西洋占星術の世界では、日本時間の2020年12月22日 3:18 に「グレートコンジャンクション」が起こり、これをもって「風の時代」に入った などといわれています。この記事を書いているのは、まさしくグレートコンジャンクションが発生して間もない時期です。
本題の前に:グレートコンジャンクションを肉眼で見てみた
正確なグレートコンジャンクションが成立する時、日本では木星・土星が地平線下になってしまうということで、2020年12月21日の日没ごろから、南西の空を見上げてみました。
今回のグレートコンジャンクションは約397年ぶりの近さだということで、肉眼ではもはや1つの天体にしか見えませんでした…!撮影した写真を拡大してやっと2天体だとわかるくらい。
この日はとても寒かったので手があっというまに冷たくなり、撮影した写真をinstagramにアップしようと思っても文字が思うように打てなかったので、タグだけつけて投げました。でも、この少し前までは西の空を覆っていた雲も流れて綺麗に晴れ、しっかりと目に焼き付けることができて大変うれしかったです!
さて、この「考察:グレートコンジャンクション」シリーズ記事、第2回目はグレートコンジャンクションの周期と「ミューテーション」と呼ばれる現象およびその周期についてまとめていきます。
ミューテーションとは
グレートコンジャンクションという用語をご存知の方でも、この「ミューテーション」という用語は聞き馴染みがないかもしれません。
西洋占星術における「ミューテーション」とは、グレートコンジャンクションが発生するエレメントが変化することを言います。
参考:他分野におけるミューテーションという用語
ミューテーションは英語で「mutation」と表記します。遺伝学(伝統的には生物学も?)において突然変異を意味する用語です。ミューテーションの結果生じた変異体を「ミュータント(mutant)」と呼びます。たぶんこちらの用語は聞いたことがある方も多いのではないかと思います。
グレートコンジャンクションにおけるミューテーションとは
およそ20年前後の期間ごとに成立するグレートコンジャンクションですが、不思議な規則性があります。
不思議な規則性1:成立するサインのエレメントが一定期間固定化される
後ほどまたくわしく書きますが、グレートコンジャンクションは約200年前後の期間、同じエレメントに属するサインで起こり続けるという規則性があります。
※注:正確に200年でないことには注意してください。
直近の状況
(日本時間)1842年1月26日6:11頃に♑️山羊座13°台で発生して以降、1981年のグレートコンジャンクションを除き、全て地のエレメントに属するサイン(♉️牡牛座・♍️乙女座・♑️山羊座)で発生し続けていました。
※1981年のみ♎️天秤座(=風のエレメントに属するサイン)で発生しています。
このように、グレートコンジャンクションは一定期間同じエレメントに属するサインで発生し続けるために、大きな時代区分の「色」を司る現象であると考えられてきました。
近頃あちこちで言われている「つい先日までは『地の時代』であり、これからは『風の時代』である」というのは、このことを言っています。
(日本時間)2020年12月22日3:18頃に成立したグレートコンジャンクション以降しばらくは、風のエレメントに属するサイン(♊️双子座・♎️天秤座・♒️水瓶座)で起こり続けることになります。
不思議な規則性2:エレメントの移動順が固定化されている
西洋占星術では、ギリシャ哲学に端を発し、西洋世界に根付いてきた「四元素」の理論が取り入れられています。この理論は天体にも適用されますが、最もわかりやすいのは12サイン(星座・宮)に適用されるものです。グレートコンジャンクションのミューテーションに関わるのは、12サインに割り当てられた四元素であり、これを「エレメント(element)」と言います。
参考:西洋占星術におけるエレメントとサインの関係
西洋占星術におけるエレメントおよび該当するサインは次のとおりです。
エレメント名 | 該当するサイン |
---|---|
火(Fire) | ♈️牡羊座 ♌️獅子座 ♐️射手座 |
地(Earth) | ♉️牡牛座 ♍️乙女座 ♑️山羊座 |
風(Air)※風とも大気とも。日本語的に「地」との対比を考えるなら「天」とも | ♊️双子座 ♎️天秤座 ♒️水瓶座 |
水(Water) | ♋️蟹座 ♏️蠍座 ♓️魚座 |
エレメントは、火 → 地 → 風 → 水の順で連なり、一巡すると火に戻ります。これは、12サインを順に並べることでも確認できます。
No. | サイン名 | エレメント |
---|---|---|
01 | ♈️牡羊座 | 火(Fire) |
02 | ♉️牡牛座 | 地(Earth) |
03 | ♊️双子座 | 風(Air) |
04 | ♋️蟹座 | 水(Water) |
05 | ♌️獅子座 | 火(Fire) |
06 | ♍️乙女座 | 地(Earth) |
07 | ♎️天秤座 | 風(Air) |
08 | ♏️蠍座 | 水(Water) |
09 | ♐️射手座 | 火(Fire) |
10 | ♑️山羊座 | 地(Earth) |
11 | ♒️水瓶座 | 風(Air) |
12 | ♓️魚座 | 水(Water) |
グレートコンジャンクションのミューテーション順
グレートコンジャンクションのミューテーションによる「○の時代」の変遷も、この火 → 地 → 風 → 水の順に起こっています。本当に不思議です。
グレートコンジャンクションとミューテーションの周期
さて、ここで一旦資料を提示しようと思います。
資料:3000年分のグレートコンジャンクション一覧
紀元前500年から紀元2500年までに成立するグレートコンジャンクションのデータを抽出し、一覧化したものを作成しました。PDF形式のデータです。
参考元
データソースはAstro-Seek.comのものを使用しています。
補足:画像データ
PDF形式ではなく画像で見たいという方は、次のものをご覧ください。
データ内の各情報の意味について
とても長くなってしまいますので、割愛させてください。
このデータは、どちらかというと占星術を研究する方向けのものですので、そのような方がご自身で必要な情報を取っていただければ良いと思います。
特に占星術の研究をされていない方は、以下に示す「かんたんな見方」に沿って、主に表の色に注目していただければ大丈夫です。
かんたんな見方
それでは、このデータのかんたんな見方を以下に記載していきます。
1.エレメントの大きな変遷を見る
まず細かいデータはとりあえず置いておいて、グレー以外で4色に分かれたセルの色を追ってください。色は次のようにエレメントと対応させてあります。
- ピンク = 火(Fire)
- 黄色 = 地(Earth)
- 緑 = 風(Air)
- 水色 = 水(Water)
大きな色の塊は、ピンク → 黄色 → 緑 → 水色の順に変化していることがわかります。
2.大きな変遷の前に「移行期間」があることを確認する
色の塊はところどころ、とくにその色の終わりが近づくところで、ピンクと黄色、黄色と緑、緑と水色、水色とピンクという組み合わせで混じり合っている部分があります。
このことから、エレメントの変遷は突然起こるのではなく、ある程度の移行期間を経て起こるのだとわかります。
補足:薄いグレーの行について
ところどころ薄いグレーの行が存在します。これは、その直前のカラーがついている行と同じ年に再成立しているグレートコンジャンクションであることを意味します。太陽・月以外の天体は逆行現象があるため、グレートコンジャンクションの成立期に天体の逆行時期が重なると、このような状態が発生します。
例:1981年のグレートコンジャンクションの場合
厳密には合計3回のグレートコンジャンクションが成立しています。しかし、占術上の感覚としてはこの3回分をまとめて1回と見なすため、最初の1回のみカラーのセル、残りは薄いグレーのセルで表示しています。
調査結果からわかること:それぞれの周期
さて、せっかく詳細なデータを出しましたので、これを使ってグレートコンジャンクションとミューテーションの周期を詳しく確認してみましょう。
1.グレートコンジャンクションの周期
最も短い周期は18年10ヶ月にわずかに届かず、最も長い周期は20年7ヶ月強です。短い期間と長い期間には約1年10ヶ月程度の差があります。思っているよりばらつきがありました。
期間をざっくりと平均すると、約19.86年となりました。このくらいの数値であれば「およそ20年」という表現は問題なさそうです。
2.ミューテーションの周期
ミューテーションの周期は、短いものは178年3ヶ月、長いものは238年8ヶ月を超えており、その開きは60年以上。想像以上に差異がありました。
この結果から、たとえば「200年に一度」「240年に一度」など、年数を断定した表現を安易に使用することには問題があると言えそうです。
また、ミューテーションの周期には「178年○ヶ月」「198年○ヶ月」「238年○ヶ月」という3つのパターンが存在するようです。ここにもグレートコンジャンクションの不思議な規則性が現れており、興味深いなと思います。
※今後たとえば1万年分のデータで計算しなおしたら、この3つのパターンはずれるのかもしれません。3000年分ではいまいち説得力がないかもしれないとも思っています。
3.安定期と移行期
今回は「2020年のグレートコンジャンクションから風の時代がはじまる」という説に基づいて、2020年のグレートコンジャンクション以降を「風の時代の安定期」と定義しました。この場合、地の時代→風の時代の移行期は、1981年のグレートコンジャンクションから始まったと考えられます。この考えを他の時代にも適用して安定期 / 移行期を区別してみました。
すると、古い時代へ遡ると、安定期が短く移行期が長い周期がいくつもあることがわかりました。中には移行期が60%以上を占める周期もありました。
調査結果から起こった疑問:ミューテーション=安定期の始め?移行期の始め?
実際の社会現象としては、ミューテーションの影響は移行期から出ていると考える方も多いと思います。それは全く不自然ではなく、私もそう思う一人です。そうなると「移行期の始め=ミューテーション」という考え方を持ちたくもなります。
しかし、この考え方を適用すると、ひとつのエレメントに象徴される時代の幅がさらに広くなりました。100年〜300年くらいの幅になってしまい、上述したパターンも消え失せます。これではとても規則性があるとは言えなくなってしまい、ミューテーションの神秘を語るには説得力を失いすぎるように思いました。
今後、私の見解としては「ミューテーション=安定期の始め」という捉え方でいきたいと思います。
いろいろ書いて長くなりましたが、第2回はここまでにしたいと思います。次回は「風の時代」について考えていく予定です。