
今回からアスペクトリストに「クィンタイル（72°）」を追加してみました。クィンタイルは数秘の5に関係し、創造性を示します。
だいぶ緩くなって来ましたが、木星・海王星・冥王星の小三角がまだ形成されています。人々の心に溜まった澱を明るみに出して洗い流し、新たな社会基盤を構築しなおすエネルギーとしての象徴です。今回の満月の時期にこの役割を担うのは、議会や地方自治体、有志によって結成された社会団体であるでしょう。最も影響力が大きいのは、いうまでもなく沖縄知事選挙です。
第2ハウスの火星はクィンタイルのアスペクトによって、この役割を象徴する木星にさらなる創造的エネルギーを与えようとしています。米中の貿易摩擦によって激しい変動を余儀なくされる国内経済の危機も、その種のひとつになるのかなと思います。
MC（集合的エネルギーが向かう先）
♎天秤座7°「人の住まなくなった家で燃え立つ暖炉」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
このシンボルでは天秤座の象意のうち「調律」と「平穏」「静けさ」と「自律」を示します。
家の主がいなくとも静かに燃え続ける暖炉の炎。今は空き家でも、いつ誰がここにやってきてもいいように。それが人知れず燃え続ける炎の意志です。世間での諸々の戦いに疲れた人、心に深い傷を負った人がその疲れや傷を癒すためにやってきたとき、彼らを暖め生きる力を取り戻させることが、燃え続ける炎の願いです。決して派手に燃えることはなく、ただ静かにそこに佇んでいるだけで、救われる誰かがいることを、この炎は知っています。よく「天秤座は孤独に弱いサイン」だと言われることがありますが、それはまだ成長しきっていないだけです。正しく成長した天秤座は、孤独の意味をも知っています。自らの精神を整え、自律して一人で立ち、実に静かにさりげなく、人々の生きる力を引き出すのです。静かなる希望の象徴と言えるでしょう。
成立しているアスペクト
- MC・満月・水星・土星-Tスクエア
- MC・満月・水星・火星-メディテーション
- 金星-セミセクスタイル
- 木星-セミスクエア
今回の満月図では、トランスサタニアン以外はすべてMCに対して何らかのアスペクトを形成しています。MCの象意を為すために、現実世界の人々のリアルなエネルギーが注がれる必要性を示しているかのようです。「目の前の現実に挫折しそうでも希望を棄てないで」という、星達の声なき声が聞こえてきそうにも感じます。
MCルーラー（支配星）の状況
今回のMCの支配星は金星です。金星は♏蠍座・第11ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 金星・火星・天王星-Tスクエア
- 金星・土星・天王星-メディテーション
- 海王星-トライン
- MC-セミセクスタイル
真実を愛し欲する蠍座の金星は、ASCルーラーとなっている木星と同じく第11ハウスに入っています。ここでもやはり、この時期の社会的動向の中心が議会や地方自治体、有志によって結成された社会的団体などだと示しています。また、真実を欲する願いが少しだけ社会に通じる可能性があると思います。
「社会の基本的な動向」を導き出した要素
今回の満月の要素と成立しているアスペクトから、基本的な動向を考えています。
根拠とした要素
満月のサイン・ハウスおよび満月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。
新月のサインとハウス
今回の満月は「♈牡羊座・第3ハウス」に位置しています。対となる太陽は「♎天秤座・第9ハウス」に位置しています。
サインの基本的な概念
♈牡羊座-♎天秤座のラインは「存在」と「自立」に関わっています。
♈牡羊座の月（第3ハウス）
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 自らの想いを率直に表現する
- 衝動や本能のままに知識を吸収し、行動範囲を拡げる
♎天秤座の太陽（第9ハウス）
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 完成された一人の人間として自律し、周囲と調和し、他者に智慧を授ける
- 自分がそれまで生きてきた世界の外側に、信頼できる人とのパートナーシップを構築する
- 世界の人々を繋いで調和をもたらすために、広大な世界や高等な学問・文化などを探求する
成立しているアスペクト
今回の満月に対するアスペクトは次のとおりです。
- 満月・水星・土星・MC-Tスクエア
- 火星-セクスタイル
- 天王星-セミセクスタイル
- 冥王星-クィンタイル
自己実現、あるいは社会に対して自己表現したいという願いを持つ大衆に対して、強い緊張感を強いる土星のTスクエアが目立ちます。この強い緊張感やプレッシャーを乗り越えて、この社会に生きるひとりの人間として声をあげること、広い世界を見て公正な視点を養うために、未知の領域へと旅立つ意識を持つことが、現状打破のカギになるものと思われます。火星や冥王星は、重苦しい現状を乗り越えようとする意志を持った者に対して、前に進むエネルギーを与えてくれるでしょう。これがそのままこの時期のテーマになりそうです。
補助要素
満月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。
水星
水星は♎天秤座・第9ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 水星・満月・土星・MC-Tスクエア
- 水星・満月・火星・MC-メディテーション
第9ハウス側にいるものの、水星はMCとコンジャンクションしています。平和の実現について思考し、臆することなくメッセージを発することがこの時期の最終的な到達点かと思います。
火星
火星は♒水瓶座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 火星・満月・水星・MC-メディテーション
- 火星・金星・天王星-Tスクエア
- 木星-クィンタイル
- 土星-セミセクスタイル
- ASC-セミスクエア
逆行して山羊座に戻っていた火星が水瓶座に再びやってきています。第2ハウスへの入室ということで、おそらくこれから荒れ放題になっていく経済状況をいち早く示しているようにも見えますが、そこで終わってたまるかと言わんばかりに方々の天体とアスペクトを形成して、エネルギーを練っているかのようでもあります。とくに、牡羊座の月にとってはルーラーからの応援をもらっているような格好ですので、自己主張のエネルギーもまた強まりそうです。
土星
土星は♑山羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 土星・満月・水星・MC-Tスクエア
- 土星・金星・天王星-メディテーション
- 火星-セミセクスタイル
- 海王星-クィンタイル
土星は第1ハウスにいて、世論の雰囲気が重くなることを示しています。しかし、他の天体配置を考えると、これは出発点に過ぎないと思います。この満月の期間というのは、「このどうしようもなさそうな状況からどうリバイバルするのか？」ということを真剣に考えるための、幕開けの時期にあたる ということを示しているのかなと思います。
天王星
天王星は♉牡牛座・第4ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 天王星・金星・火星-Tスクエア
- 天王星・金星・土星-メディテーション
- 太陽-クィンカンクス
- 月-セミセクスタイル
天王星が第4ハウスで、しかもサビアンシンボルも解釈の補足にいれた場合、（意図的な）「台風」しか思い当たることがありません。どれだけ我々の国土を傷つければ気がすむのでしょうか…？
国土へのダメージを伴う出来事は、もしかすると、これから先への希望を見出そうとする満月やMCの象意の成就を妨げるのではないかと思えたりもします。
海王星
海王星は♓魚座・第3ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 海王星・木星・冥王星-小三角
- 金星-トライン
- 土星-クィンタイル
- ASC-スクエア
海王星は、月と共に第3ハウスにあります。影響力が肯定的に表れるならば、人々の心の中にある純粋な幸福への願いが、非常に美しい形となって社会の中に飛び交うような期間になるでしょう。否定的に表れるならば、単なる想像や嘘があちこちを流れ、世界を流れる情報は混沌とした状態を極めそうです。小三角や金星の力を借りて、新しい未来を描くためのビジョンが少しでも明確になっていく方向に世の中が動くといいのですが。
土星とのあいだにクィンタイルが形成されていて、少し特徴的です。土星は物質界を形作る現実を示し、海王星はこれとは真逆の実体のない魂の世界を表します。この2天体によるアスペクトは、道徳観や株式相場などと関係すると言われていますが、これまでの政治的・経済的価値観に対して、「遥か彼方の夢」を注ぎ込んでくることになります。海王星のエネルギーは溶解作用として表れますので、政治的・経済的新体制のために、現在の枠組みを融かしにかかっている と見ればいいでしょう。土星側が山羊座であるため、公的権力や支配体制、社会保障体制などが対象だと考えられます。
冥王星
冥王星は♑山羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 冥王星・木星・海王星-小三角
- 月-クィンタイル
- ASC-セミセクスタイル
今年、土星や冥王星が第1ハウスに入ることはとても多いように思います。春分図でもそうでした。第1ハウスは世論・風潮などを示すとされていますが、「国家としてのスタンス」でもあり、「国民の姿勢」でもあると思います。
暗く重いニューズばかりが立ち込め、息苦しく生きづらい。先の心配をしなくてもすむ絶対的な安全が保障された社会であってほしい。
公的権力の支配欲の成長は止まらず、国民を押し殺し続ける。でも自ら行動する勇気はない。
それでも転覆と再生の芽はひっそりと育っているのです。見えずとも、聞こえずとも。
おわりに：今このときを生きる人へ
2018年も春分からちょうど半分程度が経過して、折り返しの時期を迎えました。日々を淡々と生きていても、内心では「いつ突然世界は傾いてしまうのか？」と日々考えていたりします。
日々色々なところから情報をたくさん取りますが、私が一番わからないなと思うのは、一般の人々の最も純粋な心境です。世の中のどんな出来事より混沌としているもの。最も信じられず、恐ろしいもの。それでも、最も愛すべきで、愛したいもの。
今は危機を感じている人もまだ少ないと思います。そのままでもいいかな と思うこともあれば、それではだめだと思うこともあって、毎日のように思考も感情もせめぎ合っています。それでも、本当に傾くときは一気に傾くはずですので、色々なことが瞬時に終わってしまいます。そうならないように何を考え、何をすべきかを今選択することは、無意味ではないだろうと思います。私は、今はその選択の一材料として、この月相図の解釈の発信ができればと思っています。
これまでより少し進んだな と思うことは、徐々にではありますが、公的権力を笠に着た私的勢力が、国民への圧力としての権力を実際に行使している現在の政権の姿が明確になってきたことと、それに気づいた方々が増えてきているということです。そういった実態を「体感できる」出来事が積み重なってきたからでしょう。こういったことは各自が体感して、自分自身の感覚として受け入れるしかないのです。第三者の言葉は、下地にしかなりません。それでも、それすらなければ「体感」は起こらないので、メッセージの発信に意味がないわけではありません。
もし今あなたの中に、何かこの重苦しい現実を打ち破るために発したいメッセージがあったり、何らかの行動を起こしたいという想いがくすぶっているならば、思い切ってそれを実現してみるとよいのではないかと思います。プレッシャーはかかるでしょうし、場合によっては周囲の圧力によって押さえつけられることもあるでしょう。しかし、その圧力を、あなたのメッセージや行動をより強靭に鍛え上げるための修行みたいなものだと思ってしまえばいいと思います。自らを律して整え、堂々とすればよいのです。自分の未来を拓けるのは、自分だけです。