初夏の風は旅へ誘う
軽やかなる歌声とともに
ゆるりゆるりと流れゆく
ただすべてを味わいに
歓びは甘いだけでなく
苦きも辛きも渋みさえも
空しさとて生きてこそ
すべて生命の恩寵なり
今回の表現のテーマ
新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。
- 本格的な進化を求め始めた世の中の空気感を存分に感じ取り、過剰な刺激もすべて吸収する
- 吸収した刺激のすべてを自らの中で醸成させ、豊かさをもたらすための力として発揮する
解釈について
表現するテーマを決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
チャートの主体
「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えることとします。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えていきます。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用します。
- 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。
背景に漂う空気感
自由と進化を求めようとする空気感が強まり始め、長く続いている抑圧的な空気に対しての反発が本格的にスタートする機運を感じます。一方で、まだ実際に人々が大きく行動するわけではないようにも思います。どちらかといえば、抑圧に反発するためのエネルギーを蓄積するために、あらゆる刺激の中に身を置き、すべてを味わい尽くそうとするかのようにじっとしているかもしれません。しかし、受け取った刺激はすべてリソースとして別の形に変換し、豊かで暮らしやすい社会を構築するために役立てようとするでしょう。
実社会では、少しずつ明らかになってきた政府の実態を追及する動きはさらに強まり、より多くの事実が白日の下にさらされる流れがおそらく続くと思います。ただ、この傾向はもしかすると、この1ヶ月で一旦霧の中に消えてしまうのかもしれません。
根拠とした要素
アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。
ASC(集合的エネルギーの出発点)
♐射手座22°「新しい国への入国に必要な条件を満たす、移民の集団」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
射手座は主に「冒険」「探求」「飛躍」などを示しますが、その過程において自らの姿勢を柔軟に変化させる能力を併せ持ちます。また、無限の情熱と枯れない探究心が、やがてこのサインの力を持つ者を高次な精神の世界へと誘うこともあります。持って生まれた躍動的な野生の性質と、留まるところを知らない成長欲求は、人々の進化の原型ともいえるかもしれません。
今回のサビアンシンボルは、まさしくこのような進化を求める射手座の姿を象徴していると思います。ただ進化し続けたいという唯一変わらぬ願いを心の炎に変換し、それ以外の自己のすべてを変化させながら生き続ける人々のたくましさとしたたかさを感じます。終わることのない永遠の流転の中で、自らの理想の姿へと進化し、変貌を遂げるのです。
成立しているアスペクト
- 新月-クインカンクス
- ASC・金星・天王星-メディテーション
- 海王星-スクエア
- 冥王星-セミセクスタイル
ASCルーラー(支配星)の状況
今回のASCの支配星は木星です。木星は♏蠍座・第11ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 木星・新月・冥王星-メディテーション
- 木星・海王星・冥王星-小三角
今回木星は、2種類の調和的な複合アスペクトに関わる状態となっています。滞在ハウスは第11ハウスです。
議会の動きは活性化しそうに見えます。またほぼ真向かいにある新月は第5ハウスで起こるために、活発化した議会による種々の問題の明確化によって、国民全体の内閣への関心がより集中するのかもしれません。
MC(集合的エネルギーが向かう先)
♎天秤座11°「鉱夫たちが、深い炭鉱から表に出てくる」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
天秤座は一般的に「調和」「均衡」「秩序」などを示すサインです。簡易な性格占いなどでは「八方美人」などと言われることもあり、自己の軸がなく周囲の雰囲気に流されやすいと解釈されたりもしますが、それは天秤座の能力がまだ未熟な段階であることの証左にすぎません。風のエレメントのサインらしく客観視の能力に秀で、自己も他者も文字通り公平かつ対等に捉え、また的確に扱える才能を秘めています。これらの資質が醸成すると、人々を真の調和へ導くための指導者として大成することもあります。
このシンボルは、天秤座の資質のうち、優れた客観能力と知的探究心がもたらす成果として、現存する問題点の解決のためにそのカギとなる要素を深い闇の中から見つけ出し、白日の下へ提示することを示しています。また、問題解決のためのカギは目に見える現実の中に必ずあるという確信も示しているように感じられます。
成立しているアスペクト
- 新月-セスキコードレート
- 土星-スクエア
自由度の少ない抑圧的な世論情勢と、まだまだ楽観的で余裕そうなイメージを維持したい為政者の振る舞いによって、MCの示す象意の成就は難しいように思われます。
MCルーラー(支配星)の状況
今回のMCの支配星は金星です。金星は♊双子座・第7ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 金星・天王星・ASC-メディテーション
- 新月-セミセクスタイル
DES上に位置する金星は双子座にあり、これはDESと同サインでもあります。外交スタンスはいったん柔軟な姿勢に変更し、周辺国への友好的な態度をアピールする展開になると見込まれます。
社会の基本的な動向
今回の新月の要素と成立しているアスペクトから、基本的な動向を考えます。
考えられるこの時期の状況
急に進化を求めだしたかのような空気感や、突然友好モードに転じる外交姿勢などとは裏腹に、国内における為政者の政治への基本姿勢や大部分の民衆の様子は、いきなりガラリとは変わらないでしょう。変わっていくためには様々な刺激を受け取り切る必要がある ということのように思います。
ただし、エネルギーをためる期間が終了すると、急に物事が活発に動くようになる可能性は十分考えられます。
社会の中に生きる個人のスタンス
自らの中に抱えている思いを成就するため充電期間と、蓄積したエネルギーを使用して何かを創造したい欲求に駆られるような期間を順に体験するような時の流れ方になるかもしれません。外部刺激は多いと思われますが、それらを「感じ切る」あるいは「体験し尽くす」必要があるでしょう。その間はむしろじっとしていることが多いかもしれません。
しかし、この蓄電期間を経ることで自らの願望も定まり、ひとつの到達点を目指す信念も揺るぎないものへとなっていくのだと思います。動き出すまでには時間がかかっても、一度動き始めれば怯まず進み続ける牡牛座の力を、ここは是非とも借り受けましょう。
根拠とした要素
新月のサインおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。
新月のサインとハウス
今回の新月は「♉牡牛座・第5ハウス」に位置しています。
サインの基本的な概念
牡牛座は一般的に「豊穣」や「富」を示すサインです。この豊穣とは主に物質的な豊かさを指していますが、単に「モノ」だけでなく、「身体」「資産」「生命力」なども含みます。自らに付帯するすべての持ち物と、その所有に関することを示します。すべては自らの中にあって「満ち足りている」ということを知り、それを全身で感じ取ることが命題です。また、「農耕」を象徴するサインでもあります。
エレメントは「地」、クオリティは「不動」です。少し大きな捉え方をすれば、我々が生まれ住まい続ける「ガイア=地球」を象徴します。
♉牡牛座の月(第5ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 非日常的でエキサイティングな環境の中で、五感のすべてを使いながらその環境のすべてを感じ取ることを悦ぶ
♉牡牛座の太陽(第5ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 物質的・身体的な満足感に浸ることで生まれる「自らが実在する充実感」の高まりを、創造力や表現に昇華させようとする
- 自らが持つ全ての豊かさを快く解放し、命の輝きに満ちた世界を創り上げることを目指す
成立しているアスペクト
今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。
- 新月・木星・冥王星-メディテーション
- 金星-セミセクスタイル
- 火星-トライン
- 木星-オポジション
- 土星-セスキコードレート
- ASC-クインカンクス
- MC-セスキコードレート
補助要素
新月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。
水星
水星は♉牡牛座・第4ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 天王星-コンジャンクション
- 火星-スクエア
- 土星-トライン
間もなく牡牛座へ入ろうとしている天王星とコンジャンクションを形成しながら、第4ハウスに位置しています。ここ数日、比較的目立つ地震が多いように感じますが、この天体配置の影響なのかと考えられます。また、火星とのスクエアもありますので、国土環境やライフライン、農業に関するニュースも活発に流れてくる可能性があります。
火星
火星は♑山羊座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 新月-トライン
- 水星+天王星-スクエア
- 海王星-セミスクエア
第2ハウスに位置する火星は、ちょうどこれからサインを移動しようとしている天王星の意味を強調するかのように感じます。牡牛座の象意の中には「貨幣」や「銀行」というものもあり、牡牛座に移動する天王星はこれらの改革をもたらすだろうと想像しています。この影響が日本ではまさに経済分野において生じるだろう ということを示唆しているかのように見えます。
土星
土星は♑山羊座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 新月-セスキコードレート
- 水星-トライン
- MC-スクエア
暗澹たる現状を脱却して進化を求めたいという人々の想い、闇の中に隠され続けている真実へのカギを探し求める姿勢。それらを持ち合わせていながらも、素直に表現するには至らないように思います。これまでの沈黙の慣習を棄てて声をあげようとはなかなかできないでしょう。
天王星
天王星は♈牡羊座・第4ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 水星+天王星・金星・ASC-メディテーション
- 火星-スクエア
- 海王星-セミスクエア
天王星はこの新月の直後まもなく、牡牛座へのサイン移動を控えています。今後世界的に、貨幣価値や金融システムの大転換が起こったり、銀行という存在自体が変化していく可能性などが考えられます。また、農業のスタイルなども変化するかもしれません。他にも、身体の健康意識や常識とされた知識なども全く新しい考え方が登場するのかもしれません。
天王星がサイン移動する瞬間のチャート(イングレスチャート)を確認すると、サイン移動の瞬間、天王星は第2ハウスに位置していました。従って、日本においてこの天王星のサイン移動は、経済・金融・税制などに直接的な影響があると考えられます。個人的には「円」というものの価値がどのように変化するかにも注目しておきたいところです。「円」はもともと物理的な担保がない通貨でもあるからです。
海王星
海王星は♓魚座・第3ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 海王星・木星・冥王星-小三角
- 火星-セミスクエア
- 天王星-セミスクエア
- ASC-スクエア
これから1ヶ月程度の間、世間に出回る情報はあいまいなものが増えると思います。とくに、経済に関すること、国土環境に関することなどは、この影響を受けやすいかもしれません。
一方、木星と再び正確なトラインを形成するようになってきています。人知れず内に秘めてきた悲しみや悩みを共有したい願望が、多くの人々の間でより高まるでしょう。第1ハウスに位置する冥王星が示す、深い部分に隠されたセルフイメージを表に出したい欲求と相まって、この傾向はさらに高まりそうです。