2019年7月3日:蟹座の新月(皆既日蝕)

アイキャッチ:日蝕

目指す空が
隙間なくふさがれているならば
少し窮屈だけど身を伏せて
足元に耳を澄ませてください

聞こえますか
大地の下に息づく
見えない水の通り道を
行き交う無数の足音が

この地球の空は
いつもどこかがこんなふうに
ふさがれ続けてきたし
今もそうだけど

聞こえますか
暗闇の中でこわばり
孤独と向かい合いながら
時を待つ無数の願いが

大地の下の水脈は
見えないものだけど
信じてください
それは世界と 生命と
つながっていることを

その流れに乗っていけば
やがてあなたは知るでしょう

生命の行路の壮大な有様を
その道と世界の姿のつながりを
至る処に湧き出すことができることを
人の想いの雫が大河となる様を

ゆったりと流れる川面に輝く夕暮れ雲が映り込んでいる景色

月相図のメッセージを詩にする

今回の表現のテーマ

新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。

  • プレッシャーに耐えながら抱え続けてきた想いを打ち明ける
  • 小さな世界の幸福は、そのまま大きな世界へと反映される

月相図をとおして社会を眺める

トランジット図:2019年7月3日 4時16分5秒

月相図のチャートから読み取った内容から、この新月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

背景に漂う空気感を要約する

日々心の中に抱えため込んでいるたくさんの想いをはっきりと自覚したり、打ち明けようとしたりする人が増えてくるかもしれません。悲しみや辛さの多い社会の中で乾き続けていく心を本当は潤したいのだと、おそらく誰しもが願っているでしょう。それは人としてごく自然なことです。

近頃は闇に染まった既得権益との結びつきが各所で指摘されたり、社会的に弱い立場の人たちや武器を持たない人たちが、それを持つ側の人々によって容易に傷つけられたりする出来事が一層目立つようになってきています。ですから、あからさまになりつつある歪んだ力の影響力について考え、なぜそのような歪みがはびこっているのかに抗議する人や、抗議まではいかなくとも、社会不振の見極めと正常化のための道を模索するために、長い間隠されてきた社会的な仕掛けの秘密を探ろうとし、その手掛かりのために誰かの発する答えを求めたりするような動きも増えてくるでしょう。

社会の基本的な動向を要約する

国内世論

少なくともこれから半年間は、日本社会は自らの在り方やその立ち居振る舞いを問われる期間となります。主に民族的な同胞意識・ルーツについての関心や、人間的な心のある社会についての関心、家族やとくに子どもたちの育成に関する意識などを見直す必要に迫られます。これらの兆候はすでに出ているとも言えますが、長期的に取り組まなければならない重要なテーマであると言えるでしょう。

新月の影響を受けやすい分野

景気

ちょっと派手な展開になりそうなので、心の準備をしておきたいです。どちらの方向に行くかという予測は難しいですが、突発的に下がるという動きになる可能性が高いかもしれません。

その他の分野

海外各国

外交面の課題がひたすら重苦しいですが、多くの人が心配しているように、とくにアメリカとの同盟関係には暗雲が立ち込める可能性が考えられます。また、中国・韓国等との関係性も結局改善できないままよからぬ方向へ進んでいくかもしれません。保守強硬(っぽい)路線にこだわり続けるとその後の展開は下り坂の一方になります。おそらくまだ決定打となるようなアクシデントはすぐには起きないでしょうが、果たして現政府はどのような選択をするのか、注意深く見ていく必要があります。


解釈について

以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の全体条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の、根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項
  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • 採用しているハウスシステムは「レギオモンタナス法」です。
  • ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの起点)

解説用:ASCとアスペクト
サビアンシンボル

♋蟹座6°「2つの自然霊が月光の下で踊る」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルでは♋蟹座の象意のうち「潜在性」「保護領域下で育まれる豊かな想像力」「本能と神秘の領域の顕在化」を示しています。

単純に表現すれば、心の奥で大切に守られている潜在意識世界の豊かさを示すシンボルです。♋蟹座には「聖域」という象意がありますが、この聖域はすべての人の心の中に潜んでいます。その心の中の様子を描写しているのです。

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • 新月(日蝕)
    • 金星
  • セクスタイル
    • 天王星

蝕(日蝕あるいは月蝕)は、占星術のチャートにおいては、太陽と月がノード軸とコンジャンクションする状態を指します。半年に一度程度のサイクルでやってくるタイミングですが、この日蝕は今年の最初の蝕となります。

今回の日蝕図では、ASCに新月(=日蝕)がコンジャンクションしていることが特徴的です。人々が内面に抱え続けている想いの大きさを象徴しているように思えます。ここに天王星が変革あるいは覚醒的な影響を与えていると見ることができます。

まず心が潤いで満たされるような社会を人々は望んでいます。これまでため込み続けてきた思いの丈をはっきりと自覚したり、それをきっかけとして外に向かって放出しようとしたりするような動きが広がり、その雰囲気は社会全体を包み込んでいくでしょう。

ASCルーラー(支配星)の状況

今回のASCの支配星

月(♋蟹座・第1ハウス)

今回ASCの支配星は月となりますので、詳細は後述の「社会の基本的な動向」を導き出した要素のセクションをご参照ください。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

解説用:MCとアスペクト
サビアンシンボル

♓魚座18°「自分の弟子に教示するマスター」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルは♓魚座の象意のうち「不可視領域の知識の伝授」「同調による伝授」を示すと考えられます。

表面的な物事の中に秘められた真意、この世の理論では説明できない事象などの中に宿る神秘的な要素を学ぶには手段が限られます。開けた世界にはその方法は存在せず、閉じられた、あるいは隔離された世界に通じる人に頼ることになります。その人に付き、周波数を合わせて同調することでしか受け取れないものが存在します。

人がどれだけ進化しても、どれだけの時間が経っても、このような方法でしか受け取れないものがなくなることは永遠にありません。それは、すべての進化をもたらす原因が、人が決して完全に理解することができない「神秘」つまり神の領域のものであるからです。

このような基本的な解釈を今回の日蝕図に落とし込んで考えると、この日蝕の頃を境に、全社会的な動きとして「秘密の領域に触れようとする」欲求が高まっていくのではないかと考えます。

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • 海王星
  • メディテーション
    • 日蝕・土星+冥王星
  • スクエア
    • 木星
  • セスキコードレート
    • 水星

しかしながら、この社会に仕掛けられた仕掛けの大きさは計り知れません。あちらこちらに手掛かりはありますが、それらを拾い集めているうちに本来の道筋を見失い、戸惑いが尽きることはないでしょう。それでもおそらく人々は、きっとこの先大きな秘密を探ることをやめようとはしないでしょう。

ただ自らが愛する人々や身近な世界を守ろうとする動機を貫き続ければ、やがてそのすべてに社会の壮大な仕掛けがつながっているのだということを目の当たりにするからです。

答えを探し求めてその道しるべとなり得る人にすがろうとする人も多くなるかもしれません。このとき、是非冷静さを失わないようにしてください。煽情的な物言いをする人、ひどく理想的で心地よい夢のみを安易に語る人などには特に注意しましょう。

MCルーラー(支配星)の状況

解説用:MCルーラーとアスペクト
今回のMCの支配星

海王星(♓魚座・第10ハウス)

成立しているアスペクト
  • セクスタイル
    • 土星+冥王星+ノード軸
  • スクエア
    • 木星
  • セスキコードレート
    • 水星

MCは自らの支配星である海王星と強固に結びついています。秘密をより秘密たらしめ、広大な虚構の海の中に真実を埋没させてしまうかのような。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

新月のサイン・ハウスおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。

解説用:新月とアスペクト

新月のサインと滞在しているハウス

今回の新月は「♋蟹座・第1ハウス」に位置しています。

サインの基本的な概念

♋蟹座は「礎」または「礎となる環境」を示すサインです。これは例えば、物理面では「家族」「家系」「血族」であったり、「故郷」などを意味します。精神面では「身内意識を抱く人」「テリトリー」「防護壁」「拠り所」「依り代・聖域」「結界」などを意味します。また、支配星の月と共に「母性的な愛情」「共感性」も意味します。

一般的な解釈例:♋蟹座の月(第1ハウス)
  • 内に秘めた感情こそが自分自身の証であると感じる
  • 並外れた感受性を持つ
  • あふれんばかりの想いを主張する
一般的な解釈例:♋蟹座の太陽(第1ハウス)
  • 愛する者を守るために生きることが自らの存在意義であるという信念を持つ
成立しているアスペクト

今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • ノード軸(=蝕)
  • オポジション
    • 土星
  • メディテーション
    • 土星・海王星
  • セクスタイル
    • 天王星
今回の新月が支配しているハウス
  • 第1ハウス(世相)

新月のルーラー(支配星)の状況

今回の新月の支配星

月(♋蟹座・第1ハウス)※自分自身

蟹座的な世界観を解説する場合、基本的には自らを取り巻く小さな世界がすべての基準であると解説します。「井の中の蛙大海を知らず」ということわざがイメージに最も近いです。しかし、ここで終わってしまう解説ならば、♋蟹座にそれ以上の発展を見ていないことになります。つまりそれは♋蟹座を真に理解しているとは言えません。

井戸とは、地下水脈から水をくみ上げるものです。したがって♋蟹座が世界を理解するには、この地下水脈を辿る方法が適していると言えます。地下水脈は、地上の視点では理解できないつながり方で、大地の隅々にまで伸びていっています。その様子を認識することで、すべての世界は地下に流れる水によって接続していると知るのです。

また、水脈を辿っていくと、その流れは地下だけでなくいたるところで地上へと姿を現しているということを同時に知ります。あるところでは湧き水として顔を出し、あるところでは地面からじんわりと染み出して。またそれらの集合体は川や泉となって、地上の生き物たちを潤しています。このような体験を通してこそ、♋蟹座は自らが認識し心を配ることができる領域(テリトリー)を拡大していくのです。

何が言いたいかというと、♋蟹座は決して狭い世界の中で一生を終えるだけのサインではなく、ましてやそんなことを運命づけられたサインでもないということです。むしろ、自らの感情の乱れに振り回されて世界を狭くしたり、傷つくことを恐れるあまり世界から自分を隔離する方法を選ばないようにしなければならないということです。

♋蟹座の最も偉大なところは、たとえ自らの小ささを痛感していても、愛するものを守るために戦う決意ができる強さにあります。今回の日蝕図は、今がまさにその強さを発揮するための時期であるとも教示しています。地下水脈から広大な世界を知り、その結果として愛するものと小さな世界を守るための戦いを決意する時が来たのだと。そのような意識が広く社会に浸透していく時でもあるのだと。

このような集合意識が、日蝕という天の刻印によって、社会とこの時代に深く刻み込まれていくのでしょう。

その他注目したい天体とハウス

注目したい天体やハウスに焦点をあててみます。

第1ハウスと第7ハウス

解説用:第1ハウスと第7ハウス

日蝕がアンギュラーハウスで起こるということで、大変センセーショナルな象徴であると感じます。いよいよ夏の参院選を迎える時期に入ってきたということもあって、日本の政治の行方を握る正念場としての時期を示していると思います。第7ハウスは通常、主体国にとっての同盟国や敵対国といった、対等な「国」という存在を指しますが、この図は、日本国の主権者たる私たちと世界的支配層との対峙を見ているような気分にさせられます。満身創痍ながらも戦う意識を秘めている様子を感じ取ったりもします。

愛国心とナショナリズムのちがい

最も注意しなければならないのは、愛国心とナショナリズムは別物であるということを、主権者である私たち各個人が的確に理解しなければならないということでしょうか。この点について次のサイトが参考になりましたので、リンクを設置しておきます。

またもう一つ、このような類の主義主張の話をする際、右とか左とかというイデオロギーの概念を当てはめながら理解しようとすると確実に失敗するということを添えておきたいと思います。それらはとっくの昔にその意味が狂わされているからです。

孤立した金星

解説用:金星とアスペクト
位置

♊双子座28°・第12ハウス

成立しているアスペクト
  • セミセクスタイル
    • 火星
滞在ハウスルーラー

水星(♌獅子座・第2ハウス)

いちおうセミセクスタイルというマイナーアスペクトが成立していますので、完全なノーアスペクトとは言えませんが、少なくともメジャーアスペクトはひとつも形成されておらず、孤立状態に近いと言えます。しかし、第12ハウス側とはいえASCにはほど近く、やや不気味な影響を持っている状態とも言えます。

双子座の金星というと、ゴシップ的な印象が強い感じがします。今回の場合は第5ハウスに影響が及びますので、芸能やスポーツなどの分野が絡む不可解で謎めいたゴシップネタがより多くなり、国全体の混迷度をさらに演出する結果になりそうです。このような話題に社会への関心を巻き取られないように一人ひとり気を付けたいところです。


あとがき:今このときを生きる人へ

先日のG20終了直後に驚きの展開がありました。あのような出来事を見ていると、もはや私たちはどれだけ真実を伏せられたままで過ごしていて、世界の流れに全くついていけていないのだろうと思わされますね。追いかけようとしていても、常に足りない感覚しかありません。

私たち一人ひとりが見る世界は小さいですし、日本という国を見ると四方を海に囲まれていることもあって、世界というフィールドの上に存在しているにもかかわらず、まさに井の中の蛙と同じ状態に陥ってしまいがちだと思います。口の開いている方向とは空の方向で、そちらを見上げてみても真上の空が見えるだけで世界は見えません。この状態をもどかしく思う人は少なくないと思いますし、私自身もそういった感覚に陥ることが多々あります。

しかし、今回の月相図の解釈を行うにあたって♋蟹座について想いを巡らせているうちに、「地下水脈から世界を見る」という可能性に思い至りました。もしかすると「世界を見る=空の方向」という大変ワンパターンな思考に縛られていることに気づいていなかったのかもしれないと。

それならば、空を見ること・空から見ることとは全く異なる方法で世界を見ることを知ったほうがいいと思ったのです。そして、おそらくそれこそが、とくに水サイン的な世界の見方そのものなのだろうという理解に達しました。水サインという存在を、狭い世界に閉じこもる存在に祭り上げなくても、水サインが自らに備えている「水への親和性」そのものを高度に使用すれば、井戸が接続している地下水脈から巨大な流れに乗って旅をすることができ、やがて広大な世界をリアルに認識することができるようになるはずです。そして、水脈上に無数に点在する地上への通路をたどれば、いつでも自由に空の下に出ることが可能です。そこにはもはや無限の可能性しかありません。

今持つべきなのは、この地下水脈を信頼する力なのかもしれません。その水脈は見えはしませんが、実に多くの人との意識のつながりを保っているはずです。「小さく健全な人としての幸せが満たされる社会を望む意識は誰の中にも存在しているはずだ」という信頼をどこまでもてるかが、一つの集合体としての私たちが自分たちの主権を明け渡さないための最も大切な礎になるのではないでしょうか。

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