今あなたの目の前が
甘い夢のような世界なら
セイレーンたちの歌声に
狂わされることないように
今あなたの足元が
もう後ずされない崖っぷちなら
迫る死の恐怖の中に
自ら身を投げないように
高く高く心開いて
曇りひとつない鏡のように
深く深く心鎮めて
濁りひとつない水のように
今回の表現のテーマ
新月=「決意のとき」という解釈を軸に、それがどのような決意なのかを考えます。
- 今目の前のフィールドが安定しているように見えても気を抜かず、常に集中してバランスを取る
- 心を清らかにして平常心を保ち、諸々のノイズに振り回されずに真実の在り処を見極める
考えられるこの時期の状況
月相図のチャートから読み取った内容から、この新月の影響を受ける時期の社会状況を要約してまとめます。
背景に漂う空気感
施政者側の足場固めが一旦終了して、国民に対しては安定感・健全性を演出されることになります。概ねそのイメージ戦略は成功するものと思いますが、国民側の意識も多層化していて、皆に一様に狙っているイメージを伝えることは難しいように思います。実際には危ういパワーバランスの下に成り立つ戦略であるように感じられるでしょう。また、結局は今までの体制がさらに続くことから、閉塞的な空気も継続します。
今後時間が進むにつれて、次第に夏頃のように不正や不義に対する議論を要求する気運が高まったり、真実の解明を求める欲求が強くなるのではないかと考えます。
社会の基本的な動向
自民党総裁選・内閣改造を終えて、ひとまず政府の体制は固まった状態です。与党はとりあえず安泰、国内経済は基本的に株高傾向という幻想を継続して見せられている状態かと思います。10月11日時点で下落傾向の変動はありましたが、近いうちにひどく深刻な事態に陥るか?と言われると、あまりそうは思えません。
政府と国民の関心は憲法改正に向けられることが考えられます。次の満月の終わりごろに臨時国会が開かれ、憲法改正案の提出がなされると言われていますので、今回の月相図でもこのことを示しているように思います。同時にTPPやアメリカとの二国間貿易などの件も新たな動きが発生するかもしれません。
他に注目が当たりそうな分野ですが、ひとつは先般のノーベル賞に関連したニュース類だと思います。学術研究・高等教育などの分野などが考えられます。次に考えられるのは経済で、不安定な状態が度々発生するように見受けられます。
解釈について
以下は、占星術のチャート解釈にまつわる技術的な内容を記載しています。
根拠とした各要素と詳細
表現するテーマや主解説の内容を決めるにあたって月相図から読み取った内容を、以下に整理してみます。
前提
解釈の全体条件は次のとおりです。
チャートの主体
「国家の基盤である民衆の根源的欲求の集合体」と考えています。
留意事項
- ネイタルを読み解くような解釈の中にマンデーンのおおまかな解釈を取り入れ、「時代背景」「情勢」として考えています。
- アングル・ハウスについては、「日本/東京」での観測値を採用しています。
- 今回使用したホロスコープ作成ソフトウェアは「Amateru」です。
「背景に漂う空気感」を導き出した要素
背景に漂う空気感は、アングル(ASC・MC)が指し示すサビアンシンボルと、それに対するアスペクトから考えています。
ASC(集合的エネルギーの出発点)
♑山羊座15°「体操着に身を包んだ少年少女たちが集まっている、学校のグラウンド」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
このシンボルでは、山羊座の象意のうち「自然に沿った健全性」を示します。同時に、人々に対しこれをリマインドする必要性を説こうとしています。
誤解されがちですが、山羊座は何も「責任」「権力」「伝統」ばかりを示すわけではありません。山羊座がそれらの象意を持つのは、人類全体が、自分たちが建設的に発展するために「社会」というものを築き上げる過程の中で積みあがったのが、これらのものであったからです。「責任」「権力」「伝統」を護りたいと思う根源にはむしろ人類の健全な発展を願う、無意識の願いがあります。困ったことに、山羊座はその強い願いを叶えるべく目的に邁進するあまり、自分自身がその動機すら忘れてしまうことが多いために誤解され、また自らもいつしか誤解してしまいやすいのです。
また、「自然秩序に沿う」ということも山羊座の持つ大切な象意のひとつです。人類の世界が本当の意味で永続的に発展するには、自然秩序に沿い、敬い、共にあろうとする姿勢を忘れてはならないことを実体験として学びます。そして、学んだことを実社会に取り込むために、新たな基盤を構築する活動に邁進するのです。
成立しているアスペクト
- 新月-スクエア
- 冥王星-コンジャンクション
- ASC・金星・海王星-小三角
施政者は「ひとまず安心して、身体でも動かして健康的な気分を取り戻そう」というかのような雰囲気を創り出すことを望み、それは概ね成功するのでしょう。しかしそれは非常に危ういバランスのもとに創られた雰囲気であり、見えない部分ではかなりの緊張を強いられているように思います。
ASCルーラー(支配星)の状況
今回のASCの支配星は土星です。土星は♑山羊座・第12ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 土星・水星・天王星-メディテーション
- 海王星-クィンタイル
- MC-セクスタイル
2018年内は、この新月以降、第12ハウスに天体が入ることはほとんどありません。唯一、2018年11月23日に発生する双子座の満月の時期のみ海王星が入ります。このタイミングでは不穏な空気の可能性を感じますが、今回の土星からは、それとは別の雰囲気を感じます。
ASCルーラーであるために世論全体への影響力は持つものと思われますが、どちらかといえばわかりやすい出方をするのではないかなと思います。土星は極めて正直で、嘘をつくことをしない天体です。「裏ではそんなことが動いているのか」という情報が少々表に出現して、裏の動きは若干鈍化するのかなと想像します。
MC(集合的エネルギーが向かう先)
♏蠍座6°「深海の潜水夫」
サインの基本概念とサビアンシンボルの象意
このシンボルでは蠍座の象意のうち「深層心理への関心」を強調しています。意識の下降・沈下、浮上しないものへの価値の希求など、蠍座らしさをよく表しているシンボルの一つだと思います。
ひたすらに、一心不乱に水底へと降りていく試み。本来光の届かない沈黙の世界に一人で降り立ち、小さな光を当てた時に何が見えるのか?ということだけに関心が集中しており、それ以外のことにはあまり価値を見出していないという特徴もあります。高い集中力によって周りの雑音を自分の中から消し去り、周囲に流されない状態で自身の内面のみに向き合えるという強さもあります。
成立しているアスペクト
- 水星-コンジャンクション
- 金星-コンジャンクション
- 火星-スクエア
- 土星-セクスタイル
- 天王星-オポジション
- 海王星-トライン
- 冥王星-クィンタイル
新月と木星以外の天体は、MCとのあいだに何らかのアスペクトを形成しています。MC自身の支配星である冥王星とはクィンタイルを形成しており、この社会の真実が一体どこにあるのか?に関心が集中するかもしれません。そのような動きが発生するならば、人々はこの新月の時期の終盤に見出される「隠された真実」への価値をすくい上げ、その後の社会の発展や変容の潮流に繋げようとするということを予感させます。
MCルーラー(支配星)の状況
今回のMCの支配星は冥王星です。冥王星は♑山羊座・第1ハウスに位置しています。
成立しているアスペクト
- 新月-スクエア
- 木星-セクスタイル
- 海王星-セクスタイル
- MC-クィンタイル
MCルーラーとなっている冥王星は、新月との強力なスクエアのアスペクトを形成しています。また、冥王星が入室している第1ハウスには他に水瓶座の火星があり、時間が経過するにつれて世論の展開は良くも悪くもエネルギッシュになっていくだろうと推測できます。夏頃のように、徐々に議論が強まる傾向も出るかもしれません。この傾向は、なんとか平穏で安定的な雰囲気を保ちたい施政者にとっては辛い側面がありそうです。
「社会の基本的な動向」を導き出した要素
今回の新月の要素と成立しているアスペクトから、基本的な動向を考えています。
根拠とした要素
新月のサイン・ハウスおよび新月とアスペクトをとる天体との関係から考えています。
新月のサインとハウス
今回の新月は「♎天秤座・第9ハウス」に位置しています。
サインの基本的な概念
天秤座は「調和」「公正」「完全なる美」「万物の対等性」「対峙」「契約」「協同」などを象徴するサインです。
♎天秤座の月(第9ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 人類の精神的進化のために、自己と他者のバランスをとり続けようとする
- 自らをとおして他者の心理を映し出すために、高潔な精神を持つ
♎天秤座の太陽(第9ハウス)
一般的な解釈では、次のようなことを示します。
- 高遠なる精神の世界を探求し、人類の調和への糸口を求める
- 万物の対等性を説く
- 常に協同の精神を持って、他者に平和への道筋の創り方を教示する
成立しているアスペクト
今回の新月に対するアスペクトは次のとおりです。
- 火星-トライン
- 海王星-クィンカンクス
- 冥王星-スクエア
- ASC-スクエア
人々の関心は法律・学術研究・高等教育などの方向に向かいます。ちょうど先週には今年のノーベル賞受賞者の発表があり、国民の関心がその方向に集中する潮流がすでにありました。今後特に期間の前半の間この関心は継続し、TVではニュースや特番などもまだまだ組まれるでしょう。
天秤座は、何につけても万事バランスをとることを求めるサインですが、上辺だけの調律では国民が納得しないという傾向が少しずつ強まってきています。施政者は舵取りを間違えれば一気に信用を失う状態になってきています。その時期は恐らく今ではなくまだまだ先だと思いますが、それは何らかの「ぼろが出る」という形になるかと思います。
補助要素
新月のはたらきをサポートする天体に焦点をあててみます。
水星
水星は♎天秤座・第9ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 水星・土星・天王星-メディテーション
- 海王星-セスキコードレート
- MC-コンジャンクション
法律関係の話題が中心になるのかな?と思いつつも、そうではなく科学技術などの研究機関や高等教育機関などにスポットが当たるということかとも考えます。もちろん、両方だという可能性も十分ありますが。
金星
金星は♏蠍座・第10ハウスに位置しています。アスペクトは次のとおりです。
- 金星・海王星・ASC-小三角
- 火星-スクエア
- MC-コンジャンクション
新月にとっての支配星でもある金星は第10ハウスにあります。改造内閣が発足したこともあり、政府与党はまずイメージ戦略を展開してくる流れかと思います。配置のうち気になるのは第1ハウスにある火星とのタイトなスクエアです。この火星については次のセクションにて考えてみます。
火星
火星は♒水瓶座・第1ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 新月-トライン
- 金星+MC-スクエア
この時期の空気全体に徐々に激しい議論を呼びこんできそうな雰囲気は、この火星から感じます。世論は施政者側のイメージ戦略と衝突し、公正を求める大衆に対して力を与えることになるでしょう。
木星
木星は♏蠍座・第10ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 冥王星-セクスタイル
来月に射手座入りを控えた木星は、今回アスペクトはひとつだけでした。しかし支配先が第12ハウスということで、土星の真摯な姿勢を助けるようにも見えます。
天王星
天王星は♉牡牛座・第3ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 天王星・水星・土星-メディテーション
- 海王星-セミスクエア
- MC-オポジション
天王星は第3ハウス側ではありますが、ICに比較的近い場所にあります。長いこと社会の潮流のカギを握り続けてきた天王星ですが、今回はそのような気配は見えません。ただ、第3ハウスには流通分野という象意がありますので、移転後間もない豊洲市場に関する何らかのハプニングはあるかもしれませんが。
海王星
海王星は♓魚座・第2ハウスにあります。アスペクトは次のとおりです。
- 海王星・金星・ASC-小三角
- 新月-クィンカンクス
- 水星-セスキコードレート
- 土星-クィンタイル
- 冥王星-セクスタイル
- MC-トライン
今回の新月図で気になったのはこの海王星です。アスペクトがとても多く、第2ハウスに位置しているため、国内経済や景気の動向についてかなり大きな影響を与えるのではないかと思っています。
金星とはトラインですから、恐らくまだ経済力が低下していることについて致命的な影響を受けることはないでしょう。崩壊の危険をはらんでいることはもうずっと変わっていませんが、冬至付近まではそこまで顕著な動きはないかもしれません。
おわりに:今このときを生きる人へ
まず、投稿を楽しみにしてくださっている方にお詫び申し上げます。今回の月相図はうまく言葉やイメージを拾うことができず、投稿が新月までに間に合いませんでした。
「バランス」という基本象意を持つはずの天秤座で発生した今回の新月ですが、その基本象意とは裏腹に、チャートの示している内容は非常にアンバランスに思えました。テーマを読み取り定めることが難しかったです。
むしろ、アンバランスを露呈させないために必死にバランスを取ろうとしているような、そういう印象を受けました。世界はなおも強い緊張状態にあり、ここ日本も例外ではないということです。そんな社会の中で生きている人々は無意識に心を張りつめていて、その緩め方がわからない。あるいは、その緊張の原因を取り除く方法が見つからなかったり、力が足りなかったりして苦しいけれど、それでも皆平静を生きている。そういったイメージとも重なります。また、「今回は一旦沈黙の時なのかな」と思ったりもしました。
「静観」ということも、時には必要になります。ただ、沈黙するのなら一度心を沈めて集中し、身体の奥底まで届くように呼吸を整えてみるのもよいかもしれません。公正さと客観性を自己の中に取り戻すことは、自分をより高めるための道標になります。