2019年1月6日:山羊座の新月(部分日蝕)

アイキャッチ:日蝕

神はその昔もう二度と
洪水を起こさないと仰ったが
我等は今夢を求めながら
滅びを招いているかもしれぬ

善意による選択さえも
果たして公利となっていたのか
公の定義のその中に
描いていたのは「人」だけか

自ら創り滅ぶことを
幾度繰り返すより他なくとも
再建よりまた他もない
神が愛した星はまだ生きている

トランジット図:2019年1月6日 10時28分4秒

今回の表現のテーマ

新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。

  • 今の世界の様々な問題も、結局人類全体というスケールで考えれば、試行錯誤の結果でしかない。動機が善であれ悪であれ、その結果滅びに向かうのだとしても一旦は受け止めるしかない。
  • 滅びの中から再生しようとすることは、人の根源的な意識である。この自然な意識に基づいて、今後の社会再生を目指す。

考えられるこの時期の状況

月相図のチャートから読み取った内容から、この新月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

背景に漂う空気感

「まだ美しい夢の中にいたいけれど、そこから醒める時は近そうだ。」人々はどこかしらそんな感覚を持ち始めるかもしれません。美しい幻想に包まれた感覚というのは中毒性もあり、なかなかそれを辞めるのは難しいものです。ですが、この時期から次の春分に向かって、夢から醒めてゆくような出来事がひとつひとつ目の前に現れてくるのではないかと思います。

激動の2018年を過ぎ、いよいよ日本社会がこれまでとは違う姿に変わりゆく2019年が到来しました。その2019年最初の新月は部分日蝕でもあり、ここ日本でも見られるそうです。

いまは天体ショーとしての注目度が高い日蝕ですが、占星術的には大変大きなターニングポイントだと言われます。日蝕とは、太陽(権威者・支配者)を月(大衆・被支配者)が隠す(滅ぼす)という現象であり、とくに施政者にとっては恐るべき現象でした。今回の日蝕は部分日蝕ではありますが、観測できる地域はアジア東部・北太平洋だと言われており、日本を含めた東アジアを中心に、近隣諸国にとっても政治的に大きなターニングポイントとなるのでしょう。

社会の基本的な動向

背景の空気感は、夢の続きを求め惜しむようなものであっても、その空気感の中で行われることは施政者による明確な権力の行使です。この権力の行使によって、日本という国の形の変化が徐々に明確になってくるのでしょう。施政者側が、諸事において強権的な姿勢を明確にする可能性もあります。

具体的には、まず憲法改正にまつわる事項、次に軍事になるかと思います。海外経済情勢の影響による国内経済の問題も引き続きありましょうが、先に記載した事項のほうがおそらく社会的にインパクトが強くなるでしょう。

また、今年の夏ごろになると言われている国会議員選挙についての駆け引きなども本格的に始まります。


解釈について

以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の全体条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項

  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの出発点)

♓魚座25°「非常に細い三日月が、日没時に現れるのを見て、人々がそれぞれ異なった計画とともに前に進む時期が来たことを知る」

解説用:ASCとアスペクト

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

このシンボルでは♓魚座の象意のうち「過去との別離」「忘却」「忘我と新しい自我の胎動」などが示されています。

新月は、もともとの占星術的解釈では、月(感情)の力の消失によって意志が明確化されることを意味するとされていました。「意志の明確化」というと、忘我の象意を持つ♓魚座には合わないようにも思えますが、このシンボルは、「忘我は新しい自我の宿る母胎となる」ということを表現していると考えられます。

これまでに生きていた中で自分に積み重なった過去の軌跡は、新しい道を歩むときにはすべて溶けてなくなっていく。しかし、そうでないと、新しく純粋な意志は生まれてこないということです。

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 火星
  • スクエア
    • 水星
  • トライン
    • 金星
  • セクスタイル
    • 冥王星
  • クィンタイル
    • 新月
    • 土星

国全体では、先行きがまったくわからないために国民感情は混迷しますが、2018年(さらにそれ以上前)から続く混迷した時代から、なんとなく今年は抜けられるのではないか…そのような楽観的な雰囲気が漂いそうです。これからどんなふうに社会が変化していくのかはわからないけれど、何となく、動き出さなければならない時が来たと感じたり、あるいは世の中が動き出している感覚を感じ取る人もいるでしょう。

ASCルーラー(支配星)の状況

今回のASCの支配星は海王星です。海王星は♓魚座・第12ハウスに位置しています。

解説用:ASCルーラーとアスペクト

成立しているアスペクト

  • スクエア
    • 木星
  • セクスタイル
    • 新月
    • 土星
  • セミスクエア
    • 天王星
  • クィンタイル
    • 水星

「今は低迷しているけれど、時が経てば再び社会も上向きになってくるだろう」というような幻想が大きく膨らみやすいでしょう。それは「なんとなくそんな気がする」という実体のない感覚だと思います。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

♐射手座27°「美しい川にかけられた古い橋が、いまだに頻繁に使われている」

解説用:MCとアスペクト

サインの基本概念とサビアンシンボルの象意

このシンボルは♐射手座の象意のうち「自然との共存」「古の智慧の賞賛」などを示しています。

この世界の中にはない真理を求めて遠い空を彷徨い続ける♐射手座というサインは、時空を超え、異世界を渡り歩いて元の世界に還ってきた時、自らが求めていた叡智は、結局元いた世界の隅々にひっそりと息づいているということに気づきます。

しかし、真理探求の旅が決して無駄だったわけではなく、その旅があってようやく、現在まで続いてきた社会創造の意味を知る ということです。

世界が何故今のような姿になってしまったのかを知らずにただ過去を踏襲して形を維持しようとすることと、それを知った上で再び善なる目的を果たせるように形を作り変えていくことでは社会活動の意味は天地ほど違ってきます。

♐射手座の象徴する、時に無謀にも見える真理探究と体当たりのサバイバルライフは、社会に生きる人々が忘れてはならない教養を身につける必要性を教えてくれます。

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 水星
  • スクエア
    • 火星
  • トライン
    • 天王星
  • セミセクスタイル
    • 金星

これまでこの日本社会を支えてきた「美しい川に架けられた古い橋」に対して、改革の機運が迫ってきています。やや性急に物事が進んでいくでしょう。

MCルーラー(支配星)の状況

今回のMCの支配星は木星です。木星は♐射手座・第9ハウスに位置しています。

解説用:MCルーラーとアスペクト

成立しているアスペクト

  • スクエア
    • 海王星
  • セスキコードレート
    • 天王星
  • セミセクスタイル
    • 土星

今回のMCの支配星たる木星は第9ハウスに入りました。法律のハウスに法律の星。また現在の木星の滞在サインも法や精神性に関わるサインです。そこに行き過ぎた幻想とこじれた改革の機運。そろそろ本格的に憲法改正の話が動き出すのではないかと思います。もとよりこれは以前から現首相が公言していたことでもあります。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

今回の新月の要素と成立しているアスペクトから、基本的な動向を考えています。

解説用:新月とアスペクト

根拠とした要素

新月のサイン・ハウスおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。

新月のサインとハウス

今回の新月は「♑山羊座・第10ハウス」に位置しています。

サインの基本的な概念

♑山羊座は「公共」「組織」「社会構造」「実績」「政治」などを象徴するサインです。

一般的な解釈例:♑山羊座の月(第10ハウス)

  • 私情を排し、社会の繁栄のために貢献することが自己充実につながる

一般的な解釈例:♑山羊座の太陽(第10ハウス)

  • 社会的に高く評価される実績を打ち立てることに邁進する
  • 自己の手腕によって人や組織を使役し、社会に大きな影響を与える事業を運営する

成立しているアスペクト

今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • 土星
    • 冥王星
  • セクスタイル
    • 海王星
  • セミスクエア
    • 金星
  • クィンタイル
    • ASC

施政者が社会的な権力を行使して、強い姿勢で政治を行うことを示しています。この時期に決定する政治方針については、施政者は今後断固として退かないでしょう。 また、2019年夏には参議院選挙が行われることになっていますので、選挙活動のための政治により邁進するという姿勢をより強調するものと思われます。

補助要素

新月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。

水星

解説用:水星とアスペクト

水星は♑山羊座・第10ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • MC
  • スクエア
    • 火星
    • ASC
  • トライン
    • 天王星
  • クィンタイル
    • 海王星

政府の姿勢に呼応するように、政治色の強いニュースに埋め尽くされるような期間になろうかと思います。

金星

解説用:金星とアスペクト

金星は♏蠍座・第8ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。

  • トライン
    • 火星
    • ASC
  • クィンカンクス
    • 天王星
  • セミスクエア
    • 新月
    • 土星
  • セミセクスタイル
    • MC

金星は債務や海外経済を示す第8ハウスに入ります。この金星に対して強力なハードアスペクトは見受けられませんので、下がり続けている株価は、波乱含みとはいえいったん上昇の機運を見せるのではないかと考えられます。しかしその上昇は継続的か?と問われれば、それは恐らくないでしょう。

火星

解説用:火星とアスペクト

火星は♈牡羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • ASC
  • スクエア
    • 水星
    • MC
  • クィンタイル
    • 冥王星

第1ハウスに入った火星は、戦争の機運の高まりを意味します。今回の場合、火星のサインは♈牡羊座で、より攻撃的な姿勢を持つことが強調されているように見受けられます。また、水星とのスクエアは、ピリピリとした刺激の強い情報や言動の発信を表しています。

軍備費の拡大について方針を決定したということでしたので、年明け早々にもたらされる、神経に触る話題はこの方面のことになりそうです。このところ防衛軍備に関しては巨額の予算投入や護衛艦の改修・役割転換、ステルス戦闘機の大量導入、迎撃ミサイルの配備の問題など一気に動きがありました。いずれも、現政権がいかに戦争を歓迎しているかがあからさまにわかる動向です。

また火星は事故なども意味しますので、派手だったり大きな事故のニュースになる可能性も考えられます。

土星

解説用:土星とアスペクト

土星は♑山羊座・第10ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • 新月
  • セクスタイル
    • 海王星
  • セミスクエア
    • 金星
  • クィンタイル
    • ASC
  • セミセクスタイル
    • 木星

今回の新月のチャートは第10ハウスがかなり強調されているものになりましたが、この土星はその意味をさらに強めています。

♑山羊座の新月に♑山羊座の土星が第10ハウスの中で重なることで、非常に強い権力行使のメッセージであると解釈できます。株価の動きが微妙に上向きになったところで、その期待感や高揚感を意識することもないかもしれないくらい、インパクトが強いのではないかと思います。

天王星

解説用:天王星とアスペクト

天王星は♈牡羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • スクエア
    • 冥王星
  • トライン
    • 水星
    • MC
  • クィンカンクス
    • 金星
  • セミスクエア
    • 海王星
  • セスキコードレート
    • 木星

新月の翌日に逆行を終える間際の天王星は、一時的に冥王星とのゆるいスクエアを形成中です。この組み合わせがタイトに形成されたのは2017年頃でしたが、現在もこの時の影響はまだまだ残っていると思います。どぎつく派手な政治革命の爪痕はまだ鮮明で、現在もその革命は継続中です。

国民が受け止められる形として表に出てくる情報は「理想的な改革の機運」ということになりましょうが、その実はほぼ混迷と波乱しかないでしょう。

冥王星

解説用:冥王星とアスペクト

冥王星は♑山羊座・第11ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • 新月
  • スクエア
    • 天王星
  • セクスタイル
    • 海王星
  • クィンタイル
    • 火星

土星と同じく♑山羊座にある冥王星も、新月とコンジャンクションを形成します。この冥王星は第11ハウスにありますので、これは国会での紛糾と劇的な展開を暗示しているものと思われます。まずは、憲法改正に向けた国会発議について焦点が集まり、何らかの動きがあるものと思われます。

また、通常国会の年始の召集日が、参院選の投開票日に影響を及ぼすということですので、このあたりの駆け引きを理由に召集日とそこでの議題が選定されるものと思われます。場合によっては国会議員選挙は参議院のみならず衆議院との同時実施も有り得るという見通しなどもあるようです。


あとがき:今このときを生きる人へ

「まだ美しい夢の中にいたいけれど、そこから醒める時は近そうだ。」

美しい夢の中の世界とは、誰にとっても、永遠を求めずにはいられないものでしょう。それは無理だと頭ではわかっていても。

夢の世界はそこに永遠に横たわっていて、それ自体は永遠かもしれません。しかし、宇宙を漂うガスがやがて集まりひとつの星になるように、夢の霧がやがて集まり魂の結晶となった時点で、魂は命の器を求める存在になり、夢の世界から飛び出して実体の世界にやってきます。ですから、どんな存在も、その中に永遠に留まっていることはないのでしょう。

占星術のチャート上では、今は何かを結実させようとするエネルギーが強いサインに天体が集結している時です。人によってはその影響を強く受けることがあるでしょう。自らの心のうちに秘めていたことやこれまで継続して努力してきたことなどを形にしようと踏ん張る時かもしれません。その過程は、全くと言っていいほど自分の思い通りの流れにはならないかもしれませんが、自分で決めた道を踏み外さないよう慎重に、しかし力強く大地を踏みしめ、その感触を確かめながら進んでいきたいものですね。

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