真夏という季節は
移ろいゆく時の姿を
浮き彫りにして
やがてそのすべてを
光の海に溶かしこんで
思い出へと変えて
去って行ってしまう
この手に触れた
あの熱さでさえも
まるで幻だったと
感じさせるほどに
そんな季節だと
感じることが
かつてあなたには
ありませんでしたか
どんなにリアルな真実でも
その姿のままでは
時の中に留まれない
ものだから
確かにそう感じられて
仕方ないときも
あるでしょう
真夏の輝きこそが
幻そのものだと感じられ
眩しさが散りばめられた
世界そのものを
いかにも艶めかしい嘘だと
嘲笑う人も
いるでしょう
太陽から降り注ぐ
この熱さでさえも
失意の前では
すべて虚構の霧へと
変わってしまうものだから
だからもしあなたの世界に
世界が輝きを放っていることも
命が煌めき続けていることも
時には熱さがあることも
感じられない人がいるなら
その事実こそ
姿や形は違っても
かつて幼かったあなたが
抱いていた失意が
その人の中には今も
息づいているという
証であると
言えるのです
どうぞ少し耳を
澄ましてみてください
時折爽やかな風が
抜けていく時だけは
その失意の中でも
生き続けている
彼らの秘めている
真実の願いの声が
柔らかな音色を
奏でることでしょう
月相図のメッセージを詩にする
今回の表現のテーマ
新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えています。
- 無尽蔵に湧き上がる熱を正しく昇華させる
- この物語が虚構に終わらないように
月相図をとおして社会を眺める
月相図のチャートから読み取った内容から、この新月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。
この新月の影響を受ける期間は、次の満月までです。
背景に漂う空気感を要約する
この社会に幾重にもまとわりついている問題を、今多くの人が認識しています。とくに先般の月蝕あたりに発生したいくつかの社会的な出来事は、この状況へと人々を導くのに大変大きな役割を果たしました。これまで私たちを取り巻く社会が平和だと思っていた人には、実はそうでもないのかもしれない感じられる機会が訪れ、以前から憂いていた人には、多くの人に植え付けられた「ここは平和」という常識を覆すためのきっかけが増えてきたことに、微かな可能性を見出すことができる機会となったでしょう。
人々の熱量は、社会を動かすための燃料となるものです。今回の新月が象徴する期間は、この熱量がかなり高まる期間となります。凄惨な現実を執拗に突きつけられ、大きく苦痛も伴いますが、おそらく人々は最終的に、その苦痛を乗り越えることを選ぶのではないでしょうか。高いところからこの世界を見れば、ただ熱狂的な時代の変遷の祭に駆り立てられているだけなのかもしれません。しかしそれも人の大切な営み。卑下することは何もありません。けれど、ただのエンターテイメントで終わらないようにだけはしたいものです。
社会の基本的な動向を要約する
動きが大きい分野
法律
参議院選挙直後に首相および与党から真っ先に言及されたのは改憲に関することでしたが、この新月図では、まさにその分野が社会的な動向のメインになることが示されています。改憲発議に至るための諸々の騒動があるでしょう。
新月の影響を受けやすい分野
権力機構
この新月の時期は、一般の人々の視線もこの分野に集中するものと思います。冷めた目というよりは、むしろ各自の秘めている熱の源があえて掘り起こされるかのような結果へと結びつくでしょう。扇動的かつ高圧的な報道姿勢などがその理由になってくるのではないかと考えられます。
その他の分野
エンターテイメント
このところ立て続けに発生したエンターテイメント系の出来事は、真実を追求されることがないようにあいまいな状態のまま立ち消えになっていくと思われます。瞬間的にあがったボルテージは持続しないためです。そのボルテージが下がってきた際に、冷静に問題点を見極められるかどうかが今後の展開を分けるでしょう。
解釈について
以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。
根拠とした各要素と詳細
表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
前提
解釈の全体条件は次のとおりです。
チャートの主体
「国家の基盤である民衆の、根源的欲求の集合体」と考えています。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
- 採用しているハウスシステムは「レギオモンタナス法」です。
- ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。
「背景に漂う空気感」を導き出した要素
背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。
ASC(集合的エネルギーの起点)
サビアンシンボル
♏蠍座8°「仕事中の歯医者」
サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意
このシンボルは♏蠍座の象意のうち「集中力」「執着」「苦痛を乗り越える」ことなどを示します。「因縁」との決別という意味合いも含みます。執拗について回る問題を解決するために、高い集中力と技術力を発揮する様子が描かれているシンボルです。
成立しているアスペクト
- Tスクエア
- 新月+金星・天王星
- クィンタイル
- 冥王星
♏蠍座は変容のサインとも言われますが、そこに至るまでには拒絶を繰り返すので、そう易々と自らの変容を受け入れることができないサインでもあります。矛盾を常に抱えているサインだともいえるでしょう。その矛盾が限界に達したとき、自らの根底から突きあがる衝動とともに強烈な変容を起こすのです。
新月と金星、それに天王星が絡むTスクエアは、この♏蠍座の矛盾を強調するものと思います。この時期の社会全体が大変派手な矛盾と葛藤を抱き、しがらみだらけの現状を解決するための衝動に突き動かされるかのようです。冥王星のクィンタイルはその衝動の発生と成就を助けるでしょう。また、諸々の問題や気味の悪い事象などに対して、やや攻撃的な雰囲気も表面化しやすいでしょう。
ただ、どちらかといえば人間の情念のドラマに視点が集中しやすいので、根本的な問題解決に至ろうとする空気になるかどうかは疑問が残ります。
ASCルーラー(支配星)の状況
今回のASCの支配星
冥王星(♑山羊座・第3ハウス)
成立しているアスペクト
- コンジャンクション
- ノード軸
- メディテーション
- 水星・海王星
第3ハウスの冥王星は、同ハウスに入っている土星とともに、政府追従型の強権的な報道姿勢を示すと思われます。対極には第9ハウスの水星があり、主に法律に関する情報を強力にプッシュすると考えられます。
一方、このオポジションの配置単体では、徹底的な情報収集や解析の達成を示すという側面もあり、うまくすれば社会の闇をさらに暴くための足掛かりともできます。しかし、海王星とのメディテーションは、この転覆の可能性を和らげるためにエンターテイメント方面の出来事が利用されることを示しているでしょう。
MC(集合的エネルギーが向かう先)
サビアンシンボル
♌獅子座14°「歓声を上げる人々の中を行く壮大な山車を伴う、ぺージェント」
サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意
このシンボルは♌獅子座の象意のうち「情熱や興奮の昇華」の手段として「エンターテイメント」「プレゼンテーション」「ドラマ」などが完成することを示すものです。完成というところがミソで、そこには、人々を必ず熱狂や感動に導くための戦略・戦術があるということを意味しています。
成立しているアスペクト
- コンジャンクション
- 新月
- 火星
- トライン
- 木星
- クィンカンクス
- 土星
「今まさに時代は激動期である」ということがかなり派手に演出される時期だと示されています。自然に発生する出来事も、為政者の意図によって仕掛けられた出来事も、結果的にこの激動状態を演出するために存在するかのようです。人々はかなり激しく心の炎を焚きつけられ、時代の渦に呑まれていくのでしょう。
しかし、呑まれているばかりでもいられませんので、その中で必死に冷静さを保つことが大切になってくる時期でもあるように思います。熱狂的なシチュエーションへと容易に誘われる空気感の中で、いかに現実を見失わないかを常日頃心掛けたいものです。その視点が今後の社会形成に役立つでしょう。
MCルーラー(支配星)の状況
今回のMCの支配星
太陽(♌獅子座・第9ハウス)
成立しているアスペクト
- コンジャンクション
- 月(=新月)
- 金星
- スクエア
- 天王星
- トライン
- 木星
支配しているハウス
- 第10ハウス(政府・与党)
くわしくは「新月のルーラー(支配星)の状況」のセクションにて記します。
「社会の基本的な動向」を導き出した要素
新月のサイン・ハウスおよびアスペクトをとる天体との関係から考えています。
新月のサインと滞在しているハウス
今回の新月は「♌獅子座・第9ハウス」に位置しています。
サインの基本的な概念
♌獅子座は「意志」「創造性」を示すサインです。他に「熱狂」や「賞賛」を示すサインでもあり、また自らの輝きによって「他者を照らす」力と役割を併せ持つサインでもあります。
参考:一般的な解釈例 ♌獅子座の月(第9ハウス)
- 一生高く空を見上げ続けるかのように、自らの誇りを失わない
- 創造意欲を昇華させ、気高き冒険へと自らを誘う
参考:一般的な解釈例 ♌獅子座の太陽(第9ハウス)
- 自らの存在価値を信じて、未知の世界へと切り込んでいく
- 高尚な精神性の価値を自らの存在によって体現しようとする
成立しているアスペクト
今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。
- コンジャンクション
- 金星
- スクエア
- 天王星
- トライン
- 木星
今回の新月が支配しているハウス
- 第9ハウス(法律・貿易・教育・宗教)
- 第10ハウス(政府・与党)
この新月の期間にスポットが当たるのは、法律と政治に関することです。今の時期ですとやはり改憲をめぐる政治動向が、最も社会の視線が注がれる分野でしょう。
先の参議院選挙で与党および改憲に肯定的な勢力は、改憲発議に必要な要件を満たすことができませんでした。この場合、通常であれば事は動かないのですが、すでに改憲発議を行うために必要な人員の確保のめどは立ち始めていると見ることができます。ですので、そう遠くないうちに、このことは社会の表側に引きずり出され、否が応でも国民はその議題について向き合わざるを得ないでしょう。
国民目線の出来事に関しては、ギリギリ第6ハウスに入っている天王星からのスクエアが気になります。労働分野での急激な変化ということで、大規模なリストラや労使問題の浮上、健康面や食糧事情などに関する広範囲な問題として、感染症の拡大や食中毒、農作物の被害の発生などが突発的に起こる可能性が考えられます。
新月のルーラー(支配星)の状況
今回の新月の支配星
太陽(♌獅子座・第9ハウス)
今回の新月のルーラーは太陽です。すなわち新月そのものの意味が強調されます。
成立しているアスペクト
- コンジャンクション
- 月(=新月)
- 金星
- スクエア
- 天王星
- トライン
- 木星
支配しているハウス
- 第10ハウス(政府・与党)
ここで改めて書くことはそんなにないのですが、今回の新月が非常に「熱を帯びている」ということはほぼ間違いないと思います。太陽のサインである♌獅子座で起こるということ。MCとのコンジャンクションすなわち天頂付近での新月であるということ。同じサインに入っている金星・火星に並び挟まれているということ。♐射手座の熱を帯びた木星からの応援があること。このぱっと見の暑苦しさからだけでも、ASCのサインである♏蠍座がもたらす静けさをいとも簡単にかき消してしまうだろうと想像できます。むしろその♏蠍座の奥深くにある膨大な熱量を、極めて強引に呼び起こそうとしているかのようです。
なお、今回の新月は、2019年の夏至図においてはほぼ第5ハウスのカスプ上で起こります。次の新月である♍乙女座の新月も同じ領域内で発生します。そのため、秋分までの残りの期間は、なんだかんだと芸能関係が非常に騒がしくなるはずです。この芸能という分野が、他の分野とどのようにつながっているのかを、国民は常に冷静に見極める必要があります。表面的な事件に振り回されると、何も真実は見えません。この新月図はそのヒントの一つでもあるように思います。
その他注目したい天体とハウス
注目したい天体やハウスに焦点をあててみます。
第5ハウスの海王星
成立しているアスペクト
- メディテーション
- 水星・冥王星
- スクエア
- 木星
- セクスタイル
- 土星
- クィンカンクス
- 火星
- セスキコードレート
- 金星
ハウスルーラー
自分自身
最近の海王星は、実に多くの天体とアスペクトをとっている印象があります。まるであらゆる方面に霧がかかっているかのようにも思えます。
ひとまずこの新月の期間は、エンターテイメント系の様々な騒動が、ほぼすべてあいまいな状態で立ち消えとなっていくことを示しているように思います。現在この分野で発生しているすべての問題が政治との関係が強いということを追求すべきですが、それが為されにくい状態かなと思います。それは、現代の大半の一般市民的な感覚で考えると異常すぎるためでしょう。
人はそもそも、自分にとって異常すぎるものをそのまま受け入れることができません。物事の理解が追い付かないとか、感情処理が正常にできないとか、そういった内面のエラーが起こりすぎると、精神を保つことがむずかしくなるためです。自らの正常性を保つためにかかるバイアスというものがあるのです。名前もそのまま「正常性バイアス」と言います。
なおこの海王星は、新月の期間中はエンターテイメント系の騒動に集中する熱を吸収する役割を果たしますが、上弦の月の際には第9ハウスに移ります。従って、新月の期間にいったん沸騰する改憲議論は、1週間ほどで一旦鎮火するのではないかと思われます。
第10ハウスの火星
成立しているアスペクト
- トライン
- 木星
- クィンカンクス
- 海王星
新月とともにMCに寄り添う火星もサインは♌獅子座です。天頂に最も近い(=カルミネート)天体でもあり、影響力も大きい状態だと考えられます。
為政者側が煙幕のために張っている海王星の霧によって自らもやや足を絡めとられつつも、強い姿勢で施政方針を打ち出してくることを暗示しています。ちょうど新月の日に臨時国会が開始されますが、これはそこでの姿勢を示していると考えられます。威圧を含んだ勢いのある姿勢です。
第2ハウスの木星
成立しているアスペクト
- トライン
- 新月
- 火星
- スクエア
- 海王星
- セミセクスタイル
- 土星
ハウスルーラー
自分自身
この時期の経済が上向きになることを示しているものと思います。恐らくですが、これから秋分までの間は、あまり大きな落ち込みはないのではないかとみています。上向きの理由は主に金融緩和政策や円安によるものだと考えます。
あとがき:今このときを生きる人へ
いくつもの異常な出来事が目白押しの昨今ですが、それを生々しい異常だと感じる人と、虚構的な世界の出来事だと感じる人とにまだまだ分かれているでしょう。先にも書いたように、人はそもそも、自分にとって異常すぎるものをそのまま受け入れることができません。ですから、数々の異常を異常だと思えない人が少なくないということに怒りをぶつけても不毛です。この「正常性バイアス」と呼ばれるものは、人がもともと持っている心理機能そのものであるからです。小さな水たまりしか見たことがない人に、大海の話をいくら熱心に聞かせてもピンとこないものなのです。そこに熱量がどれだけあったとしてもあまり関係がありません。誰かから受けた大量の熱を結び付ける対象が、その人の世界の中には存在しないからです。逆に言うと、結び付ける先があればよいということでもあります。
豊かな世界とは、狭い世界さえ知っていれば不自由なく生きられる世界のことではないはずです。しかしながら、日本が戦後にいろいろな思惑を持つ者たちによって植え付けられた価値観はそういったものなのだと、いたるところで実感します。政治を実際に動かす側に立っている人々がこのことを理解する必要ももちろんあるでしょうが、それ以前に、私たちのような一般市民自身が、元の思惑の存在を明確に理解しておく必要があると思います。今せっかく知らない世界を知るためのきっかけが数多くやってきたのですから、そこから少しずつ、それぞれの人が構築してきた小さな世界に結び付けていくための苗を植えるより他ないのです。
私自身も今、日々そのようなことを考えて生活しています。
現在ここでの発信では、あまり詳細な部分に焦点を当てた書き方をしていませんが、そのスタンスを変化させるかさせないかということも考えたりします。また、私が現在のスタイルとしているこんなざっくりしたマンデーンの解釈と発信に意味があるのかどうかということも毎回悩みます。マンデーンといっても社会的な事象を的中させることには全く重きを置いていないので、そういった観点からも、意味があるかどうかということをよく悩みます。
こんなふうに毎度のごとく悩みながら書いている月相図ですが、少しでも興味を持って読んでくださる方がいらっしゃって、本当にありがたいです。記事を書くために考えている内容が多いので、長いですし読みづらいかとも思いますが、もし気が向かれましたら、コメント欄やお問い合わせフォームなどから感想などお寄せくだされば幸いです。