スクエアというアスペクトは、試練・妨害などを意味するとされます。
占星術を学び始めた人は、自分のネイタルチャートの中にこの「スクエア」というアスペクトを見つけたとき、ネガティブな気持ちになりがちです。それは、自分のコンプレックスや起こりやすいトラブルが、このアスペクトひとつで説明できてしまうことが少なくないからです。それくらいこのアスペクトの象意は、はっきりと表れる傾向にあります。
別名「矩」とも呼ばれます。
象意
- 葛藤・反抗・衝突
- 過剰な影響
- 挑戦・克服(ポジティブ)
- 妨害・障害(ネガティブ)
アスペクトとは何か?については、次のリンク先ページをご覧ください。
アスペクトの特性
まずは、このアスペクトの特性をまとめます。
度数
90°
関連する数秘
4
360を 4 で割ると90です。4 は、正方形を形作る角度として、天地・世界の「基盤」を意味します。
記号
正方形のシンボルです。
分類
項目 | 区分 |
---|---|
メジャー or マイナー | メジャー |
イージー or ハード | ハード |
当サイトでのオーブ
オーブとは、許容範囲とみなす度数のことです。
チャート種別 | オーブの度数 |
---|---|
ネイタル・トランジット単体 等 | ±10° |
2重円・3重円等のトランジット他 | ±3° |
プログレス | ±3° |
マンデーン | ±5〜10° |
解説
天体同士でスクエアを形成する場合、互いの性質が対立します。どちらかがどちらかをねじ伏せようとする働きをしがちで、なかなか上手く調和をとることができません。「あちらが立てばこちらが立たず」という状態になりやすいとも言えます。
象意のあらわれ方の例
スクエアはどのような天体の組み合わせであっても、その影響が先天的かつ強烈であることがほとんどです。多くの場合、持ち主はその影響を自覚していますが、なかなかうまく制御できないと感じているでしょう。
なお、数あるアスペクトの中でもその影響がダントツに目立つスクエアですが、天体の組み合わせによっては一部自覚しづらいものもあります。この代表例は「月と冥王星のスクエア」でしょう。
例1:太陽と月
基本的な象意は、意志(太陽)と感情(月)の対立です。自身の精神の中で対立が起きやすいことを意味します。悩みや迷いが多く行動を決定しにくかったり、心の葛藤を意志で無理矢理押さえ込み続け、心の柔軟性を失ってしまうといったことが起こりやすいです。
補足
太陽と月のスクエアは「半月(上弦または下弦)」です。
例2:金星と火星
価値観(金星)と獲得欲求・行動(火星)が対立します。原則として金星の示す価値観は火星の獲得欲求の源で、行動原理になりますが、この場合は「好きなものを素直に認め手に入れようとしない」ことを意味します。
行動そのものをためらう、あるいは別のものが好きだと勘違いするという表れ方になることもあれば、「無意識のうちに好きなもの(や好きな人)を傷つけたり、遠ざける」という「投影行動」として表れることもあります。投影行動は大抵の場合、本人にその自覚はありませんが、このようにして「好きなもの(人)を手に入れるために力を奮い続ける」という状況を保とうとするのです。
アスペクトの力を「使う」
アスペクトは、そのアスペクトを持つ対象者の意志によって、理想的に使うことができます。
理想的な使い方とは?
スクエアの力の最も理想的な使い方は「克己」です。
このアスペクトは、持ち主に強大な力が備わっていることを示しており、その力を使いこなすには「試練を乗り越える」必要があることを意味しています。力に潰されぬよう己を鍛え、打ち克つことがテーマなのです。
理想的に使うには?
スクエアの関係で結びついている天体同士は同じ目的を達成しようとしています。このことを自分自身が受け入れられるようになることで、克服がはじまります。
葛藤は多くの場合「何を重要だと思っているか」という価値観の違いによって生まれています。そのため、スクエアのもたらす葛藤や対立の克服には、異なる価値観の両立を目指すための方法を探さなければなりません。
しかし、この取り組みこそが知らず知らずのうちに自らを鍛え上げることになり、最終的に現状を打破して新しい可能性を創造することに結びつくのです。
特別なスクエア
一部のスクエアには、名前がついています。
グランドクロス
4つの天体によって、天空上に正方形(十字)に近い図形が形成されることを指します。なお、正確な90°同士の関係である場合は同一クオリティ間でのアスペクトの形成となります。グランドクロスでは、スクエアの持つ内的意識の対立や葛藤、乗り越えた時の創造的エネルギーがより強化されます。
クオリティごとの主な特徴
各クオリティごとのおおまかな特徴を次に示します。
活動サイン(♈️牡羊座・♋️蟹座・♎️天秤座・♑️山羊座)
活動サインでのグランドクロスは「(何かに)挑む」行動をとりやすくなります。
強み
- 自発的で活発
- 旺盛な意欲
- 行動が素早い・初動が早い
課題になりやすいこと
- 始めたことの完遂・初心の維持
- 状況に応じた最適解の選択
- 自意識の過剰
不動サイン(♉️牡牛座・♌️獅子座・♏️蠍座・♒️水瓶座)
固定サインでのグランドクロスは「(何かを)維持する」行動をとりやすくなります。
強み
- しっかりとした価値基準がある
- 着実な行動・精度の高さ
- 完遂能力・初志貫徹
課題になりやすいこと
- 納得するまで行動開始できない
- 臨機応変性が弱い
- 行動や価値基準の変化を拒みやすい
柔軟サイン(♊️双子座・♍️乙女座・♐️射手座・♓️魚座)
柔軟サインでのグランドクロスは「(何かの影響を受けて)絶えず変化する」行動をとりやすくなります。
強み
- 時勢や環境などを「読む」ことに長ける
- 状況に応じて身の振り方を自在に変えられる
- 受け入れる力が発達する
課題になりやすいこと
- 目的意識が薄く、行動の理由を見失いがち
- 価値基準があいまいになりやすい
- 目標や方向性を定められない
このように、それぞれに強みと課題がありますが、課題点を鍛えて強みを活かしきる力に変換すると、極めて高い創造性を発揮できます。
グランドクロスをより深く理解するには
スクエアに関わりの深い「4」という数字は天地・世界の基盤を象徴しますが、これは天地・世界が4つの異なるエレメント(火・地・風・水)で構成されていることと結びつけて考えるとわかりやすいでしょう。
サインの概念の中で基盤を示す不動サインを例にとると、最もわかりやすいです。どのエレメントが欠けても、世界は完成しないのです。
- ♉️牡牛座(不動の地)=地球
- ♌️獅子座(不動の火)=太陽
- ♏️蠍座(不動の水)=深海
- ♒️水瓶座(不動の風)=天空
関連する他の複合アスペクト
スクエアが関連する他の複合アスペクトは次のとおりです。
Tスクエア
Tスクエアは3つの天体で構成されます。1つの天体の両サイドにスクエアがあり、両サイドの天体同士がオポジションの関係にあるときに成立します。
アスペクトを線で結んだ図としては、直角二等辺三角形です。両サイドにスクエアを持つ天体が、Tスクエアの中間点に当たります。
作用
軸となっているオポジション同士の天体それぞれに異なる価値観がもたらされ、新たな葛藤が加わります。中間点の天体は、その存在が損なわれやすかったり、逆に過剰にそればかりを際立たせてしまいがちで、制御がより難しくストレスが多くなります。
時間の経過(トランジット)によって何らかの天体が中間点の天体の反対側にやってきたときに、グランドクロスが成立します。エネルギーが強く事件性の高いアスペクトではありますが、この経過によって中間点の天体が補うべき点を見極めるヒントを得ることも可能です。冷静に自己内面の観察を続けながら過ごし、感情や衝動に行動の手綱を握られてしまわないように心がけると良いでしょう。
奮起するエネルギーの強さや、試練を乗り越えた際に発揮できる創造性の高さはグランドクロスと同様です。