考察:グレートコンジャンクション 1

アイキャッチ:考察:グレートコンジャンクション Vol.1

占星術の世界では、日本時間の2020年12月22日 3:18 に「グレートコンジャンクション」が起こり、これをもって「風の時代」に入る などといわれています。

占星術に触れている方にとっては、多分今年は特にこういった内容の言葉を目にすることが多かったのではないでしょうか。

一方、占星術をご存じない方にとっては意味不明な単語の列挙に見えることでしょう。しかし同時になんだか意味深なものにも思えるかもしれません。

今回からしばらくの間、「グレートコンジャンクション」とか「風の時代」というフレーズについて、シリーズ化して書いてみようと思います。

第1回目は「グレートコンジャンクション」とは?についてです。

グレートコンジャンクションとは

グレートコンジャンクション(Great Conjunction)とは英語で「大会合」を意味するフレーズです。

占星術では、天空にある天体同士が(見かけ上)同じ黄経座標にある状態を「コンジャンクション」と呼びます。これは、例えば太陽と月であれば新月の状態です。

余談ですが、コンジャンクションという用語は天文学の用語でもあります。

コンジャンクションという用語については、以前まとめたものがありますので、興味のある方はお読みください。

グレートコンジャンクションは、占星術的なコンジャンクションの中で少し特殊な意味を持つものの一つです。

何が「グレート」?なぜ「グレート」?

グレートコンジャンクションは、太陽系の天体のうち「木星」と「土星」のコンジャンクション を指します。

木星・土星の大きさと距離、周期

木星・土星というと、太陽系の中では最も大きい惑星同士ですね。また、太陽系の惑星のうち、肉眼で見えるものとしてはもっとも遠い2天体でもあります。

木星の公転周期は約12年弱、土星の公転周期は約30年弱であり、この繰り返しの中で2天体のコンジャンクションが起こるのは、大体20年前後に1回です。

現在の日本人の平均寿命だと、4回〜5回見られるかどうかの年月ということになります。

木星・土星の担う意味

前述のとおり、木星・土星は肉眼で見える惑星としては最も地球から遠く、天空をゆっくりと動いていきます。その様子から、占星術の世界では伝統的に、個人的な何かを示すというよりは、社会情勢や社会に与える影響を示す星とみなされてきました。木星は主に社会の発展・拡大・理想、土星は主に社会の制限・停滞・具現を示し、この2天体の相によって社会の姿を判断しようとしていました。

相反する意味を担う木星と土星は、社会を形成する両輪として位置付けられています。そして、この2天体がコンジャンクションするときに、新しい社会秩序が形成され、時代の潮流を作るのだと考えられてきました。

これが「グレートコンジャンクション」の大まかな意味です。

ここまでのまとめ

一旦まとめます。

  • グレートコンジャンクション=木星と土星のコンジャンクションのこと
  • 20年前後に1回発生
  • 新しい社会秩序の誕生と普及を示す

参考:木星と土星

木星・土星それぞれについて占星術的な象意をまとめたものがありますので、興味のある方はお読みください。

グレートコンジャンクション時のチャート

グレートコンジャンクションを占星術のチャートで見ると、次のようになります。今回お示しするのは、日本時間2020年12月22日 3:18に成立するグレートコンジャンクションのチャートです。

トランジット図:2020年12月22日 3時18分
2020年12月22日 3:18(JST)に発生するグレートコンジャンクションのチャート

次に、グレートコンジャンクション部分に印をつけた図も用意してみました。

トランジット図:2020年12月22日 3時18分の中で、木星と土星がコンジャンクション している部分に○印をつけたもの
数字の「4」に似た木星のマークと、ひらがなの「ち」にも似た土星のマークが隣り合い、同じ度数にあることがわかる

余談:グレートコンジャンクションは今もグレートなのか?

木星と土星の会合であるグレートコンジャンクションですが、今日ではこの2天体よりもさらに遠い太陽系の惑星(天王星・海王星、そして現在は準惑星のカテゴリに入っている冥王星)が確認されています。

これらの天体は発見された後、現代占星術に組み込まれ、一般に使用されています。木星・土星よりもさらに遠いため公転周期も長いです。ですから、これらの天体同士がコンジャンクションするとなると、たとえば天王星と海王星ではおよそ171〜172年程度の周期となります。

人間の一生を超える長さですから、生きているうちに1回見られるか見られないかという感じになります。

このように考えると、20年前後に1回起こるグレートコンジャンクションは、もはやグレートではないと考える方もいると思います。

しかし、私はグレートコンジャンクションはやはりグレートだと考えています。

「グランドタックモデル」と呼ばれる太陽系形成モデル理論によると、太陽系形成初期に生まれた最初の惑星は木星と土星であり、その後太陽に落下しそうになった木星と、土星が偶然軌道共鳴状態になったことで軌道が大変化を起こし、現在の太陽系の形になる基となったそうです。グランドタックモデルは完全な理論ではないそうですが、それでも太陽系のなりたちを解明する大きな手がかりの一つだと思います。

現在でも、木星と土星の公転軌道はほぼ5:2の関係にあります。地球から見て木星と土星がコンジャンクションするタイミングは、宇宙空間においても木星と土星の最接近のタイミングです。このとき互いの重力が影響し合うことで、太陽系の他の惑星の軌道を調整するはたらきをしている可能性があるとも言われています。このような軌道調整が周期的に行われているならば、やはりグレートだと思います。


次の記事の予定

次の記事では「風の時代」という言葉について書いていく予定です。

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