2019年6月3日:双子座の新月

アイキャッチ:新月

曇り空の下
雨露に濡れたままの
たたずまいも

青空の下
少し乾いた花びらの
そよぐ様も

表情は違うけれど

どこか
変わらない憂いの色が
いつもある

ただ無力に
変わりゆく時間と世界を
漂うように見えて

その憂いを隠し
どの時代も懸命に生きた人々の
姿であるかのような

花も人も
どこか同じように
したたかなのかもしれない


月相図のメッセージを詩にする

今回の表現のテーマ

新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。

  • 激流の中を生き抜くしたたかさ

月相図をとおして社会を眺める

トランジット図:2019年6月3日 19時1分49秒

月相図のチャートから読み取った内容から、この新月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

背景に漂う空気感を要約する

派手で騒々しいニュースが縦横無尽に飛び交い、混沌の様相を帯びています。そのような中でも、むしろそのような中だからこそ、人々は次第に現状にはっきりとした疑問や迷いを持ち、調和の時代に向けて少しずつ歩みだそうとしているようです。

困難ばかりが伴うことも分かっているけれど、何もしないで待っているばかりでも仕方がないと考え、時代の潮流に流されながらも、抗いがたいその流れの先に出くわす世界を受け入れるための、心の準備をし始める期間となるのかもしれません。人々は意外としたたかなのかもしれないですね。

社会の基本的な動向を要約する

動きが大きい分野

軍事および外交分野において大きな動きがみられる可能性があります。何らかの決断や意志表明があるというよりは、国家自体や周囲を大きく翻弄するあるいは翻弄されるといった雰囲気が強いです。動き自体は派手になりがちだと思います。

また、軍備費用の投入についても派手な展開が出てくるかもしれません。

新月の影響を受けやすい分野

信用

国債の価格などに影響が出てくるかもしれません。拡大・拡散傾向を示す天体やサインばかりが絡んでいることから、特に意味もないのに価格が上昇するような展開になる可能性が考えられます。

その他の分野

情報

不可解な事件、事実がよくわからない不透明な報道などがいつも以上に多くなることが考えられます。ジャンルは特定のものではなく、全体的にこの傾向が強まると思われます。


解釈について

以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の全体条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の、根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項

  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • 採用しているハウスシステムは「レギオモンタナス法」です。
  • ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの起点)

解説用:ASCとアスペクト

サビアンシンボル

♐射手座15°「カモメが食べ物を期待して、船のまわりを飛ぶ」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルでは♐射手座の象意のうち「サバイバル性」と「楽観性」が示されています。

ここでは、サバイバルのためにむしろ人間社会と積極的に接触して、危険を避けながら効率よく食物を得て生きながらえようとする生き物の姿が描かれています。♐射手座の対極サインである♊双子座の狡猾さを取り入れることで、「生き延びる」ための手段や価値基準を顧み、新たな姿勢で生きることに望むという意味合いとなります。

成立しているアスペクト

  • コンジャンクション
    • 木星
  • Tスクエア
    • 新月・木星・海王星

過度に楽観的で、あてもないままフラフラとあちこちを飛び回るような雰囲気に見えます。根も葉もないような噂話であったり、ワクワク感ばかりを刺激されるような話題などがあふれかえり、下手をすると物事の本質を見失ってしまいそうです。

人々の感動を刺激する、エンターテイメント性にあふれたエピソードなどが多くなるかもしれません。またそれは何らかの民衆扇動のための仕掛けである可能性も考えられます。

ASCルーラー(支配星)の状況

解説用:ASCルーラーとアスペクト

今回のASCの支配星

木星(♐射手座・第1ハウス)

成立しているアスペクト

  • オポジション
    • 新月
    • 水星
  • Tスクエア
    • 新月・海王星
  • セミセクスタイル
    • 土星
  • セスキコードレート
    • 天王星

今回は、ASCの支配星が第1ハウスに入っている形です。支配星のカラーが国内の空気感の傾向がはっきりと表れるでしょう。

この新月の期間は、かなりの「にぎやかさ」あるいは「騒々しさ」を感じる期間として人々の印象に残るでしょう。人々の注目を一手に集めるような派手なニュースが多くなるかもしれません。または「カオス感」が強い期間になるかもしれません。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

解説用:MCとアスペクト

サビアンシンボル

♎天秤座1°「過去の体験の果実が、永遠に創造的な霊の種子の実現へ変成する」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルは♎天秤座の象意のうち「人格の完成」とともに迎える新しい人生の発露を示しています。

♎天秤座は個性の完成を経て社会へと臨み、その中で多くの人たちと出会い、交わりながら、社会の調和へ寄与するサインです。このシンボルは、そのためのスタートを切った直後の様子を描いていると考えることができます。

成立しているアスペクト

  • スクエア
    • 水星

今回の月相図では、アスペクトが水星とのスクエア1つしかないので、他に救済要素がない状態です。外交分野における雑多な情報に翻弄され、調和の達成には困難が伴いそうです。

MCルーラー(支配星)の状況

解説用:MCルーラーとアスペクト

今回のMCの支配星

金星(♉牡牛座・第6ハウス)

成立しているアスペクト

  • ミニトライン
    • 海王星・土星+冥王星

支配しているハウス

  • 第10ハウス(政府・与党)
  • 第6ハウス(国防・労働・健康状態)

軍事・国防への関心が高まりやすいでしょう。またそのための費用である国防費が大きくつぎ込まれそうです。これらの出来事は結果として、国内世論においてはおおむね歓迎されるでしょう。

前のセクションに記載した内容を合わせて考えると、外交そのものは少々いらだつような展開になりながらも、軍備の充実を図ることで国家の安全を目指しているというアピールを用いて、国政の安定を図ろうとするような動向になると思われます。

いまだに読み切れていないのですが、今年の春分図においては、多くの国民のあいだで、自国あるいは自分たちの生活上の安全を脅かす存在に対する交戦意識が強く浮上しています。そのため、なんだかんだといいつつも、国全体としては軍備増強を歓迎する風潮が勝つことになると思われます。望ましいことかと言われれば、決してそんなことはないのですが。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

新月のサイン・ハウスおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。

解説用:新月とアスペクト

新月のサインと滞在しているハウス

今回の新月は「♊双子座・第6ハウス終盤」に位置しています。

サインの基本的な概念

♊双子座は「思考」「伝達」「意思疎通」「通信」「交流」「選択」「言語」「学習」などを象徴するサインです。

一般的な解釈例:♊双子座の月(第6ハウス)
  • 尽きない探求心を他者への貢献に振り向けようとする
  • 過度に重い情を挟むことなく現実を眺め、他者のケアのために適切に立ち回ろうとする
一般的な解釈例:♊双子座の太陽(第6ハウス)
  • 社会貢献的なメッセージの代弁者になる
  • 軽やかなコミュニケーションの才能を用いて人々の心をケアする役割を果たす

成立しているアスペクト

今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • オポジション
    • 木星
  • Tスクエア
    • 木星・海王星
  • セミセクスタイル
    • 火星

今回の新月が支配しているハウス

  • 第8ハウス(国家の信用・株式・海外経済)

軍事・医療・労働など、今回の新月が位置する第6ハウスの象意には実に多くのものが含まれています。現在の日本ではそのそれぞれに膨大な量の問題があり、おそらくそのほぼすべてが不安定に揺れ動く時期となります。その中でも注目しておきたいのは軍事と医療(あるいは健康)に関することだと思われます。

今回の新月の度数はサビアンシンボルで見ると美しい音楽によって人々の感情面を刺激し、導いていく様子が描写されたものです。心を潤す音色、激流のような活力をもたらす音色。音色にはいろいろありますが、人は無意識のうちにあらゆる音色に反応していて、気分が変化したり、考え方や行動が変化しているのです。

♊双子座の基本的な象意というと、最もよく取り上げられるのは「コミュニケーション」ですが、中には「扇動」というものもあります。扇動には必ず何らかの意図がありますので、どのような意図をもって人々を扇動しているのかという部分がたいへん重要になります。

おそらくこの期間中、国は軍事のほかに外交分野でいろいろと動くことになりますが、その結果が特に反映されるのが株価です。どちらかといえば不安定な様相を示すことになると思いますので、その分株価も下がっていくと思われます。

新月のルーラー(支配星)の状況

解説用:新月のルーラーとアスペクト

今回の新月の支配星

水星(♊双子座・第7ハウス)

成立しているアスペクト

  • オポジション
    • 木星

新月の支配星が支配しているハウス

  • 第7ハウス(外交・同盟国)

この期間には、外交に関連する政府の発言、あるいは外交現場でのやりとりそのものがかなり増えるものと考えられます。それも穏便というよりはやや神経質な感じのするものでしょう。一方で世論は楽観性が目立ちそうです。しかしそれはもしかすると、シリアスだったり不安定で先の見えない状況を楽観的に受け止めたいという願望が表面化した形なのかもしれません。

その他注目したい天体とハウス

注目したい天体やハウスに焦点をあててみます。

第3ハウスの海王星

解説用:海王星とアスペクト

成立しているアスペクト

  • Tスクエア
    • 新月・木星
  • ミニトライン
    • 金星・土星+冥王星
  • トライン
    • 火星
  • セミスクエア
    • 天王星

この新月図において、天底付近に沈む海王星はほぼすべての天体とアスペクトが成立しています。唯一成立しないのは水星のみで、他はすべてアスペクトを形成しており、影響力が強いと考えられます。

この期間はあらゆる分野において集中力が保たれにくく、とくに情報は単に日々の背景としてうろうろと漂うだけで、役に立つものはほんの少しだけであるのでしょう。


あとがき:今このときを生きる人へ

今回の新月の月相図単体ではあまり強い印象はないなと思っていたのですが、分析を進めていると少し興味深いことがありました。それは日本という国の成立、あるいは体制の大きな変化の節目の折のノードの位置がほぼすべて同じ位置であるということです。そして、その位置とは今回の新月の位置。各時代の節目の時、ノースノードはいずれも♊双子座の12°~14°の範囲内にありました。

個人にとっての♊双子座のノードとは交流への根源的な欲求であり、広く他者との関係性を築きながら自由にその関係の中を行き来して呼吸することが大切になってきます。それでは、国にとって♊双子座のノードとはどのような意味があるのでしょうか?

もしかすると、日本という国に住まう人たちが絶えず求めてきたものは、遥か昔から一貫しているのかもしれません。それは「風通しのよさ」なのでしょう。おそらく、個人にとってのそれと根本的な意味はあまり変わらないのではないかと思います。

長いこと閉鎖的な社会環境の中で生きてきているにも関わらず、その願いがホロスコープに表れ続けているということは、よほど強い願いなのではないでしょうか。この新月の期間は、もしかするとその一貫した願いに対して素直になれるようなきっかけに出会うための期間になるのかもしれません。「黙って隠していなくてもいい」ということなのかもしれません。

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