Astrologyで、よく「○○座」と表現されるものは、実際には「黄道十二宮」または「サイン」と言います。
黄道十二宮(サイン)と星座
黄道十二宮(サイン)と星座は、呼称が似ているので同じものだと思われやすいですが、実際には異なるものです。
「黄道十二宮(サイン)」を理解するためには、天動説的な考えのもとに「黄道」を理解する必要があります。
黄道とは
「黄道」とは、地球を取り囲む巨大な「天球」があると考えた時、その天球の表面に沿って太陽が移動する経路のこと。
地球から見ると、太陽は、毎日少しずつ黄道上を進んでいて、1年かけて元の位置に戻ってきます。
その際、南北におよそ8.5度ずつ(=計17度)の幅を持って進むので、経路はベルト状であると考えることができます。
「黄道」は、天球上の赤道に対して、約23.4度傾いています。
これは、地球の自転軸が約23.4度傾いているためです
天球上での黄道をイメージすると、球体に斜めがけのベルトがかかっているイメージになります。
なお、天球上の赤道とは、地球の赤道をそのまま天球まで伸ばしたものです。
春分点と秋分点
「黄道」と天球上の赤道の交点が「春分点」と「秋分点」です。
「春分点」と「秋分点」は、次のようなものです。
- 春分点
太陽の方向=南から北
「白羊宮の起点(0度)」 - 秋分点
太陽の方向=北から南
「天秤宮の起点(0度)」
太陽が「春分点」を通る日が「春分の日」、「秋分点」を通る日が「秋分の日」です。
「春分点」と「秋分点」は、常に180度の関係になるので、春分点の位置がわかれば秋分点の位置も割り出されます。
歳差運動による春分点と星座のずれ
コマが傾いたまま回ると、同時に、それに反してまっすぐになろうとする力が働きます。すると、軸を中心として、頭(上)のほうが円を描くように動きます。
地球の自転軸は傾いているので、傾いたまま回るコマのような動きをします。
これを「歳差運動」といいます。
たぶん以下の動画がわかりやすいです。
ちょうど、自転軸が回転しているイメージに近いと思います。
YouTube:Chikyu-goma, a gyroscopic toy 軸を傾けた地球ゴマ(ジャイロ)
自転軸は、およそ25,920年かけて1周し、元の場所に戻ります。
歳差運動による影響で、地球から見た星空の位置もずれていっています。1周するまでの期間が長すぎるので見た目には解らないのですが…。
たとえば、北極星もずれていっており、今と同じ位置になるのは25,920年後となります。
これはすなわち、星座もずれていっているということです。
そして、この歳差運動によって、春分点の位置もずれていっているのです。現在の春分点の位置は、魚座と水瓶座の境界あたりと考えられています。
黄道十二宮(サイン)とは
春分点を基準として、天球上を均等に12のエリアに分けると、1エリアは30度になります。
360 ÷ 12 = 30
「黄道十二宮(サイン)」とは、その各エリアのこと。
各エリアには、黄道のベルトの上に存在している12の星座の名前と性質が割り当てられました。
「黄道十二宮」が整備された時代には、春分点は牡羊座にあったと言われています。現在でも、春分点=「白羊宮の0度」なのは、そのためだと言われています。
「黄道十二宮(サイン)」とは、天球上の方向や座標を示すのに使われます。また、季節を表現するのにとても向いていると私は考えています。
日本で言えば、「二十四節気」とよく重なります。
「黄道十二宮(サイン)」が自然界に存在する季節と連動していると考えるならば、各宮の持つ特性も理解しやすいでしょう。
それぞれの星座と季節のエネルギーを湛えた、天空の領域が、「黄道十二宮(サイン)」なのです。
黄道十二宮と12星座の呼称の対応
以下は、「黄道十二宮(サイン)」と12星座の呼称の対応を示したものです。
日本においては、「黄道十二宮(サイン)」には中国名、12星座にはラテン語の学名を訳した日本語が当てられています。
黄道十二宮(サイン) | 12星座 |
---|---|
白羊宮 | 牡羊座 |
金牛宮 | 牡牛座 |
双児宮 | 双子座 |
巨蟹宮 | 蟹座 |
獅子宮 | 獅子座 |
処女宮 | 乙女座 |
天秤宮 | 天秤座 |
天蠍宮 | 蠍座 |
人馬宮 | 射手座 |
磨羯宮 | 山羊座 |
宝瓶宮 | 水瓶座 |
双魚宮 | 魚座 |
歳差運動による春分点の移動方向
白羊宮→双魚宮→宝瓶宮… の順に移動します。
太陽が進む方向とは逆です。
なぜ「黄道十二宮(サイン)」の名称があまり使われないのか
日本人にとってイメージしにくいから ということのようです。