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ミッドライフクライシスを乗り越える:#1 – 人生の転機と魂の叫び

アイキャッチ:ミッドライフクライシスを乗り越える 1 人生の転機と魂の叫び

「ミッドライフクライシス」という言葉を聞いたことはありますか?

この「ミッドライフクライシス」について、占星術の視点でシリーズ記事を書いていくことにしました。

まずシリーズ第1回目は、この用語の意味や、占星術でわかることなどについてまとめていきます。

はじめに – ミッドライフクライシスとは

「ミッドライフクライシス(Midlife crisis)」は、心理学的な用語です。「ミドルエイジクライシス(Middle age crisis)」と呼ばれることもありますが、どちらも日本語に訳すと「中年期の危機」という意味になります。

コンセプトイメージ:ミッドライフクライシスのワードクラウド

だいたい30代後半から40代ごろから迎えるとされる「中年期特有の心理的危機状態」のことを指していて、多くの人が関心を寄せており、インターネットでこの用語をキーワードに検索すると、本当にたくさんの情報が出てきます。

実際に経験する人も多いようで、該当年代の実に約80%がこの心理状態に陥るとの説もあるようです。この数字が本当だとすれば、もはや現代社会を生きる人にとっては普遍的な現象だと言ってもいいのかもしれず、誰の目の前にも常に横たわっている社会問題だと考えることもできそうです。

中年期特有の心理的危機状態とは?

写真:ミッドライフクライシスの危険を示す標識

それは、一言で表現するならば

アイデンティティの危機

です。

  • 「私(の人生)はこのままでいいのだろうか?」
  • 「私のやりたかったことって何だったんだろう?」
  • 「もっと自分らしく生きられないのか?」

そんな想いが、消えなくなること。

そして、その想いが強くなるにつれて、人によっては身体や心を壊してしまったり、生きる力を失ってしまったり、あるいは自分の人生を自ら破壊してしまったりします。

どんなことが起こるのか?

実際に何が起こるのかは人によって様々ですが、その人の人生にとって重大なことがとても多いです。例をいくつか挙げてみます。

仕事関連
過労
職場のトラブル
失業
事業の失敗 等
結婚関係
離婚
不倫 等
家庭関係
親の介護
子どものトラブル・健康問題 等
金銭関係
収入源の消失
貯蓄の消失
相続問題
ローン・借金
破産 等
健康関係
加齢による衰え
大病・大怪我
精神的な病 等

ミッドライフクライシスの原因

心理的な問題はどんなものでもそうですが、その原因は1つの単純な要素ではありません。

ここでは、個人レベルのことと社会レベルのこと、それぞれから探っていきます。

個人レベルのこと

中年期に起こることと心の動き

中年期に入ってくると、それまでの人生の中で経験した多くのことを土台にして、アイデンティティが完成に向かいます。

その一方で、自分の生きる場所で課せられる社会的責任が増え、大きくなってくる時期でもあります。

たとえば仕事のことであれば、役職を与えられて部下を持ったり、重要度の高い事業やプロジェクトの責任者になったり。

たとえば家庭のことであれば、結婚して自分の家庭を持ち、子どもや養わなければならない人がいたり、家を購入して大きなローンを背負っていたり、あるいは親を介護しなければならない状況になったり。

また、自分自身の状態も変わりやすい時期です。体の衰えが目立ち始め、体力はなくなっていき、積年の無理が重なりすぎた人は大病をしやすくもなります。自分に残された時間がもう随分と少ないのだと自覚させられることが、日増しに増えてくるのです。

イラスト:人格内の二面が向かい合わされているイメージ

自分自身のことがやっとわかってくる時期と、自分以外のことに多くの責任を持たされる時期と、自分の人生の終わりがそう遠くないことを悟る時期が、ちょうど重なっている。

中年期とは、そういう時期なのです。
そして、そういう時期だからこそ、心の奥底から湧き出る衝動に向き合わざるを得なくなるのです。

でも今まで散々封じ込められてきた想いの側からすれば「これまでもずっと叫び続けていたのに、そんな状況になるまでまともにとりあってもらえず、放っておかれた」と感じているかもしれません。あるいは、そろそろ自分が枯れてしまうかもしれない…と限界を感じた頃にようやく本人の意識に届き、これが最後のチャンスだと思っているのかもしれません。

社会レベルのこと

社会を生きることと個を生きること

イメージ:高度な技術によって形作られた現代的な都市 夜景が宵の時間帯に煌びやかに浮かぶ

今この記事を読んでくださっているあなたをはじめ、高度に発達した現代社会(とくに先進国的な社会)の中で生きている人は、ほとんどの場合、超巨大で複雑な社会の中に何とか自分の存在を位置付け、その網のようなものから脱落しないように生きようとしています。人間は社会を利用して生存してきた生物ですので、自分を守るはずの社会から脱落しないための行動をとるのは、決して不自然なことではありません。

太古の世界からはじまり、文明の勃興と発展を経て、近現代まで連なってきた社会の高度な進化は、人間の生存能力を飛躍的に高めてきました。するとその中で生きる人間は次第に「自我」の発達と「個性」の発揮が可能になり、それぞれが異なる「願望」を持って、その成就を追求することができるようになってきました。

ところが、このような個の発展は、大勢の人間を支える社会の維持には都合が悪いと「みなされ」たり、あるいは「感じられ」たりすることがほとんどです。社会のしくみそのものや、それを構成する多くの人々、そして本人自身によって、抑圧されたり、攻撃を受けたり、排除されがちになります。

  • 常識はずれ
  • 現実味がない / 夢物語
  • 何の役に立つのかわからない(or 何の役にも立たない)
  • 周りの迷惑を考えろ

社会のあちこちから聞こえてくる、こんな言葉たち。

ここにあげたものの他にも、似たような意味の言葉はたくさんあるでしょう。この記事をお読みになっているあなたも、人生のどこかで一度は言われたことがあるのではないでしょうか?

社会の本能と個の本能

イメージ:堅固な城壁を持つ中世の城郭都市

社会とはすなわち都市を取り囲む「城郭」に等しいもの。その中に属する者たちをたくさんの脅威から守り、安全に生存するために、世界の一部を壁で区切った領域のことを指しています。ですから、安全を脅かす可能性がある要素をすぐに排除しようとするのは、社会が持つ生理的機能(=防衛本能)だといえます。

イメージ:個人の中の魂が目覚める

これに対して、一人の人間が「個」を発揮したいと願うのは、人間という生物の根源的な欲求(本能のようなもの)です。生命の安全が遠かった過去の時代の中では眠っていたけれど、現代に入ってようやく目覚めてきたものでしょう。

「個」を殺して社会の中に埋め込まれることになったとき、人が悲しんだり、反抗したりという反応を返すのは、それゆえではないでしょうか。

自己実現の積み重ねがもたらすもの

さて、社会は個の発揮を生理的に警戒し、防衛本能に基づくアクションを起こして自らを守ろうとするのですが、その一方で、現在のような巨大で高度な姿になれたのは、さまざまな人物の個の発揮があったおかげでもあります。

つまり個の発揮は、実は「社会の高度な発展・進化に必要不可欠なもの」なのです。

そしてこの原則は、今後の世界や時代においてより重要になり、同時にその需要も高まります。

なぜなら、集団生存装置としての成長がほぼ頭打ちになった社会が今以上に「進化(深化)」するには、平均的な価値観から外れた異質なもの(=個の発揮)により新たな刺激を受け、新たな存在意義や可能性を創造するしかないからです。

写真:ガラスでできた地球儀が緑美しい草の上に置かれ、太陽の光をたたえている

進化とは、異質・異端の存在なくして起こりえないものなのです。

ただ、現在でもまだこの認識は一般的になっていないと感じます。

心理占星術における「ミッドライフクライシス」のとらえかた

私は、ミッドライフクライシスを「魂の叫び」だと考えています。

心理占星術やいわゆるスピリチュアルな考え方をベースに持つ人たちも、これに近い考えを持った方が少なからずいらっしゃることと思います。

イメージ:様々な色の光の粒が、暗闇の中で煌めく様子

各個の自己実現とは、人間の魂が潜在的な願望として大切に持ち続け、長い長い間その成就を求めてきたもの。それがようやく可能な時代になってきたのだから、このタイミングでこの世界に生まれてきた魂としては、今それを目指さないわけにはいかないのでしょう。

ただ、内側に感じているその何かが本当に「魂の叫び」なのかどうかは、注意深く見極める必要があります。抑圧に慣れすぎてしまった人が感じる衝動や描く理想像は、既存社会の価値観に大きな影響を受けていることが決して少なくないからです。

心理占星術ができること

深層心理や潜在意識を読み解く心理占星術は、その衝動や理想像の正体を知るのに極めて有効です。既存社会の価値観に左右されず「何者にも汚染されていない」その人の本心や、そのさらに奥に隠されている領域へ、その人自身を導き、向き合わせることができる技法であるからです。

特有の天体配置からテーマと乗り越え方を知る

写真:複数枚のホロスコープチャートと、火の灯ったキャンドル、星の形が連なった金のチェーン

心理占星術では、その人の「ミッドライフクライシス」のテーマと乗り越え方を知ることができます。

この時期の人に共通して起こる代表的かつ特有の配置があるのです。

トランスサタニアン3天体のハードな配置(アスペクト)

「トランスサタニアン(The Trans-Saturnians)」とは、次の3天体を指します。

  • 天王星
  • 海王星
  • 冥王星

これらは占星術で使用する「主要天体」のうち、土星の外側に公転軌道を持つものです。肉眼では見ることができず、天体望遠鏡の誕生以降に発見された天体たちです。

土星は、太陽系惑星のうち肉眼で見える最も遠い天体であり、現実世界の秩序を表す天体です。そんな土星の外側を公転する前述の3天体はいずれも「現実を超える(あるいは超えたところではたらく)欲求」を示します。どのような特性があるかは天体によって異なりますが、現実を超えるというところは共通しています。

出生図の中ですでにトランスサタニアンの影響が強い人は、そもそも人生の初期からいきなり現実を超えて生きようとする傾向にあります。しかし、ミッドライフクライシスの時期になると、もともとその影響が強くない人も、これらに強く向き合わされることになるのです。

それを示すのが、時の経過によってもたらされる「ハードな配置(アスペクト)」というものです。

トランスサタニアン3天体のハードアスペクトと年齢の関係一覧

全ての人において、出生図の各天体(N)に対し、人生の経過を経て移動した同じ天体(T)によって特定の配置(アスペクト)が形成されます。

このセクションでは、各天体ごとの特徴とそれぞれの配置、成立年齢の関係を示す簡単な表を示します。

天王星
イメージ:天王星
公転期間
約84年
使用するアスペクト(配置のカタチ)
N天王星 と T天王星 の 180°
ざっくりとした意味
独自性の強調による衝動と解放
成立年齢
30代終盤〜40代前半
海王星
イメージ:海王星
公転期間
約165年
使用するアスペクト(配置のカタチ)
N海王星 と T海王星 の 90°
ざっくりとした意味
夢の強調による混乱と浄化
成立年齢
40〜42歳
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個別の解説・まとめページがありますので、こちらもご参考に。

冥王星
イメージ:冥王星
公転期間
約248年
使用するアスペクト(配置のカタチ)
N冥王星 と T冥王星 の 90°
ざっくりとした意味
根底意志の強調による葛藤と変容
成立年齢
次表参照
留意点:冥王星のハードアスペクト成立年齢について

冥王星は、長大な楕円形をした公転軌道を持っており、なおかつその軌道の中心が太陽からかなりずれています。このため、各サインを運行する期間に大きなばらつきがあり、アスペクト成立年齢が世代によって著しく異なります。

次の表で、冥王星のサインごとのアスペクト成立年齢を示します。

冥王星の
サイン
サイン内
運行期間
おおよその誕生年代
(1800年〜2100年の間で)
成立年齢影響ある期間
(オーブ±5°の場合)
♈️牡羊座約31年1822年〜1853年
2066年〜2097年
80代中盤〜90代前半前後 約5〜6年
(計 約10〜12年)
♉️牡牛座約33年1851年〜1884年
2095年〜2129年
70代前半〜80代後半前後 約4〜5年
(計 約8〜10年)
♊️双子座約32年1882年〜1914年50代後半〜70代中盤前後 約3〜4年
(計 約7〜8年)
♋️蟹座約27年1912年〜1939年40代前半〜50代終盤前後 約3〜4年
(計 約5〜7年)
♌️獅子座約21年1937年〜1958年30代後半〜40代後半前後 約2〜3年
(計 約4〜5年)
♍️乙女座約16年1956年〜1972年30代後半前後 約2〜3年
(計 約4〜5年)
♎️天秤座約13年1971年〜1984年30代後半〜40代前半前後 約2〜3年
(計 約5〜6年)
♏️蠍座約12年1983年〜1995年40代前半〜40代後半前後 約2〜4年
(計 約6〜8年)
♐️射手座約13年1995年〜2008年40代後半〜50代後半前後 約4〜5年
(計 約8〜10年)
♑️山羊座約16年2008年〜2024年50代終盤〜70代前半前後 約5〜6年
(計 約10〜11年)
♒️水瓶座約21年2023年〜2044年70代前半〜80代前半前後 約5〜6年
(計 約11〜12年)
♓️魚座約25年2043年〜2068年80代中盤〜90代前半前後 約6年
(計 約12年)
  • 冥王星には逆行現象があるため、前のサインから次のサインに完全に移動するまでには年単位の時間がかかります。このために期間の重複が発生するサインがあります。
  • ♈️牡羊座から♍️乙女座に向かう度数では、度数を追うごとに成立までの期間が短くなっていきます。
  • ♎️天秤座から♓️魚座に向かう度数では、度数を追うごとに成立までの期間が長くなっていきます。
細部考察:成立年齢の差異から生まれること

冥王星のサイン別に見ると、♍️乙女座冥王星世代は最も若いうちに90°成立を経験するのに対し、♓️魚座冥王星世代は最も老いてから90°成立を経験することがわかります。年齢の開きはなんと50歳分くらいあります。

(技術革命等によってさらなる長寿化が実現しない前提で)現在の社会に当てはめて考えると、完全に人生のフェーズが違っており、今の子どもたちや、これから先の時代に生まれてくる世代は、人生の最終盤で迎えることになるか、もしくはすでに生きていない可能性も低くありません。

彼らのような世代にとってはもしかすると、90°の成立が意味するものは、今考えられているよりもはるかに重いものになるのかもしれませんね。

中年期の心理変化と重要アスペクトを関連づけて考えるならば、世代によっては90°ではなく45°(セミスクエア)で一旦見ることになる可能性もあるのかも…?

今はまだ未知の領域で、これは実際に数十年経ってみないとわからなさそうです。

ソーシャルプラネット2天体のハードな配置(アスペクト)

「ソーシャルプラネット(The Social Planets)」とは、次の2天体を指します。

  • 木星
  • 土星

おそらく皆さんもよく知っている、太陽系惑星の中で最も大きな2天体です。

トランスサタニアン3天体が示す「魂の叫び」を、現実の世界の中でどのように実現するかの手がかりとして、特定の配置を見ることがあります。

ミッドライフクライシスの諸事項は、基本はトランスサタニアンで見る形ですが、必要に応じてこちらのソーシャルプラネットも補助的に使用するようなイメージです。

ソーシャルプラネット2天体のハードアスペクトと年齢の関係一覧

全ての人において、出生図の各天体(N)に対し、人生の経過を経て移動した同じ天体(T)によって特定の配置(アスペクト)が形成されます。

このセクションでは、各天体ごとの特徴と使用する配置、成立年齢の関係を示す簡単な表を示します。

木星
イメージ:木星
公転期間
約12年
使用するアスペクト(配置のカタチ)
N木星 と T木星 の 0°
ざっくりとした意味
人生の発展の可能性・希望の持ち方
成立年齢
36歳前後・48歳前後・60歳前後
土星
イメージ:土星
公転期間
約29.5年
使用するアスペクト(配置のカタチ)
N土星 と T土星 の 0° / 180°
ざっくりとした意味
人生の試練・課題・実現すべきこと
成立年齢
30歳前後・45歳前後・60歳前後

「ミッドライフクライシス」を、乗り越えよう

写真:天の川を見上げながら祈る人

人それぞれに、中年期に迎える人生展開は異なっており、そこに秘められている意味もまたひとりひとり違います。

けれど一番大切なことは、ミッドライフクライシスは「乗り越えられる」ものだということです。


あなたにとっての「ミッドライフクライシス」の意味とはなんでしょうか?

それを乗り越える方法とは?

そして、乗り越えた先にあるものとは何でしょうか?

イメージ:「New Life」と書かれた滑走路と青空と太陽

あなただけの「ミッドライフクライシス」の意味を知り、乗り越えるための方法を見つけ、その先へ進んでいきましょう。

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