考察:グレートコンジャンクション 3

アイキャッチ:考察:グレートコンジャンクション Vol.3

占星術の世界では、日本時間の2020年12月22日 3:18 に「グレートコンジャンクション」が起こり、これをもって「風の時代」に入った などといわれています。

今回の投稿では、なんだか空前のブームのように言葉だけがあっという間に浸透し、現在すでに使い古された感すら漂う「風の時代」という概念について、より理解を深めていきたいと思います。

西洋占星術における「風」のエレメントの象意

まずは、西洋占星術の世界で「風」とはどんな意味があるのか?について整理します。

おさらい:エレメントとは

「エレメント」とは、サイン(いわゆる星座・星座宮とも)や天体が持つとされるエネルギーの違いです。ギリシャ哲学から生まれた「四大元素」の概念が取り入れられたものです。

エレメントの構成

エレメントは「火」「地」「風」「水」に分かれています。各エレメントの主な象意と対応サインは次のとおりです。

エレメント主な象意対応サイン
意志・希望・推進・顕示♈️牡羊座・♌️獅子座・♐️射手座
感覚・具現・維持・定着♉️牡牛座・♍️乙女座・♑️山羊座
思考・理解・分散・交流♊️双子座・♎️天秤座・♒️水瓶座
感情・共感・集結・同調♋️蟹座・♏️蠍座・♓️魚座

「風」の時代 = ?

単純に考えれば、思考・理解・分散・交流がメインテーマとなる時代 ということになります。では、具体的にはどんなものが持ち上がってくるでしょうか?

1. 思考・理解というテーマ

思考そのものの力や、思考の原料となる情報の取り扱い方とその価値が、高度であるか・洗練されているか・信頼に足るものかどうかということが、人間社会の進化レベルに大きく影響を与えると考えられます。

また、この時代の中に生きる人々にそれらの力を用いて生きることを求めてくるでしょう。

2. 分散・交流というテーマ

物質的なリソースもそうですが、より際立ちそうなのは「人」の分散ではないか?ここ数年の社会傾向を見ていてそんなふうに思います。これまでひたすら密集していた人が分散させられているのは、風が通る隙間がなければ新鮮な呼吸ができないことと似ているのかもしれません。

さて、「風」というエレメントは人との交流やつながり、コミュニケーションという象意を持っていますが、「水」というエレメントともまた人とのつながりを象意に含んでいます。しかし「風」は「水」とは異なり「情」を必要とせず、また「他者との同化」を拒みます。客観視の能力や公平感覚を身に付け、それぞれが対等な別の存在であることを尊重してこそ健全な交流が成り立つ と「風」エレメントは考えています。

「地」の時代の終盤に発達したネットワークインフラは、現在すでに分散型の形態となっています。「風の時代」と呼ばれるこれからの時代のイメージを無意識に形作ってきたとするならば、大変よくできた話ですね。

過去の「風の時代」に起こった代表的なこと

それではここで、これまでの歴史の中で「風の時代」に起こったことは何なのか?を確認してみましょう。歴史は苦手分野ですが、それぞれの時代を理解するポイントになりそうなところを、拾い集めていきたいと思います。

紀元前(BCE)324年〜紀元前165年

この時代の最も特徴的な出来事は、アルゲアス朝マケドニア王国のアレクサンドロス3世による世界征服の実現です。エジプト・ペルシアを征服し、東方遠征を続けてインドまでを支配下に置き、ギリシアに併合(ヘレニズム)したことで、当時ギリシアが考えていた「世界」のほとんどが繋がれました。

彼の治世自体は長続きしませんでしたが、大規模な国境線変遷の影響はあらゆる面に残り続け、当時の世界の常識を色々と変えていきました。新しい文化醸成の土台ともなり、今日の私たちにもいまだに影響を与え続けています。

一方アジア方面でも王朝の刷新が目立った時代だったようです。なかでも中国では「秦」が中華統一を果たし、王であった嬴政は最初の皇帝(=始皇帝)となりました。こちらも中華世界内でのことではありますが国境線の著しい変化があり、国家の姿そのものの変容が起こっていたと言えます。そしてまた始皇帝自身の治世も長続きはしなかったのですが、その凄まじい影響力はもちろん現代にも残り続けています。

この象徴的な2人の若き王の存在が、同じ時代にあったことは大変興味深いです。

452年〜690年

ヨーロッパ方面

特筆事項は、西ローマ帝国が滅亡したことでしょう。風の時代に入る少し前の395年にローマ帝国は東西分裂を起こしており、その後衰退の一途を辿りました。なお、その直前にあたる392年、ローマ帝国はついにキリスト教を国教化し、続く394年にはローマを守り続けた聖火とも言えるウェスタ神殿の炎を消したそうです。ウェスタとは小惑星ベスタの名前の由来となった神であり、ギリシア神話のヘスティアのことです。占星術家としては気になるエピソードですね…。

なお、分裂した片割れである東ローマ帝国(ビザンツ帝国)は15世紀まで残り、再び世界の覇権を取り戻すことを夢みますが、結果的に叶いませんでした。

アラブ方面

イスラム教が成立したのはこの時代であるようです。また、これを国教とする国家(イスラム帝国)が誕生しました。

このころまでアラブ世界の中心にいたのはサーサーン朝ペルシアで、この王朝はゾロアスター教との深いつながりを持っていたと言われています。ゾロアスター教は発生が紀元前10世紀頃とも言われる大変古い宗教ですが、教典がなく、サーサーン朝は教典を成立させるために200〜300年あまりを費やしたようです。この風の時代の最中に聖典「アヴェスター」が完成を見ますが、イスラム教の成立はほとんどその直後くらい(610年)でした。結果的にサーサーン朝はイスラム帝国の台頭により滅亡します(血統など多くが受け継がれたようですが)。

アジア方面

中国方面は、前半は南北朝時代に入っていて、統一王朝が消滅し、様々な国が乱立している状態だったようです。これが140年あまり継続した後に再び中華統一王朝が成立。581年には「隋」、618年には「唐」。唐はその後少しずつ衰退しながらも907年まで長いこと存続した王朝でした。周辺諸国を滅ぼしたり冊封体制を敷いたりなどしながら支配力を強め、東アジアのほぼ全体に君臨したようです。

とくに唐は周辺国との貿易を盛んにしたことで、文化がより発展した国でもありました。日本からも「遣唐使」が盛んに派遣されていました。

朝鮮半島では三国時代の末期頃にあたります。このフェーズが終わる時期に統一新羅が誕生し、その後統一新羅は935年まで続きます。

日本では結構大きな動きがあった時期で、古墳時代の後半から壬申の乱あたりまでの歴史が含まれます。

「日本」という国号が採用されたのは701年で、これは次の水の時代の最初期にあたりますが、その土台となるエピソードに満ちた時代と言えるでしょう。大まかな流れとしては、古墳の巨大化から衰退、(それまでの天皇家の血統からはかなり遠い)継体天皇即位による政治の刷新、大化改新、白村江の戦いなど目白押しです。また、東アジアの各国で仏教が相次いで国教として採用された時代でもあり、宗教改革期としての一面も持っていたと言えそうです。

1226年〜1425年

この時代も大変面白い時代です。

世界的な影響を与えたもの

この時代の世界に大きく影響を与えているものがいくつかあります。これらはいずれも、それまでの国境を度外視して拡大したという共通点を見ることができます。

アジア=元

まずは何と言っても「元(モンゴル帝国)」でしょう。きっと皆さんもご存知であろうチンギス・ハンやその子孫クビライ・ハンらの王朝です。元は積極的に遠征して広大なユーラシア大陸を駆け巡り、各地を占領したり交易ルートを開いたりしていきました。海を越えて日本にもやってきた遠征軍は「元寇」と呼ばれたりしました。

はじめ猛烈な勢いで発展した元でしたがその統治は長く続かず次第に分裂・解体されていき、風の時代が終わる頃には消滅します。しかし遠征によって開かれたルートは当時を生きた多くの人々の世界観を変えるには十分だったのでしょう。大昔にヘレニズム文化が世界を席巻したように、新しい色彩を各地に落としていきました。

ヨーロッパ=ハプスブルグ家

こちらも有名な王家。ハプスブルグ家は徹底した婚姻政策によってヨーロッパの大部分の支配を実現した家系です。神聖ローマ帝国の支配を担っていたハプスブルグ家がオーストリアの君主になったのが1278年で、これを基盤として最高に繁栄していきます。

アラブ=オスマン帝国

オスマン帝国はイスラム世界に絶大なる影響を及ぼしました。最盛期には地中海地域から中東、東欧、北アフリカあたりまで至る広大な領土を持ち、イスラム世界の中心的存在として君臨。その後長い衰退期を経たとは言え、最終的に1922年まで存続していました。第一次世界大戦時にはまだ残っていたということになり、大変長命な国家だったと言えます。

ペスト大流行

元祖(世界規模の)パンデミックとも言えるかもしれないペスト大流行も、この時代に起こったことです。1346年〜1352年までのおよそ6年間に、ヨーロッパでは人口が3分の1減少したと考えられているそうです。

この大流行は、元が開いた交易ルートに乗って起こったのではないかと考えられているようです。

日本では

直前の地の時代から、この時代への切り替わりの頃に起こっているのが承久の乱で、その直前あたりには鎌倉幕府が成立しています。いわゆる「武士の世」が正式に始まったのがこの時代の最初期にあたります。

その後琉球王国の誕生、室町幕府・南北朝時代の開始から終了を経て戦国時代へ入っていく直前くらいまでがこの時期の出来事です。一つ興味深いのは、風の時代に入ったばかりの1227年に大内裏消失が起こり、これ以降再建されなくなってしまったこと。天皇という存在の権威や神性がまだ一段と弱ったことを如実に示しているように思います。

所感

とてもざっくりと見てきたのですが、どことなく「越境」とか「突風のような影響力の出現と世界席巻」、これにともなう「価値観の激変・転換」が共通して起こっているのではないか?と感じます。そしてこの時期に発生したものは、その後の世界に永久に残る影響力をもたらしているようにも思います。

これからおよそ200年続く今回の風の時代にも、これまでのような世界的な価値観の刷新が何らかの形でもたらされるのでしょう。きっとそれは現在の私たちの想像が追いつかないようなものであり、例えばAIの普及、ブロックチェーン、空中交通の一般化、実生活の仮想化(VR)、グリーンニューディール、SDGs、シルクロード構想の再現などキリがありませんが、こういった今目の前に見えている激変の様相すらも、その序章に過ぎないのではないでしょうか。

それが一体どんなものなのか?の考察は、また別の機会があれば。


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