2019年4月19日:天秤座の満月

アイキャッチ:満月

今ただ前を見て
往こうとするあなたに
何か贈れるものがあるのなら

背中の向こうを振り返る時間
心を定めるための深呼吸
足元を照らす小さなランタン
乱れ澱むことのない水鏡

前しか見ないなんて
呪いをかけるよりも
総てを存分に捉えてから往きなさい

トランジット図:2019年4月19日 20時12分03秒

月相図のメッセージを詩にする

今回の表現のテーマ

満月=「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」 という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えています。

  • 自立のための自律
  • 前に進むために欠かせないものとは何か

月相図をとおして社会を眺める

月相図のチャートから読み取った内容から、この満月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

背景に漂う空気感を要約する

2019年に入ってから、世の中が大きく動いていることが目に見えてよくわかるようになってきました。また、ちょうど日本は改元の時を迎えることもあり、より一層時代の動きを肌で感じやすくなる条件が重なっています。

この時期に目立つのは、地下に隠されていた過去の置き土産が掘り起こされるような出来事でしょう。感情的にはげんなりするし、エネルギーが奪われる感覚も酷いものですが、社会にとっては必要なことですし、なによりその時代を生きていた自分たちの軌跡でもあるわけなので、目を背けず立ち向かわなければならないでしょう。

ただ、以前に比べて、多くの人々の中になんとなくその感覚が育ってきているかもしれません。それがたとえ現状に対する呆れからの心境変化だとしても、成長のために大切な感覚が育っていることには変わりはありませんから、それでいいのだと思います。もし本当にそうであるならば、この時期の経験が新しい社会の構築のために、大変よい意義を持つでしょう。

社会の基本的な動向を要約する

動きが大きい分野

国内景気

公の発言をいくつか拾ってみても、「大丈夫だ問題ない」と言われてみたり、「実はよくない」と言われてみたり。方々で意見が割れているというか、混乱させられているとしか思えないような状態になっています。実際には、崩壊ギリギリのところまで踏みとどまって、ある日弾けるのでしょうが…。一言でいえばバブルみたいな感じでしょう。

おそらく実際に景気関連のことが大きく動くのは、年末~翌年始ではないかと思います。これからしばらくの間は、その序曲とも言える展開が多くなると思います。

満月の影響を受けやすい分野

貿易の分野

最近さっぱりニュースにあがっていないですが、 EPAやFTAのことなどに注目しておきたいところです。とくに、新月期はトランプ大統領に関連するニュースも極端に少なかったので、何か水面下で動いていた可能性もあるかもしれません。

その他の分野

国会の動向

今回は野党が強い感じがします。しかし混乱しているという印象も強くなりそうです。


解釈について

以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の全体条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の、根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項

  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • 採用しているハウスシステムは「レギオモンタナス法」です。
  • ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの起点)

解説用:ASCとアスペクト

サビアンシンボル

♏蠍座23°「霊感を受けた人の「山上の垂訓」を聞いたあと、人々は家路につく」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルでは♏蠍座の象意のうち「変容にともなう高揚」と「現実との融合」がテーマとなります。

♏蠍座は常に現実を強く意識しているサインです。♏蠍座によって象徴される変容とは、まさしく目の前の現実に横たわる失望感を根底から覆し、生きた輝きを放つための道筋を拓く力となるものです。ですから、何か変容を経験したとき、必ずその結果を現実世界へと反映させようとします。♏蠍座によって象徴される変容は「真実」に結びつかなければならず、浮ついたものではないということです。

変容の前にはまず自己に対する失望と深い反省が必要であり、これが次に自己防衛のためだけのエゴを捨て去るプロセスへとつながります。 このプロセスを経てはじめて人は自らを縛り付けていた古い自己価値観から脱却でき、根底からの変容を実現することができるのです。

現在の社会情勢にこのシンボルとサインの象意を照らし合わせるならば、もうすぐ始まる「令和」の時代に向けて時が流れるたび、新しい時代に向かう前の、地中に埋められ隠され続けた置き土産を掘り起こし続けるような出来事が多くおこるのではないかと思います。

成立しているアスペクト

  • ミニトライン
    • 金星・冥王星
    • 土星+冥王星・海王星
  • セミセクスタイル
    • 木星

今回のアスペクトでは、とくに第2ハウス終盤の土星+冥王星+ノード軸のステリウムが強く働き、♏蠍座の持つ深部へ鋭い視線を向ける力が強まると考えます。国内の多くの人々は、この力の働きに同調しやすいでしょう。

ASCルーラー(支配星)の状況

解説用:ASCルーラーとアスペクト

今回のASCの支配星

冥王星(♑山羊座・第2ハウス)

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 土星
    • ノード軸
  • Tスクエア
    • 満月軸
  • セクスタイル
    • 金星
    • 海王星
  • セミセクスタイル
    • 木星

支配しているハウス

  • 第1ハウス(世論・国全体の空気感)

冥王星は第2ハウスへ入室しており、土星およびノード軸とステリウムの状態です。第2ハウスと言えば国内景気や財政・税制の問題などを扱う領域ですが、ちょうど今秋からの消費税増税に関する情報の錯綜などがニュースとして挙がってきています。現在、国内景気の見方について、政府機関・政党・銀行その他金融関係機関の見方が一致しておらず、多くの国民はもはや何を信じていいのかわからない状態になっており、これが大きな問題として表面化してきました。また、紙幣のデザイン変更などの問題もこの分野に該当しますので、最近殊ににぎわっているこの分野の現状と、今回の月相図はよく連動しているものと思います。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

解説用:MCとアスペクト

サビアンシンボル

♍乙女座3°「黒人と白人の子供たちが、幸せそうに一緒に遊んでいる」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルは♍乙女座の象意のうち「純化された精神」「偏見にとらわれない価値観の発達」を示しています。

♍乙女座は、目の前の現実を徹底的に観察し、詳細部分まで見定めることを繰り返しながら真実の姿を追い求めるサインです。このシンボルでは詳細な観察や識別の結果、個々の異なる存在の中に人としての同一・同質性を見出し、自らの偏見を取り払う様が描かれています。

ピンポイントなターゲットを追い続け、ひたすら目を凝らしながらその点を見つめているうちに視野を開いていくというのは、なかなか面白いことだなと個人的には思います。もしかすると多くの日本人には、この方法が向いているのかもしれないなあ…と最近よく思うのです。

広い世界を見る能力があったとしても、それだけでは世界はよく見えないものなのです。ミクロの視点とマクロの視点は、結局両方獲得しなければならないのです。

成立しているアスペクト

  • メディテーション
    • 満月軸+天王星
  • クィンカンクス
    • 水星

さて、「令和」が始まるのが、ちょうどこの満月期の終盤に当たります。ですから、今回のMCに示されている集合的エネルギーの結実の結果というのは、まさに真なる平和の姿を追い求める人々の願いをダイレクトに表しているように思えます。今回のMCはちょうど満月軸を調停する位置にあり、また天王星のもたらす革新力も調和的に働くと考えると、天空に描き出される星々のメッセージからは、まだまだ私たちはこれからの時代をよりよく生きるために全力を尽くすべきだなと感じさせられます。

MCルーラー(支配星)の状況

解説用:MCルーラーとアスペクト

今回のMCの支配星

水星(♈牡羊座・第4ハウス)

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 金星
  • クィンタイル
    • 土星
  • セミセクスタイル
    • 天王星

支配しているハウス

  • 第10ハウス(政府・与党)
  • 第8ハウス(海外経済・株価)

第4ハウスは主に国土環境を示します。したがって、この分野の出来事が、政府・与党の動向や株価の変動などに連動していきます。国土環境や農業に関連することなどは、「揺らぎのとき」かもしれません。

ところで、よくよく見ると、今回のICの位置は、新しい時代の天皇に即位される現徳仁皇太子殿下のN太陽の位置です。日本国内の人々の心の礎が、殿下へとシフトすることの表れでしょうか。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

満月のサイン・ハウスおよびアスペクトをとる天体との関係から考えています。

解説用:満月とアスペクト

満月のサインと滞在しているハウス

今回の満月は「♎天秤座・第11ハウス終盤」に位置しています。対となる太陽は「♈牡羊座・第5ハウス終盤」に位置しています。

サインの基本的な概念

♈牡羊座-♎天秤座のラインは 「存在」と「自立」 に関わっています。

一般的な解釈例:♎天秤座の月(第11ハウス)
  • 多くの人々を繋ぐキーポイントに立ち、その関係のすべてを調律しようとする
  • 未来を紡ぎだすための同志を繋ぎ、人の環が生み出すビジョンを実現するための手助けをすることを望む
一般的な解釈例:♈牡羊座の太陽(第5ハウス)
  • 自らの直感が示す壮大なビジョンを描きだすために情熱を注ぐ
  • この世に生まれ、存在していることそのものに対する歓びを全力で体現する

成立しているアスペクト

今回の満月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • オポジション
    • 天王星
  • Tスクエア
    • 冥王星
  • メディテーション
    • 木星
  • クィンカンクス
    • 金星
  • セスキコードレート
    • 火星

今回の満月が支配しているハウス

  • 第9ハウス(法律・学術・貿易)

これから新しい時代に向かうにあたり、人々はおそらく対等につながりたいと無意識に願っています。それも、限りなく多くの人と。

おそらく、いろいろと深刻な事件や出来事が毎日のように私たちを襲います。とくにこの時期は経済や災害のニュースがひしめいていて、時代の激動期であることをことさら強く印象付けているように思います。

♎天秤座というと、よく自主性の喪失や仮面性のことについて言及される印象がありますが、本来の♎天秤座の姿とは自己調律の完成形です。つまり、自律した一人の人として自らを確立し、この世に存在するすべての人には同じように自主性が備わっているからこそ、それを互いに尊重し合う必要があるということをよく知っているのです。今回、♎天秤座の最終度数で発生する満月は、このような♎天秤座の性質を達観する月であることを示しています。すなわち、新しい時代に向かう私たちひとりひとりが、この精神を育てる必要があることを知らしめているのだと感じます。

期待も、不安も、現実逃避したい思いもすべてしっかりと認識したうえで、それでもなお自己をまっすぐに調律し、見失わないようにすることが、この時期の課題です。

満月のルーラー(支配星)の状況

解説用:満月のルーラーとアスペクト

今回の満月の支配星

金星(♓魚座・第4ハウス)

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 水星
  • スクエア
    • 木星
  • セクスタイル
    • 冥王星
  • クィンカンクス
  • セミセクスタイル
    • 太陽

満月の支配星が支配しているハウス

  • 第7ハウス(外交・同盟)
  • 第11ハウス(友好国・自治体・国庫)
  • 第12ハウス(隔離領域・諜報・陰謀)

金星とのアスペクトはありませんが、同じく第4ハウスには海王星も入室しており、現在の日本社会の理想や夢の源泉を、国土に求めているということなのかもしれません。上述したように、今回の満月図のICの位置は新天皇の太陽の位置であり、今回の場合、第4ハウスの象意にある「国土」というのは、表現が難しいところですが、古から続いている風習によって形作られる「国家の象徴・精神」を指し示しているのかもしれません。新天皇によって象徴される新時代の波が広く一般大衆の心に染み渡って、この時期の国民感情を形成するのだと考えて差し支えないでしょう。

また、この影響は外交分野や各自治体等のコミュニティ、ひいては普段一般の人の目に入ることのない隔離領域にも及ぶということになります。

その他注目したい天体とハウス

注目したい天体やハウスに焦点をあててみます。

第2ハウスとハウスルーラー

解説用:第2ハウスの入室天体およびルーラーとそのアスペクト

ハウスカスプ

♐射手座20°

ハウスルーラー(支配星)

木星(♐射手座・第2ハウス)

成立しているアスペクト

  • スクエア
    • 金星
    • 海王星
  • メディテーション
    • 満月軸
  • セミセクスタイル
    • 冥王星

入室天体

  • 土星+冥王星+ノード(ステリウム)

第2ハウスには作用の重い天体が集中している形になっています。目立つのはやはり土星+冥王星+ノードというステリウムです。満月図は新月図より影響力は薄いと思いますので、そこまで劇的な大事件などは起こらないと思いますが、こと日本にとっては新元号のスタート期にあたる月相図に当たるため、やはり経済的に大きなダメージをこうむるような出来事の有無には注視しておきたいところです。

木星もこのハウスにありますので、目立つ話題が多くなることは避けられないでしょう。


あとがき:今このときを生きる人へ

とくに今回に限ったことではないのですが、♈牡羊座の太陽と♎天秤座の月とで形成される満月の意味を一言で表現するなら、「自立のために自律せよ」ということだと私は思っています。

あらゆる関係性の中で多様な揺らぎを見せる自分を理解し、受け入れた上で、しなやかな軸を作り、自己と他者を同じように慮りながらそれらすべての間において自己という存在とその在り方を律すること。「中庸」の概念にも近いと思うのですが、これが♎天秤座の満月の意味だと思うのです。そして、その先にこそ、♈牡羊座の太陽が示す「自立」が実現するのです。

「自立」と「自律」は常に繋がっていて、切り離すことのできない概念です。 そしてこれは、これからの新しい時代を生きる私たちの最も重要な精神基盤だと思います。どうぞこの満月の期間に、自分自身の内側にこの基盤の構築をはじめるきっかけを得られますように。あるいは、この基盤が自分自身の内側に正しく作られているかどうか、振り返る機会に恵まれますように。

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