2018年11月23日:双子座の満月

アイキャッチ:満月

およそ命というものは
時の流れにただ溶けて
滅びゆくだけの存在に
見えるかもしれない

およそ人というものは
その滅びゆく命の意味を
追い求める愚かな存在に
見えるかもしれない

けれど命の意味を
追い求めることは
人としての本分である
だからこそ人は人になれた

だからこそ世界は
無限の色彩に満たされた
そして人は世界と宇宙を
神だと知ることができた

ただ毎日の中を
こともなげに漂い生きて
堕欲によって時を貪り
世迷言を歌と嗜むこともあるだろう

確かに生きるとは
真っ白な人生を彷徨うことだろう
景色も道も自分で描かなければ
ひとつの彩もない世界だ

今生が虚しいと感じるなら
自分で描いた色がないか
描いた色が偏っているから
まだ描いていないものを書き足すことだ

醜く映えない色ばかりなら
煌めき艶のある色を
美しい色ばかりだったなら
鈍く澱んだ重い色を

偏った色ばかりでは
世界や人の人生は決して完成しない
神は全ての色を
贈り物としてくださったのだから

真っ白な人生を彷徨いながら
全てを大切に描いていけば
いつしか一つの命の中に
世界の縮図が現れる

命の中に描き出された
世界の縮図を天に掲げて
大空の風に乗っていけば
誰かに伝えられることが
きっとあるだろう

トランジット図:2018年11月23日 14時39分


今回の表現のテーマ

満月=「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えます。

  • 栄枯盛衰は世の常だが、それは命が生の意味を求めることで生まれた無限の色であり、命の本分である
  • 一つの命の存在によって形を成している一つの人生を、放棄せず健全に生きるためにあらゆる挑戦をする

考えられるこの時期の状況

月相図のチャートから読み取った内容から、この満月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

背景に漂う空気感

年の瀬も近づき、次の年の足音も少しずつ聞こえ始めてきたこの時期は、少々あわただしい空気感に満たされそうに感じます。または「もどかしい」という感じかもしれません。社会全体が騒然とするような大きな事件が日々だんだんと目立ってくるようになっており、「一体この先どうなってしまうのか?」という焦りの感情を煽られたように感じる人も、もしかしたら増えてくるかもしれません。それは何らかの実感から来るとは限らず、ひとつの生命体として本能的に感じ取る「生き抜きたい」という無意識の願いからもたらされる勘のようなものでもあるでしょう。

中には、焦燥感に駆られるあまり、衝動的に何らかの行動を起こす人が出現する可能性も考えられます。この閉塞的な状況の改善のために、思いついたことをとりあえず行動に移すある意味無鉄砲なような。混乱は招くでしょうが、今はそれも必要なときなのかもしれません。

社会の基本的な動向

この時期には概ね経済や貿易関係、外交、法律や憲法に関わることの話題が中心になっていくと思います。しかしそれらの様々な問題点をとおして、自分自身はこれからの世の中をどう生きていこうとするのかを考えさせられることになるかもしれません。


解釈について

この「解釈について」というセクションでは、チャート解釈にまつわる占星術の技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の前提条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項

  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの出発点)

♈牡羊座25°「人が自分がもてる以上に多くの贈り物を所有している」

解説用:ASCとアスペクト

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

このシンボルでは牡羊座の象意のうち「発想力」「可能性の追求」「衝動性」「推進力」などを示しています。

自分の腕に抱えきれないほどの多くのアイディアが自分の中に詰まっていて、とにかく自分の中からとめどなく涌いて出てくるものを、怒涛の勢いでひたすら外に向かって表現したり、行動に移して実現しようとしたりする様子を思い浮かべて頂ければよいと思います。非常にチャレンジングで熱意に満ちていますが、性急で向こう見ずでもある様子です。しかし、自己の衝動のままに行動しなければ結局道は切り拓かれない ということを教えてくれるシンボルでもあります。

成立しているアスペクト

  • ASC+天王星・金星・ノード軸-グランドトライン(活動)
  • ASC+天王星・金星・冥王星-Tスクエア
  • 水星-セスキコードレート

緊張と波乱に満ちたアスペクトが形成されています。ASCのシンボルの持つ衝動性や性急さをより色濃く表現するかのようです。

つい先日、ひとつ大きなニュースが明るみに出てきました。ルノー・日産・三菱の連合を率いていたカルロス・ゴーン会長の逮捕のことです。この事件は単に自動車業界の話や企業人の不正程度のことにとどまっておらず、もっと別の意味を持っているはずです。おそらく有価証券報告書の偽装や企業資産の私的利用などは、「口実」にすぎないのでしょう。

個人的に思ったのは「よく日本の警察が動けたな」ということでした。世界の支配体制自体が混乱していることを感じられる出来事だと思います。今後もこの流れが続くといいですが。

ただ、日本においては、現在の支配体制が改善できないと、世界に起こっている革新の流れには乗れないので、いずれにしても現時点では国力低下の継続に繋がるのみかと思います。おそらくその現状打破のために躍起になる人々が出てくるのでしょう。

この事件が、先般の蠍座の新月から続いている「真実を明るみに出したい欲求」が具現化したもののひとつであるならば、現在の世界の支配体制についての情報も、真実味をもって世に流れ、人々に浸透していくことを願います。

ASCルーラー(支配星)の状況

今回のASCの支配星は火星です。火星は♓魚座・第11ハウスに位置しています。

解説用:ASCルーラーとアスペクト

成立しているアスペクト

  • 火星・満月+木星-Tスクエア
  • 火星・土星・天王星-ミニトライン
  • 水星-スクエア
  • 冥王星-セミスクエア

ASCの支配星は第11ハウスということで、現状打破の潮流を作るために躍起になるのはひとまず議会や自治体から ということになるのでしょうか。あるいは国の利害に関係していないところで何らかの行動をしている有志 ということかもしれません。

政府とは対立し、多くの国民からもおよそ信頼される感触は得られないでしょうから道のりは大変険しいでしょう。迷いや混乱の多い印象を拭えないとなりませんが、そのこと自体が難しいと思います。

ちょっと余談

ところで議会といえば、このところ毎日のようにニュースなどに取り上げられているのが「入国管理法」という名前の「外国人労働者受け入れ」の審議のことです。私自身はこの法案は「外国人を引っ張り込みたい言い訳」に使用されるものだと解釈しています。ちょっと脱線しますが、このことについて少し書いてみようと思います。

法案を提出している政府は「即戦力となる外国人の受け入れ」を目指しているとのことですが、人材が不足しているとされる分野における労働環境で使用される言語はほぼ日本語です。最初期の言語教育が必要な人材である時点で即戦力とは言えません。そのためまず「即戦力」の定義が疑問です。次に、この最初期の言語教育のためにどれくらいの予算を投じるのでしょうか。少額ですむはずがありません。

国内の人材が集まらないのは、労働者が労働環境に提供する労力に対して正当な報酬が得られないことと、心身両面における人としての健康的な人生の運営が困難であるからという、割と単純な理由からです。政府の発表しているGDP等の数値が正しく、景気が本当に回復しているならば、少なくとも各企業に勤めている労働者にそれが反映されてもよいはずですが、そんなことはありませんね。最近ではその数値すら嘘がばれそうだという流れになってきました。政府は日本国民をなんだと思っているんでしょうか。

外国人の方が国内に来られること自体は歓迎すべきことです。しかし、それは「対価に見合わないような安くてきつい仕事でも都合よく就いてくれる外国人を受け入れること」ではないということです。政府は外国人の方をなんだと思っているんでしょうか。

結局のところ、政府は日本国民も外国人の方も皆同様に軽んじているということです。国内の多くの人は、まずこのことに気づいたほうが良いのではと思います。外国人受け入れが良いとか悪いとか、そういう次元で国民間の論争をすることは不毛なことです。

さて、このように本来の目的に合っていない法案の可決を急ぎたいということは、表向きの理由は言い訳であって、実際には違う意図があるということです。

本当に労働力事情の改善を目指しているならば、やるべきことはあの法案を成立させることではありません。これまでの数十年の間に国内人材と労働環境の品質低下を招く政策を繰り返し続けてきたつけが回ってきているだけなのですから。予算の使い道をその復旧に割り当てて、国力の礎を再構築すべきだと思います。投機ではなく投資を正しく行えばよいでしょう。現在の政府の司令塔は政治家というより投機家であり、政治的センスが備わっているはずがないですから、まずやらないと思いますけど。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

♑山羊座15°「体操着に身を包んだ少年少女たちが集まっている、学校のグラウンド」

解説用:MCとアスペクト

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

このシンボルでは、山羊座の象意のうち「公共の幸福とその純真」「自然に沿った健全性」を示します。同時に、人々に対しこれらの大切さをリマインドする必要性を説こうとしています。

誤解されがちですが、山羊座は何も「責任」「権力」「伝統」ばかりを示すわけではありません。山羊座がそれらの象意を持つのは、人類全体が、自分たちが建設的に発展するために「社会」というものを築き上げる過程の中で積みあがったのが、これらのものであったからです。「責任」「権力」「伝統」を護りたいと思う根源には、むしろ人類の健全な発展を願う、無意識の願いがあります。困ったことに、山羊座はその強い願いを叶えるべく目的に邁進するあまり、自分自身がその動機すら忘れてしまうことが多いために誤解され、また自らもいつしか誤解してしまいやすいのです。

また、「自然秩序に沿う」ということも山羊座の持つ大切な象意のひとつです。人類の世界が本当の意味で永続的に発展するには、自然秩序に沿い、敬い、共にあろうとする姿勢を忘れてはならないことを実体験として学びます。そして、学んだことを実社会に取り込むために、新たな基盤を構築する活動に邁進するのです。

成立しているアスペクト

  • 冥王星-コンジャンクション
  • 太陽-セミスクエア
  • 月-セスキコードレート
  • 海王星-セクスタイル

「公共の幸福とその純真」の意味が問われそうな感じがします。マンデーンにおいて冥王星は一般的に権力の強化を示しますので、純真の意味はかき消される可能性が高いと思います。たいへん切ない話です…。

MCルーラー(支配星)の状況

今回のMCの支配星は土星です。土星は♑山羊座・第9ハウスに位置しています。

解説用:MCルーラーとアスペクト

成立しているアスペクト

  • 土星・火星・天王星-ミニトライン
  • 金星-クィンタイル

議会は紛糾しても、諸々の大きな法案にまだ動きはないと思います。混乱に揺るがされず、安定を保つでしょう。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

今回の満月の要素と成立しているアスペクトから、基本的な動向を考えています。

解説用:満月とアスペクト

根拠とした要素

満月のサイン・ハウスおよび満月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。

新月のサインとハウス

今回の満月は「♊双子座・第1ハウス」に位置しています。対となる太陽は「♐射手座・第7ハウス」に位置しています。

サインの基本的な概念

♊双子座-♐射手座のラインは「智慧」「探求」「冒険」「伝播」「交流」「教導」に関わっています。

♊双子座の月(第1ハウス)

一般的な解釈では、次のようなことを示します。

  • 目に映るもの全てに知的興味を抱く気質が前面に出る
  • 万物に対する知的興味・冒険心を永遠に持ち続ける
  • あらゆるものが持つ「メッセージ」に敏感に反応する

♐射手座の太陽(第7ハウス)

一般的な解釈では、次のようなことを示します。

  • 高遠なる真理を探求し、対峙者に伝道する
  • 他者との協同を通じて人生に哲学を見出す
  • 自由かつ寛大な態度で対峙者との関係性を創造する

成立しているアスペクト

今回の満月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • 満月+木星・火星-Tスクエア
  • 天王星-セミセクスタイル
  • MC-セスキコードレート

このところ社会的な影響力が大きい事件が多いので、一般の人々の間でも現在の社会状況についてあれこれいろいろな情報が飛び交うような期間になりそうです。ただ、どちらかといえば真面目な感じはあまりしません。不確かな「うわさ」などに流されやすい傾向が出るかもしれません。

他の要素を含めて考えれば、真実を追求しようとする要素がないわけでもないので、人々が視野の広さ・深さや、情報の精密性を求めれば、より進んだ知見を手に入れられる可能性はあると思います。

補助要素

満月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。

水星

解説用:水星とアスペクト

水星は♐射手座・第8ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 木星-コンジャンクション
  • 金星-セミスクエア
  • 火星-スクエア
  • 海王星-スクエア
  • ASC-セスキコードレート

逆行を開始した水星は第8ハウスに入り、先日射手座に入ったばかりの木星とコンジャンクションを形成します。この木星を通じて満月に影響を与えていると見ることもでき、不確かな情報に翻弄されそうな満月に、闇に隠れた真実を追い求める意欲と目をもたらすかもしれません。また、引き続き国の財源に関わる問題や貨幣価値の問題などに、情報が集中することも考えられます。

金星

解説用:金星とアスペクト

金星は♎天秤座・第7ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。

  • 金星・ASC+天王星・ノード軸-グランドクロス(活動)
  • 水星-セミスクエア
  • 土星-クィンタイル
  • 冥王星-スクエア

金星はほぼDES上に乗っかっていて、形成されているアスペクトもなかなか派手です。外向を示すDES上に社交を示す天秤座の金星がいるということで、本来ならば復調を期待したいところですが、天王星・冥王星とのTスクエアが中心となっており、きつい印象しかありません。韓国との慰安婦財団の解散問題、ロシアとの北方領土問題、中国との経済連携と諸事における互いの牽制、アメリカとのすれ違い外交…きりがない感じがします。ゴーン会長の事件も、間接的に影響を及ぼすことになると思っています。ルノーの大株主はフランス政府ですので。

木星

解説用:木星とアスペクト

木星は♐射手座・第8ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。

  • 太陽-コンジャンクション/月-オポジション
  • 水星-コンジャンクション
  • 木星+満月・火星-Tスクエア
  • 冥王星-セミスクエア

水星のセクションでも記載しましたが、木星は今回の満月に寄り添う形をとっています。国の財政問題や貨幣価値のことについての情報が多く流れ、注目を集めやすくなるのかと推測します。火星とのTスクエア、冥王星とのセミスクエアを合わせて考えると、これらの分野に関する問題の拡大を意味しているようにも思います。

天王星

解説用:天王星とアスペクト

天王星は♈牡羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 天王星+ASC・金星・ノード軸-グランドクロス(活動)
  • 天王星・火星・土星-ミニトライン
  • 月-セミセクスタイル / 太陽-クィンカンクス
  • 海王星-セミスクエア

天王星は逆行中で、一旦牡羊座に戻ってきています。今回の満月では、ASCにほど近い位置にあり、満月やノード軸とのアスペクトも形成しています。世俗の空気が多くのハプニングによって掻き乱され、混乱が大きくなる可能性が考えられます。

海王星

解説用:海王星とアスペクト

海王星は♓魚座・第12ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • 水星-スクエア
  • 天王星-セミスクエア
  • 冥王星-セクスタイル
  • MC-セクスタイル

第12ハウスにある魚座の海王星は、「目に見えない世界」を地で行くような存在です。第12ハウスに来ているのが冥王星なら、陰謀めいたことが動くという事態を想像しますが、海王星だとそれすらもはっきりしない という想像しかできません…。

冥王星

解説用:冥王星とアスペクト

冥王星は♑山羊座・第10ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • MC-コンジャンクション
  • 冥王星・金星・ASC-Tスクエア
  • 火星-セミスクエア
  • 木星-セミスクエア
  • 海王星-セクスタイル

冥王星はMCとコンジャンクションしています。また、地平線とその付近にある2つの天体とはスクエアを形成し、火星と木星とはそれぞれにセミスクエアを形成しています。政府という機関を使用してもなかなか思い通りにいかない日本の掌握について、より一層躍起になるということなのでしょう。権力のさらなる集中を急ぎたいといったところでしょうか。


あとがき:今このときを生きる人へ

ざわめく社会と同じように、その中に生きる一人ひとりの心もざわめき、いまを、またはこれからをどのように生きるのか?について考えさせられるような出来事が巡ってくるかもしれません。

また、人である以上完全に一人で生き抜くことはできず、どこかで誰かと関わりながら生きることになります。その中で自分を見失わないためにも、まず自分がどのような存在でありたいか?をよく考えることが大切だと思います。あらゆる人生の選択は、自らの意志で行うことが何より大切です。それは決して「他人の話を聞き入れない」ということではありませんが、最終的にその選択を行ったのが自分の意志であるということを、自分が自分自身に証明できることが大切なのです。

何のために生きているのか?どのように生きるのか?そんなことはもう飽きるまで考え続けてきたという人も中にはいるでしょう。それでもいいのです。結局人という存在にとっての人生とは、自らの生きる意味を問い続ける行為の連続でもあるのだろうと思います。問いというものがなくなったら、人はそれ以上成長しないのですから。

コメントをどうぞ

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください