2019年8月15日:水瓶座の満月

アイキャッチ:満月

「昔はよかった」
そんなことを何気なく言っている人と
よくすれ違ったなと振り返る

そんな人たちもまた過去に
「昔はよかった」
と言っている人たちと
よくすれ違ったものだと言っていた

自然界とのつながりがまだあった
人々の生きた表情がまだ見られた
「昔はよかった」の中に詰まっているのは
だいたいそんな感覚らしい

幾何の時の中で進んできたはずの
世の中に対する評価が常に
「昔はよかった」
なのだとしたら

文明の進展とは一体何だったのか?
人類の進化とは一体何だったのか?

進化とは
自然界からの断絶と孤立を目指す道なのか?
人心の自殺を前提に文明発展のパーツと化すことなのか?

人類とは
己が持つ知能と創造力を存分に持て余しながら
「昔はよかった」と振り返る未来を創り出すしか
能のない存在なのか?

「青空の下に生きてさえいれば幸せ」なんて言ってる奴が
善良な人だなんて本当に言えると思うのか?

なぜ自分が青空の下に生きていられるかも知らないのだから
その青空を失う最も根深い原因になるのだ

この青空の中に溶け込んでいる
おびただしい命が残してくれた
叫びの残骸が見えないのか?


盛夏の雲に勢いのある青空

月相図のメッセージを詩にする

今回の表現のテーマ

満月=「あらわれた結果を受け止め自己を見つめなおすとき」 という解釈を軸に、それがどのような意味なのかを考えています。

  • 進化とは何か
  • 自己と人類のアイデンティティと尊厳について考える
  • 無知を知る

月相図をとおして社会を眺める

トランジット図:2019年8月15日 21時29分7秒

月相図のチャートから読み取った内容から、この満月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。

この満月の影響を受ける期間は、次の新月までです。

背景に漂う空気感を要約する

安定の前の混乱の時期。国民的議論が様々な分野で起こり、紛糾する社会情勢となるでしょう。これは昨今続いている諸々の騒動がそのまま継続されたり、それらが引き金となって新しい議論を呼んだりと様々な形が考えられますが、似たような空気感がしばらく継続すると考えることもできます。

そのうち、事態の鎮圧のために大きな政治的圧力がかけられます。しかし、その圧力を受け取る立場にある大半の人々は「さほど苦痛ではない」と感じるかもしれません。このことは、すべての人に当てはまるわけではありません。単にそのような傾向を示す人が多いであろうということです。

下弦の月の頃になると、若干空気感が変わってくるでしょう。社会の持つ熱狂性は長く続かず、徐々にボルテージが下がってきます。なんらかの納得の下に熱狂が収まるわけではなく、一気に噴出した問題にまつわる情報量が多すぎて処理不能になるフリーズに近いものです。しかしその経験は次のステップへとつながっていく可能性を十分に持っています。

社会の基本的な動向を要約する

動きが大きい分野

エンターテイメント/隠し事の露見

常に騒がしい状態が続く可能性が高いです。芸術やスポーツをはじめとして有名人の結婚や出産の話題なども同じ分野に入ります。多くの人々の関心を引きやすい、華のある出来事が多く発生するでしょう。

一方で、何か大きな隠し事が露見する可能性を覚えておきたいと思います。あけっぴろげな♌獅子座のエネルギーが効果的に働くことを期待したいものです。

満月の影響を受けやすい分野

国土環境・農業

台風をはじめとした水害に見舞われやすい時期です。また、農業に関する辛いニュースも増えるでしょう。今年もすでに多数の地域で災害が起こっていますので、農業へのダメージはもう十分なんですが…。追い打ちが多すぎて日々悲しくなりますね。


解釈について

以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
技術的な内容に興味がない方は、この「解釈について」のセクションを飛ばしてお読みください。

根拠とした各要素と詳細

表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。

前提

解釈の全体条件は次のとおりです。

チャートの主体

「国家の基盤である民衆の、根源的欲求の集合体」と考えています。

留意事項
  • ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「社会情勢」として考えています。
  • アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
  • 採用しているハウスシステムは「レギオモンタナス法」です。
  • ホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」を使用しています。

「背景に漂う空気感」を導き出した要素

背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。

ASC(集合的エネルギーの起点)

解説用:ASCとアスペクト
サビアンシンボル

♉牡牛座1°「電気的な嵐」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルは安定型の♉牡牛座の中では非常に特異なシンボルです。しかしながら、♉牡牛座の持つ極めて優れた知覚能力を覚醒させるための大切な働きを担っています。「不動の大地」たる性質を持つ♉牡牛座を確実に覚醒させるには、落雷くらいの激しい衝撃がないと難しいということでしょうか…。

しかし、魂が生命体としてこの世に生まれ出るために獲得した肉体を自らの思い通りに動かすためには、とくに神経伝達回路が正しく機能していないと話になりません。雷となって降り注いだ天啓を受け入れることで、身体中の神経を強烈な電撃が駆け巡ります。使命を果たすために肉体を起動させる度数です。

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • 天王星
  • スクエア
    • 水星
  • トライン
    • 火星
  • セミスクエア
    • 海王星

シンボルの意味を強調するかのように天王星がコンジャンクションしています。通常であれば安定の時期を示す♉牡牛座のASCでありながら、全くおとなしさというものを感じさせません。むしろ、眠っていた意識を強制的に目覚めさせられるような風潮に満たされるのではないかと予感します。

♌獅子座にある水星・火星からのメジャーアスペクトも、この傾向を裏付けるかのようです。また、海王星からのマイナーアスペクトは混迷が加わることを示しています。たとえ嫌でも激しくエキサイトさせられる出来事に満ちた期間となるでしょう。

ASCルーラー(支配星)の状況

解説用:ASCルーラーとアスペクト
今回のASCの支配星

金星(♌獅子座・第5ハウス)

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • 満月軸
    • 火星
  • クィンカンクス
    • 冥王星

太陽とほぼ正確なコンジャンクションを形成しているということで、満月軸に直接影響を与えています。また反対側の隣には同じサインに入っている火星ともコンジャンクションを形成しています。いうなれば「暑苦しく煌めく金星」です。

従って、第5ハウスは派手に強調されており、大変に過熱した状態だと言えるでしょう。ここまで熱を持った状態だと少し不安もありますが、何らかの「隠し事の露見」を期待するには良い配置であるとも思います。

また、とにかく「騒がしい」くらいに毎日何らかの劇的なニュースが飛び込んでくる期間にもなるでしょう。ハウスやサインの象意的には芸術やスポーツなどのエンターテイメント全般や主食穀物(=日本では米)の生産量に関わる出来事、有名人の結婚の話題などにスポットが当たりやすいかもしれません。

MC(集合的エネルギーが向かう先)

解説用:MCとアスペクト
サビアンシンボル

♑山羊座19°「宗教的な礼拝で、隠された場所で歌う聖歌隊」

サインの基本概念を踏まえたサビアンシンボルの象意

このシンボルは♑山羊座の象意のうち「組織体としての統合の完成」を意味します。また、組織に参加している人の公私の感覚やパワーバランスがつり合い、組織システムが正常に機能している状態を示します。

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • 土星
    • 冥王星
    • ノード軸
  • メディテーション
    • 土星+冥王星+ノード軸・海王星

社会の均衡を保とうとするために、かなりの圧力が使用されることを予感させますが、実際にその圧力を受ける側の存在にとっては、あまり圧迫感を感じないかもしれません。つまり、為政者の強権性は強く発揮されるが、最終的には適度に軟化され、落ち着いたかのような空気感がもたらされる という形となるでしょう。

MCルーラー(支配星)の状況

解説用:MCルーラーとアスペクト
今回のMCの支配星

土星(♑山羊座・第9ハウス)

成立しているアスペクト
  • コンジャンクション
    • ノード軸
    • 冥王星
  • メディテーション
    • 冥王星+ノード軸・海王星
  • セミセクスタイル
    • 木星
  • セスキコードレート
    • 火星

♑山羊座は社会システムそのものを示すサインであるため、今回のMCのシンボルの象意を加味すると、下手をしたら全体主義的な傾向の強化を暗示しているのではないか?という懸念もあります。

この傾向がそのまま第9ハウスの象意である法律や司法、高等教育、各種研究、貿易などの分野に表れるとなると、かなり自由のない閉鎖的な方針を掲げさせられたり、政治的な圧力などによって制圧されるなどの出来事が徐々に起こってくるかもしれません。

「社会の基本的な動向」を導き出した要素

満月のサイン・ハウスおよびアスペクトをとる天体との関係から考えています。

解説用:満月とアスペクト

満月のサインと滞在しているハウス

今回の満月は「♒水瓶座・第11ハウス」に位置しています。対となる太陽は「♌獅子座・第5ハウス」に位置しています。

サインの基本的な概念

♌獅子座 – ♒水瓶座のラインは「希望」「創造」「オリジナリティ」「カリスマ性」などを示します。この対は、水瓶座は「(過去からつながる)未来」、獅子座は「現在」の時間軸を意識しています。いずれも高い創造性を発揮する力を持っており、そのベクトルは常に未来に向かっています。

参考:一般的な解釈例 ♒水瓶座の月(第11ハウス)
  • 未来創造のための思考を同志と共有しようとする
  • 自立心の強い仲間との交流によって自らの心を生育する
参考:一般的な解釈例 ♌獅子座の太陽(第5ハウス)
  • 全身全霊での自己表現こそが自らの存在意義である
成立しているアスペクト

今回の満月に対するアスペクトは次のとおりです。

  • コンジャンクション
    • 金星
    • 火星
  • セミセクスタイル
    • 冥王星
今回の満月が支配しているハウス
  • 第4ハウス(国土環境・農業・野党)
  • 第5ハウス(娯楽・投機・隠し事の露見)

第11ハウスの満月と、その対極に位置する太陽を盛り立てるかのように金星・火星が位置する第5ハウス、そして♌獅子座-♒水瓶座というサインの性質からすると、何らかの「隠し事の露見」という意味が非常に強調されているように感じられます。

このところあちらこちらで国民的議論を呼ぶような問題が噴出しており、また隠されていた事実が暴かれたりといった動きも大変多いでしょう。この傾向は満月期中も続くものと思われます。

満月のルーラー(支配星)の状況

解説用:満月のルーラーとアスペクト
今回の満月の支配星

天王星(♉牡牛座・第1ハウス)

成立しているアスペクト
  • スクエア
    • 水星

天王星は世論傾向を示す第1ハウスに入り、かつ第4ハウスにいる♌獅子座の水星に対してスクエアを形成しています。そのため、ここでも議論が紛糾するであろう傾向が示されていることになります。

参考:次の下弦図

今回は次の月相(下弦)図である「双子座の下弦の月」について少し取り上げてみます。

トランジット図:2019年8月23日 23時55分53秒

次の下弦の月は、太陽が♍乙女座に移動した直後に成立します。この頃には現在日本の空気を埋め尽くしている強い熱気が、急に引いていくように感じられるかもしれません。ただ、混乱が収まるというよりは、種々の情報が一気に湧きたったことで、一般市民レベルとしては「既存の未知」への接触が増えすぎ、飽和した情報を処理しきれないことから放心状態になるためでしょう。

ただ、考える材料が急激に増えることはメリットもあり、化学変化のように発生する社会的な諸々の出来事について、その変化を面白がり追いかけようとする人の増加につながる可能性も十分にあります。とくにネットウォッチャーは今以上に増えるかもしれません。このような動向は、今後知らないうちに個人レベルでの情報キャパシティを増やしていくための肥やしとなるでしょう。

この頃の大きなイベントとしては、G7(主要7ヶ国首脳会議)が予定されています。恐らく日本政府は、掲げられた議題に対しては柔軟かつ寛大な姿勢を表示するものと思いますが、あまり明確な成果は得られないのではないでしょうか。何らかの有用な発言や提案ができる政府であるとはあまり思えません。

その代わりと言っては何ですが、アメリカから持ち掛けられている有志連合への参加を決める可能性を考えておいたほうがいいかもしれません。他には移民政策や海外由来の感染症への注意、原油系の価格の大きな変動などに警戒しておきたいところです。

それから、北方4島などの領土問題や安全保障に関する政治的動向もこの時期は目立つようになるかもしれません。


あとがき:今このときを生きる人へ

8月に入ってから、急激に社会が抱えている諸問題が多くの人の目につくようになり、あちらこちらで激しい議論が巻き起こっている様を目の当たりにします。

議論するのは良いことです。ですからそれが多発していること自体は歓迎すべきことです。しかし、議論に感情を挟む傾向が強いことは全くもって良くないことです。日本人にはこの良くない性質が多分に備わっているようで、何か一つのテーマについて議論をすべきところに、別の問題点を持ち込んでしまうことが多くあります。そしてそれに気づいていない、あるいは気づきたくないために感情論を激化させてしまうという例を本当にいくつも見かけます。とりわけ悲しいことは、それを政治に直接携わる立場の人々が平気で行ってしまうことです。

感情と議論を別のレイヤーのこととして理解できない人同士がいくら議論を戦わせたところで、何も意味がありません。公的にも私的にも多いこういったシーンを見るたびに問題の解決方法について考え込みますが、そう簡単に答えは見つかりません。根本的な思考訓練からやり直す必要があるからです。

せっかく起こっている国民的議論の風潮が、すぐに消えてしまわなければいいなと思っています。現在社会の帯びている熱はもう少ししたら一旦冷めるでしょうが、議論することや考えること、検証することといった習慣だけは残ってほしいものです。それこそ、情報のキャパシティの拡大や処理能力の向上などに少しでもつながってくれれば幸いだと思っています。民主主義は純粋な議論があってこそ成り立つものです。これがいつか資本主義との分離まで発展すればいいなとも思うのですが。それはまだまだ気が遠くなるほど長い道のりでしょう。

そうはいっても、少し大げさかもしれませんが、もしかすると私たちの社会はいつの間にか新しい成長フェーズに入ってきたのかもしれません。まだ議論などほとんど起きていなかった昨年と比較すれば、今年は明らかに規模が違います。

上からのしかかる圧力も、下から突き上げようとする力も互いに強まっています。その力のせめぎあいがどのような結果になるのかなど、もはや誰にもわかりません。記事を書くために日々色々な情報を漁りますが、今、表の情報も、裏の情報も、正確なものは何一つありません。

今回の記事を書くにあたり、♌獅子座と♒水瓶座に共通する象意についてここ数日でさらに掘り下げて考えてみました。一般的な象意については文中にもいくつか書いていますが、新しく見出せた象意が一つありました。それは「尊厳」です。♌獅子座は自己の尊厳を、♒水瓶座は人類の尊厳をそれぞれ大切にするサインです。私たちが今できることは、この尊厳を決して失わないことでしょう。自らと人類の尊厳を否定せず、これを失わないために、議論を重ねること。混沌の中に点在する真実を拾い上げる力を身に着け、その中から進化の活路を見出すこと。自己と人類の精神的進化を望み続けることでしょう。

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